節分っていつですか?
皆さんはおうちで節分の豆まきをされますか?
先日、長男に幼稚園で何をしているか尋ねたところ、「節分の鬼のお面を作っている」と言われました。
豆まきの日にはおそらく私がそのお面を被ることになると思うので、上手に作ってほしいなと思っています。
ただ、今3歳の長女は、毎年私が鬼のお面をかぶって現れると号泣してしまうので、ちょっと申し訳ないなと思いつつ、今年は3歳にもなったし、泣かないで豆まきができるのかなとも期待しています。
そんな豆まきを行うのは節分ですが、今年(2025年)の節分は2月2日になります。
妻に「今年は2月2日が節分だ」と話したら、「節分は毎年2月3日じゃないの?」と言われました。
そう言われてみると、節分=2月3日のイメージが私にもあり、なぜ今年の節分が2月2日なのか気になったため、調べてみることにしました。
まず、「節分」とは「季節を分ける」ことを意味しており、「各季節の始まりの日」の「前日」のことを節分といいます。
しかし、今では「立春」の「前日」のみを「節分」と呼ぶようです。
そもそも、季節の変化が起きるのは、地球が自転軸を23.4°傾けた状態で公転(太陽の周りを回ること)しているためです。(日光の当たる時間や長さが変わるため、暖かい季節や寒い季節ができます。
※最近、長男が宇宙のことに興味を持っており、購入した宇宙の図鑑に書いてありました。)
そして、国立天文台では、地球の公転軌道上の一定の位置に来た時点を季節の目印としています。
皆さんも「立春」「立冬」などを聞いたことがあると思いますが、公転軌道を24個の目印で細分化したものを二十四節気といいます。
このように、「立春」が日付で決まっているわけではなく、公転軌道に従って決まるものであるため、節分の日も変動することになります。
というのも、地球は太陽の周りを365日と約6時間かけて1周するため、4年に1度、閏年を入れることで調整しています。
しかし、二十四節気については閏年だけでは調整が追いつかないため、立春の日がずれることがあり、その前日である「節分の日」もずれるということです。
したがって、2024年がうるう年であったため、翌年の2025年の立春は2月3日となり、今年の節分は2月2日となるとのことでした。
法律事務所のコラムなのに法律的な話が一切出てきていなくて恐縮ですが、私と同じように気になった人が調べる際の助けになればと思い、書かせていただきました。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
年末年始と法律
このコラムを書いているのが、2024年12月31日の大晦日です(「大晦日」とは、最後に来る「晦日」(旧暦で月の最後の日のことを言うようです。)というそうです。)。
年を重ねていく中で年々1年過ぎるのが短くなっていくように感じますが、今年1年家族とともに健康に過ごせて何よりだなと感じています。
2025年には長男が幼稚園を卒園し小学校に入学、長女も幼稚園に入園するなど新しい環境になりますが、どちらも元気で頑張ってほしいなと思います。
そんなことを書いている年末年始ですが、子供のころは冬休みもクリスマス前後からある程度ありましたが、社会人になると年末年始の休みは、12月29日から翌年1月3日までというのが、いつのまにか当たり前になっていたような気がします。
ですが、この年末年始の休みのルールについては、法律などで定められているわけではありません。
まず、休日や祝日について規定している「国民の祝日に関する法律」という法律があるのですが、その中で、年末年始の休みは1月1日の「元日」しか定められていないため、それ以外の日については、国民の休日や祝日ではないことになります。
ただ、官公庁等の行政機関については「行政機関の休日に関する法律」という法律で、「12月29日から翌年の1月3日までの日」が休日となっています(1条1項3号)。
また、立法府である国会については「国会に置かれる機関の休日に関する法律」が、司法機関である裁判所については「裁判所の休日に関する法律」が、同様に、12月29日から1月3日について休日とする旨規定されています。
このように、官公庁などの休日と足並みを揃えるような慣習によって、民間企業についても12月29日から1月3日を休みにするような企業が多くなっています(法律事務所は裁判所と密接に関連するため、裁判所の休みに合わせているところがほとんどだと思います。)。
しかし、上記の通り法律上の休日ではないため、上記の期間を休日とする企業では、就業規則で、12月29日から1月3日も休日とすると規定されているところがほとんどだと思います。
2024年から2025年の年末年始は、土日をまたぐため、暦通りとなると、9連休となります(私も9連休をいただいています。)。
長い休み中に何もしないと、新年だらけてスタートしてしまいそうなので、運動や仕事も少ししたいなと思っています。
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マラソンと法律
今年の最初のコラムで、こっそりダイエットをしていたことを告白していたのですが、このコラムを書いている現在も無事リバウンドすることなく、むしろ今年の初めより減量することができています。
というのも、ダイエットでジムに通いだしてからランニングマシンで走るようになり、次第に走ることが楽しくなってきて、今ではジムは解約して、ひたすら走るようになりました。
少しずつですが、スピードが上がり走る距離が伸びてきて、どうせならマラソン大会にも出てみたいと思うようになり、来年(2025年)の3月に佐賀で行われるさくらマラソンにもエントリーをするようになりました。
初めてフルマラソンを走るのですが、一応サブ4(4時間切り)を目標にしています。
もし、さくらマラソンに出場される方がいらっしゃれば一緒に頑張りましょう!
