2021年10月14日、衆議院が解散し、解散に伴う衆議院議員総選挙が10月19日に公示され、10月31日に投票が行われます。
この総選挙は小選挙区制と比例代表制が併用されていますが、国会議員になるためには、政党の名簿に登録されて、当選する場合を除くと、小選挙区制において、立候補をする必要があります。
よく巷の会話などで「そんなに今の政治に不満があるのであれば、自分が立候補して政治家になればいいじゃないか」ということを聞かれたこともあるかもしれませんが、そんなに簡単に立候補をすることができるのか、今回は選挙の立候補についてご説明させていただきます。
まず、立候補するための権利のことを、被選挙権といいます。
この被選挙権については、認められる年齢が公職選挙法に定められており、衆議院議員の場合には、満25歳以上の人が被選挙権を有すると規定されています(10条1号)。
この他に、罪を犯して禁錮以上の刑に処せられた場合などには被選挙権が失権するのですが、失権事由がないかぎり、満25歳以上であれば立候補をすることは可能です。
しかし公職選挙法では、立候補の届出をする場合には、供託金を支払わなければならないと規定しており(92条)、衆議院(小選挙区)議員の場合には、300万円を供託金として支払う必要があります。
そして、この供託金ですが、一度届出をし、途中で立候補を取りやめても返金はされず、途中で辞めなくても投票数が少ないと、没収されてしまいます。
衆議院議員選挙では、有効投票総数の10分1(1割)の票を獲得できなければ、供託金が没収されることが公職選挙法93条に規定されています(前回、2017年に行われた総選挙の際には、174人分の約5億2000万円の供託金が没収されているようです。)。
すなわち、立候補したいと考える人は、この供託金300万円を準備する必要があり、300万円が用意できない人は立候補ができないということになります。
この供託金の制度については、憲法で保証された立候補する権利を不当に制限するものであるとして、訴訟を行われている方もいるようです。
これに対し、国としては、供託金を設定することで、立候補者の乱立することでの混乱や売名行為での立候補などを防ぐためと説明しているようです。
確かに自由に立候補ができてしまうと、さまざまな立候補者の選挙カーが町中を走り回るような事態も起きかねず、そういった印象で「この立候補者には投票しない」いう有権者も出てくることもあり得ます。 そのため、立候補に一定の制限を設ける必要性もあるのではないかなと思います。
他国では、例えば、一定の人数の推薦人の署名が必要であるなど、立候補にそのような制限を設定しているところもあるようです。 本国でも、供託金の撤廃や減額など、抜本的な制度の見直しが検討されるべきかと思います。
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