前置きが長くなってしまいましたが、本日はマラソンについてのお話です。
フルマラソンの距離は42.195kmですが、これは第4回ロンドンオリンピックでのイギリス王女アレクサンドラによるわがままが由来となっています。
すなわち、それまでのオリンピックでのマラソンの距離は開催地によって異なっていたのですが、第4回ロンドンオリンピックの際、アレクサンドラ王女はマラソンのスタート地点を城の窓から見えるように宮殿の庭、ゴール地点を競技場にあるボックス席の前に設置してほしいと要望したため、距離が延び、42.195kmとなったとのことです。
そして、第8回のパリ大会以降はこれが正式な距離となりました。
日本でのマラソン大会では、日本陸連競技規則により、
- コースの長さは競技距離より短くてはならず、かつ距離の誤差は競技距離の1000分の1以下でなくてはならない。※誤差はプラス42メートルまでOK
- スタートとゴールの2点間の理論上の直線距離は、そのレースの全距離の50%以下とする
- スタートとフィニッシュの2点間の標高の減少は、1/1000km、すなわち1kmあたり1mを超えてはならない。
という条件をクリアしたコースが陸連公認コースとして認定されるそうです。
ちなみに距離については、国際陸連の規定に従い「距離計測自転車」というものを使用して計測するそうです。
皆さんもマラソンの大会などをテレビで見られているのでご存じだと思いますが、マラソンは通常、公道(道路)を使用して行われるので交通規制が行われます。
しかし、本来道路は交通の用に供されるものであるため、マラソン大会を開催し交通規制をするためには、道路交通法上、事前に許可を受ける必要があります(道路交通法77条1項4号)。
なお、この警察署長の許可に関する通達があり、要約すると交通に影響を及ぼす程度が低いほど許可が得られやすいとされており、交通量の少ない日として日曜日又は祝日と書かれています。
このことからマラソン大会は日曜日に開催されることが多いのかもしれません(私が走る佐賀さくらマラソンも日曜日に開催されます。)。
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ナンバープレートで使われていないひらがなは?
先日、家族で旅行した際、現地でレンタカーを手配しました。
レンタカーに乗られたことがある方はわかるかもしれませんが、基本的にレンタカーは、「わ」ナンバーです。
しかし、旅行の際、妻から「れ」と書いてある車も多く見かけると言われたことで、「れ」ナンバーもレンタカーではないかと思い、ナンバープレートについて調べてみました。
ナンバープレートは、道路運送車両法によって公道を走る車には表示することが義務付けられており、正式名称は「自動車登録番号標」といいます。
なお、軽自動車に取り付けるナンバープレートを「車番号標」といいます。
このナンバープレートには,管轄する運輸局が記載されている「地域名」と「分類番号」(ナンバーの上部にある「福岡●●●」という記載です。)、後述する「ひらがな」、「一連指定番号」(4桁の数字で一般的に「車のナンバー」といわれるのがこの数字です。)が表示されています。
そして、ナンバープレートの「ひらがな」については、登録種別といって、車の用途が記載されています。
具体的には、自家用車か、事業用車か、レンタカーか、普通自動車か小型自動車かという種別にわかれています。
例えば、自家用車かつ普通自動車の場合には「さすせそ、たちつてと、なにぬねの、はひふほ、まみめも、やゆよ、らりるろ」が、事業用車かつ普通自動車の場合には「あいうえ、かきくけこ、を」が使われることになります。
なお、レンタカーについては、普通自動車の場合には「わ、れ」が、小型自動車の場合には「わ」のみが割り振られるようです。
ちなみに、業務用の小型自動車では「り、れ」が割り振られるため、レンタカーでなくとも「れ」が割り振られることもあるようです。
この登録種別のなかで「お、し、へ、ん」の4文字は使われていないようです。
「お」は「あ」や「む」と見間違える可能性があることや「を」と発音が同じであるという理由で、「ん」は発音がしづらいという理由だそうです。
また、「し」と「へ」については、「し」は「死」を連想させ縁起が良くないこと、「へ」は「屁」を連想させイメージがよくないことが理由で使われていないとのことでした。
発音がしづらいということなどで使わないという運用は当然かなと思いますが、縁起やイメージが悪いという理由で使われていないというのは少し驚きました。
また、普段は4桁の数字にしか目がいかないナンバープレートですが、今回調べたことで、今後はひらがなについてもつい目が行ってしまうなと思いました。
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鞭(ムチ)打ちの刑が日本でされることは?(罪刑法定主義)
先日、シンガポールにて女性に対し、性的暴行を加えた日本人男性に対し、禁固刑(刑務所に収監される刑です)と鞭打ち20回の刑を言い渡された判決が確定したとのニュースに触れました。
判決が確定したということはこの日本人に対しては鞭打ちの刑がかせられることになるのですが、鞭打ち刑はどんな刑なのかと思って調べてみました。
シンガポールでは、鞭打ちの刑がかされることはめずらしくないらしく、観光でシンガポールに訪れた観光客が公共物に落書きをして捕まり、鞭打ちの刑が科せられることがあったそうです。
女性と51歳以上の男性には科すことができず、回数は、一般の男性は24回以内、少年の場合は10回以内とされています。
どうやら、この鞭打ちとても痛いらしく、1回打たれるだけでも失神する受刑者もおり、回数をわけて執行されるそうです。
執行のタイミングも決まっておらず、いつ執行されるかという恐怖におびえながら過ごすそうです。
ニュースのコメントでは、日本でも性犯罪などに鞭打ちの刑を科すべきだというような意見もありましたが、日本ではこのような刑罰を科すことができるのでしょうか。
まず、日本では、刑法9条で
「死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。」
とされています。
※ただし、改正がなされており、令和7年6月1日からは、懲役刑と禁固刑が「拘禁刑」という刑罰に一本化されることになります。
懲役は、「刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる」刑(刑法12条2項)で、禁固は、刑事施設に収容される点では懲役刑と同じですが、所定の作業(労働)の義務がないものです。
※一本化された拘禁刑では、刑事施設の裁量で作業がされることになります。
そして、日本では犯罪や刑罰は、法律で規定されていなければ科すことはできないため(罪刑法定主義といいます。)、
上記刑法9条で規定されている以外の刑罰を科すことはできません。したがって、現状、日本では鞭打ち刑を科すことができません
では、現行の刑法を改正して、鞭打ち刑を定めることができるのでしょうか。
最も効力が強い法律のことを「最高法規」といい、この最高法規に反する法律は無効となります。
日本での最高法規は憲法で、憲法に反する法律の規定は無効になるところ、憲法36条では
「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」
と規定されており、この「残虐な刑罰」とは、最高裁判所の判例上、「不必要な精神的、肉体的苦痛を内容とする人道上残酷と認められる刑罰」とされています。
そうなると、鞭打ち刑については、不必要に肉体的苦痛を内容とするものであり、人道上は残酷と認められることは明らかだと思うので、日本では鞭打ち刑を科すことはできません。
日本では刑罰の目的が、司法矯正といって、犯罪を犯してしまった人の社会的な更生を目指すことが目的とされていることや、戦前の明治憲法下において拷問や残虐な刑が科されていたことの反省から、残虐な刑罰は「絶対に」禁じられているのですが、シンガポールでは、犯罪を犯した人に対する制裁を科すという目的が強いようです(シンガポールでは日本に認められている執行猶予という刑事施設に収容されることを猶予する制度はありません)。
すこし、話はずれますが、日本では、今、死刑制度が「残虐な刑罰」に該当するので廃止すべきではないかと議論がなされています。
死刑については、多くの国が廃止していること、冤罪だった場合のリスク、被害者側の立場などから様々な意見がある問題ですので、今回の記事をきっかけに、死刑を残すべきかという点について検討されてみてはいかがでしょうか。
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トイレ休憩、タバコ休憩は「休憩時間」?
コロナでのテレワークの普及や、働き方改革の一環でのフレックスタイム制の導入など、働く時間や場所が多様になっています。 しかし、そういった中でも、定時に会社に出社し、お昼頃の休憩時間に休憩を取り、定時や少し残業をして帰るというような、今まで通りの働き方をされている方も少なくありません。 そういった中で、お昼の休憩時間(タイムカードなどを打刻して休憩する時間)とは別に、トイレに行っている時間や、喫煙される方がタバコを吸いに行っている時間など、厳密にいうと働いていない時間があると思います。 そういったトイレ休憩やタバコ休憩の時間を給与が発生しない休憩時間とすることはできないかという相談がごくまれにあります。 そこで、今回は、トイレ休憩、タバコ休憩についてどういった取り扱いがなされているのかについて説明させていただきます。
1.休憩時間とは
使用者と労働者の関係について規律する労働基準法の34条1項では、
「使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」と規定しています。そして、この「休憩時間」とは、「労働が労働から完全に離れることを保障される時間」
とされており、休憩時間に該当する場合には、その時間について、労働者に賃金を支払う必要はありません。 簡単にいうと、労働時間の途中にある労働時間でない時間を指します。そして、「労働時間」とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」をいいます。したがって、トイレ休憩やタバコ休憩が「休憩時間」に該当するかについては、その時間が使用者の指揮命令下に置かれている状態といえるかという点から判断することになります。
2.トイレ休憩について
トイレ休憩については、そもそも生理現象としての排泄を行うためのものであり、短時間であることから、完全に使用者の指揮命令下(労働)から解放されていることが保証されているとはいえないため、「休憩時間」には当たらないことになります。したがって、トイレ休憩の時間を休憩時間として賃金を支払わない取り扱いをすることは労働基準法違反となり認められません。
3.タバコ休憩について
近年、健康志向から喫煙者は減少していますが、喫煙者の方にとって勤務時間中一切タバコを吸わないというのはなかなか耐えられないのが実情ではないでしょうか。タバコ休憩の時間が休憩時間に該当するか否かが争われた裁判例では、「職場内で喫煙していたとしても、何かあればただちに対応しなければならないのであるから、労働から完全に解放されている状態とはいえない」として、休憩時間には該当しないとの判断がなされております。となると、厳密にいうとタバコ休憩の時間も労働時間として給与が発生していることになり、タバコを吸わない人との間の不公平感があるようにも思えますが、仕事中に飲んでよいとされるコーヒーを作っている時間などは休憩時間とならないことは争いはないと思うので、それとの対比を考えると逆にタバコ休憩のみ認めないというのは逆に問題になってしまうかなと思います。
4.トイレにこもっている場合や、何度もタバコ休憩に行く場合は?
上記でご説明したとおり、トイレ休憩やタバコ休憩が労働基準法上の「休憩時間」にあたらないとしても、例えば、病気でもないのにトイレに何十分も閉じこもっていたり(携帯を持ち込んでトイレでゲームをしているような人もいるようです)、短時間に何度もタバコ休憩を行うということは許されるわけではありません。 そのような行為を従業員が行っている場合には、職務専念義務違反として懲戒処分の対象となったり、賞与の減額事由となります。もっとも、使用者側の場合、単に「あの人はしょっちゅうトイレに行っている」というような主観的な内容だけで処分などをすることは、後々紛争に巻き込まれるリスクがあるため、タバコ休憩の時間や、理由なく離席している状況等を記録しておくことが望ましいでしょう。
5.さいごに
こうした細々した休憩について会社側が逐一管理するということは、働きづらい環境になってしまうリスクもあり、なかなか現実的ではないとは思います。 一方で、働いている人も、無配慮にタバコ休憩をしてしまうと、他の従業員から反感を買ってしまうかもしれません。使用者も労働者も、みんなで働きやすい環境にするよう心掛けてもらいたいなと思いました。
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進むカスハラ対策
以前、ブログで現在は様々なハラスメントが存在することをご紹介させていただきましたが、今回はその中でも紹介したカスタマーハラスメント、略して「カスハラ」についてご説明させていただきます。
以前の記事はこちらから:なんでもハラスメント?~現代のハラスメントの問題点~
最近のニュースで、各企業において、カスハラに対して毅然とした対応をとることを表明しているという情報に触れました。具体的には、JR東日本では、カスハラが行われた場合、乗客への対応はしない。悪質と判断した場合には警察や弁護士などに相談して、厳正に対処するという方針をホームページにも掲載しており、会社としてカスハラについては対応しないという毅然とした対応を示しています。
そもそも「カスハラ」とはいったいどういった行為を指すのでしょうか。この点、厚生労働省から出されている「カスタマーハラスメント対策マニュアル」では、カスハラの定義として「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業関係が害されるもの」と定義されており、簡単に言うと、理不尽なクレーム言動がカスハラに該当するとされています。
そして、カスハラに該当する行為の具体例としては、以下のような行為が挙げられています。
(1)要求の内容が妥当性を欠いているケース
- ・提供する商品・サービスに瑕疵(傷や欠点など)や過失が認められないにもかかわらず何かを要求する行為
- ・要求内容が商品やサービスに関係ないものであること
(2)要求実現のための手段・態様が社会通念上不相当な言動の場合
2-1.内容如何にかかわらずカスハラに該当するもの
- ・暴行や傷害などの身体的な攻撃
- ・脅迫・中傷・名誉毀損などの精神的な攻撃
- ・威圧的な言動
- ・差別的・性的な言動
- ・継続的・執拗な言動
- ・土下座の要求
- ・不退去や居座りなどの拘束的な行動
- ・従業員への個人的な攻撃や要求
2-2.内容の妥当性に照らして不相当に該当する場合がある行為
- ・商品交換の要求
- ・金銭補償の要求
- ・謝罪の要求
そして、このようなカスハラ行為について、企業が放置していたり適切な対応を取らない場合、従業員のモチベーションの低下にとどまらず、カスハラにより、従業員の心身を害するようになってしまった場合には、安全配慮義務違反等で損害賠償の対象となってしまう可能性もあります。企業が、毅然とした対応を表明しているのも、会社として従業員を守る姿勢であると表明することで、カスハラ行為自体を未然に防ぐとともに、安全配慮義務を尽くしているというアピールにもなるからであると思います。
しかし、気を付けなければいけないのは、全てのクレームが問題というわけではありません。会社の商品やサービスに欠陥やミスがあった際に、正当な方法でクレームをいう こと自体はむしろ顧客の権利であり、それすらも禁じられるわけではありません。
したがって、適正なクレームとそうでないカスハラを区別する判断が必要になりますが、その判断については、顧客の要求内容に妥当性があるか、要求を実現するための手段・態様が社会通念に照らして相当かという点を基準に判断していくことになります。
具体的な場面において、カスハラに該当するか否か判断に迷ってしまう場合もあると思います。そうした際に会社において顧問弁護士と契約していれば、その場ですぐに判断するのではなく「弊社が契約している顧問弁護士に相談した上で後日対応したいと思います」と回答することも可能になると思います。また、顧問弁護士がいるということを表明するだけでも、カスハラ行為を未然に防ぐこともできると思います。
当事務所は多数の顧問契約を締結いただいておりますので、カスハラに該当するか、どのように対処すればよいかという点について経営者の皆様に適切にアドバイスができると自負しております。当事務所の顧問契約は「フレックス顧問契約」といって、お支払いいただいた顧問料が無駄にならない顧問契約であるため、今回この記事を見られた経営者の皆様は是非一度ご検討ください。
関連記事:お客様は神様??~旅館業法の改正~
関連記事:従業員の名札は必要?
フレックス顧問についてはこちらから:フレックス顧問契約
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
これは違法ではないのですか!?~刑事法と民事法~
当事務所では、企業様だけではなく、個人の皆様も含め、様々な方が相談に来ていただいております。
ご相談に来られる方のなかで、「相手方が〇〇なのは違法なのではないですか?」と仰られる方が多いと感じます。
ご相談に来られる方に対しては、ご説明させていただいているのですが、今回は、この「違法」という言葉について、場面などを分けてご説明させていただきます。
まず、辞書的な意味の「違法」とは、文字通り、「法、法律に背くこと」を言います。
したがって、「違法」という言葉をきちんと説明するためには、この「法律」の中身を検討する必要があります。
1.刑事法上の違法
法律の中には、違反すると、刑事罰を課されることが規定されている法律があり、これを「刑罰法規」といいます。
刑法などが一般的ですが、それ以外にも労働基準法の一部なども刑罰が課せられる刑罰法規が含まれています。
このように、刑罰法規に反する行為をした場合には、刑事法上違法な行為ということになります。
2.民事法上の違法
上記の刑事法上の違法な行為とは別に、民事法上違法な行為として定められている行為があります。
民法709条では、
「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」
と規定されており、不法行為に基づく損害賠償請求について定めています。
このような不法行為に基づく損害賠償請求権が発生するためには、相手の行為が違法な行為である必要があり、この場合の違法行為とは民事法上の違法な行為ということになります。
3.2つの違い
この刑事法上の違法な行為と民事法上の違法な行為とは同じように見えますが、違う場合があります。
例えば、人を殴ってケガをさせた場合、その行為は傷害罪(刑法204条)に該当する行為として刑事法上違法な行為に該当し、かつ、不法行為に基づく損害賠償が発生する行為であり民事法上も違法な行為に該当します。
これとは異なり、例えば、既婚者の人と、不貞行為を行ってしまった場合、不法行為(不貞行為)に該当するので、民事法上の違法となることは当然です。
しかし、不貞行為は、現在の法律では犯罪ではないため(戦前の日本の法律では、「姦通罪)」として犯罪行為でした)、刑事法上の違法な行為には該当しません。
4.民事法上の義務違反行為
さらに、民事法上の義務違反行為というものが存在します。
例えば、お金を借りているのに返さない、請負代金を支払う義務があるのに支払わない、物を買って、代金を受け取ったのに商品を引き渡さないというように民事法で認められる契約法上の義務に反する行為がそれに該当します。
この民事法上の義務違反行為についても例えば、給料を一切払わないという場合には、労働基準法の刑罰法規にも反する行為であるため、刑事法上も違法ですが、貸したお金を返さないという行為は、刑事法上違法な行為ではありません(そもそもお金を返す意思がないのに借りたという場合には、詐欺罪として犯罪行為に該当する場合もあります。)。
上記の「〇〇は違法ではないのですか!?」という場合、この民事法上の義務違反行為をしている相手が犯罪に該当するのではないかという質問であることは多いです。
したがって、この場合の回答としては「契約上の義務には反しているのですが、犯罪ではないのですよ」と異様な回答になると思います。
5.最後に
刑事法上の違法な行為について定める刑罰法規については、その目的が刑罰を定めることで、犯罪行為をなくし、社会の秩序を維持することにあります。
他方、民事法上の違法な行為や、民事法上の義務などを規定する民事法(民法、商法等)は、その目的が、私人間の紛争や取引ルールを定めることで、紛争を解決するということなどがあります。 このように、それぞれの法律の目的が異なるため、違法の概念が異なってくることになります。
このように、刑事法上の違法な行為、民事法上の違法な行為、民事法上の義務違反行為と異なるものが同じような違法、違反というような言葉でひとくくりにされているため、分かりづらくなっているのではないかと思います。
説明する私が、こうした理屈を理解していないと、ご相談に来られる方にもきちんと理解してもらうことはできないと思いますので、日々研鑽を怠らないようにしたいと思います。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
空港の門限とは?
皆さんは飛行機に乗る機会はありますか?私は、司法修習生のころに、九州で1人暮らしをしており、連休や年末年始に実家の東京に帰るときに頻繁に飛行機を使っていました。今は、子どもができ、両親も九州に移住してきたため、飛行機を使う機会がめっきり減ってしまいました。今度、家族で旅行に行く際に久しぶりに飛行機に乗るのですが、上の子も赤ちゃんの頃に飛行機に乗ったきりだし、下の子は初めて飛行機に乗るので、泣いたりしないか心配です。
飛行機は空港から出発し目的地の空港に着陸するのですが、その空港に「門限」というものがあるのをご存じでしょうか。私は先日ニュースで見て知りました。
ニュースでは、フィリピン発の飛行機が、福岡空港の門限である午後10時までに着陸することができず、関西空港に着陸したというものでした。
ニュースをみて気になって調べてみたのですが、空港によっては、24時間対応するだけの需要がないところや、騒音など周辺環境への影響などを理由として、夜間の空港運用や離着陸を規制しており、このことを「門限」と読んでいるようです(英語ではカーフュー(curfew)というそうです。)
そして、福岡空港では、空港法などによって規定することが求められている「福岡空港供用規程」というものにより、離着陸時間については午前7時から午後10時までとすることが規定されています。 おそらく福岡空港については、非常に都心部に近い場所に空港が設置されているため、騒音等に考慮して、門限が設定されているのでしょう。私も九州に来た時に、東京で羽田空港を使う時と比べて本当に簡単に空港にアクセスすることができとても驚きました。
この空港の門限は、すべての空港にあるわけではなく、例えば成田国際空港や羽田空港(東京国際空港)や関西空港等の拠点空港の一部では24時間離着陸が可能となっています。
他方で、地方の空港では、やはり24時間対応にする需要などが乏しいのか、福岡空港のように拠点空港とされていても、門限が設定されている空港がほとんどでした。
今までは、空港の門限など一切意識したことはなかったのですが、今回のニュースをきっかけに、夜遅い便などの場合トラブルで午後10時までに着陸できないリスクを考えると、帰りの便についてはなるべく早い時間にしておいた方がいいのかもしれないなと思いました。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
もうすぐ変わる新紙幣
6月といえば、梅雨でじめじめして気分もあまり上がりませんが、ジューンブライドということで、結婚式シーズンでもあります。
私も、もう7年も前になりますが、6月に福岡で結婚式をしました。雨が降らないかと心配でしたが、当日は運良く晴れてくれて、無事式を行えたのが、懐かしいです。
そんな結婚式ですが、招待されて出席する場合にはご祝儀を持参することになります。ご祝儀を持参する際には新札をご祝儀袋に入れて渡すことがマナーと言われています。この新札については、銀行などで古い紙幣と交換することで取得出来たりするのですが、先日、ニュースで、銀行などで新札への両替の対応を行っていないとの回答がなされ新札を取得することができないとの記事に触れました。
理由としては、新紙幣の発行が迫っているので、通常よりも現行の新札の発注を減らしているとのことでした。
ニュースなどで再三取り上げられているので皆さんご存じかと思いますが、令和6年7月3日より新紙幣の発行が開始されます。
この新紙幣の発行についてですが、日本銀行法という日本銀行の業務や、日本銀行券(紙幣)の発行等について規定する法律の第47条2項で
「日本銀行券の様式は、財務大臣が定めこれを公示する」
と規定されています。今回の新紙幣の様式、財務省告示という形で発表されました。 新壱万円券は表が渋沢栄一、裏が東京駅(丸の内駅舎)、新五千円券は表が津田梅子、裏が藤の花、新千円券は表が北里柴三郎、裏が富嶽三十六景となっています。
新紙幣に様式を変更する理由としては、偽造防止のためであり、ある程度経過すると、偽造リスクが高まるといわれており、今までも20年に1回の頻度で新札が発行されてきています(今回の新札については肖像が三次元に見えて開店する「ホログラム」の技術採用されているようです)。
偽造防止のために新札への変更の必要性は高いと思いますが、券売機を採用している飲食店などは、新紙幣に対応するために、券売機の買い替えなど多大な出費を余儀なくされることになってしまいます。 7月上旬から順次発行されるため、はじめのうちは、新紙幣が見慣れなくてとまどってしまうかもしれませんが、2000円札が発行された際も新しい紙幣を目にしたりするとすこしテンションが上がった記憶があるので、今から新紙幣を目にするのが楽しみです。
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