離婚調停について③
<ご相談者からのご質問>
離婚調停はある程度時間がかかってしまうものなのですね。あくまでも話し合いということなので,自分1人でやってみようと思いますが大丈夫でしょうか。
<弁護士からの回答>
当事務所は,離婚事件等家事事件についてご依頼いただく件数が比較的多いため,私もご依頼者様の代理人として,ご依頼者さまとともに家庭裁判所へ赴き,調停に出席することが,多々あります。調停の待合室でご依頼者様とお待ちしていると,お一人で調停に臨まれている方のため息や,悩まし気なお顔を拝見することが多々あります。調停も必ずしもつけなければいけないわけではありませんが,調停もケースによっては,協議離婚による場合よりも感情的な対立が激しくなってしまい,ご自身のみでは対応が難しくなってしまうケースが多いです。本日は,離婚調停における注意点についてご説明させていただきます。
以前にもお伝えした通り,調停では当事者同士面と向かって話し合いを行うのではなく,中立的な第三者である調停委員に話をするため,当事者同士の感情的な対立を避けることができるというメリットがあります。
しかし,この調停委員の方はあくまでも中立的な立場にたって調停を進めなくてはいけないのですが,調停委員も人間ですので,話を進めていく中で夫婦のどちらか一方の肩をもって話を進めて行こうとするケースは少なくありません。例えば,相手方からこちらが不貞をしたとして離婚と慰謝料を請求されているケースで,こちらは事実無根であると主張しているにも関わらず,不貞行為をしているだろうという前提で話を進められたため,話にならないとして,当事務所にご相談いただいた方もいらっしゃいました。
また,調停委員もなるべく早期に調停を成立させるために動く傾向にあるため,本来であれば中立・公正な立場でなければいけないのにもかかわらず,多少強引に進めてくる調停の方も多くとはいいませんが,少なからず存在することは事実です。調停委員をこちらから選ぶことも,替えてほしいと頼むことも基本的にはできません。
したがって,中立性・公平性な調停員にあたるか,そうでない調停委員にあたるかは,いわばギャンブルのような側面も有しております。中立性・公平性に反する調停員に当たってしまった場合には,たとえこちらの主張が法的に正当性を有している主張であるしてもきちんと耳を傾けてくれず,最終的に自分に不利な内容で調停をまとめるよう押し切られたまま,調停が成立してしまうというケースも少なからずあるようです。当事務所にご相談に来られた方もはじめは自分ひとりで調停を行っていたのだが,調停委員と折り合いが合わず,これ以上1人では進められないとして代理人を依頼される方もいらっしゃいます。
調停の段階できちんと弁護士を代理人として入れておくことで,調停委員からの提案が法的に妥当でない場合には代理人としてきちんとその旨の伝え,不利な内容で離婚に応じることがないように進めることが可能になります。また,こちらの主張の正当性をきちんと伝えることで,ある意味調停委員を味方につけて,解決に向けて,相手方を説得してくれる方向に導くことも可能です。
したがって,調停を申し立てることを考えられている方や,相手方から調停を申し立てられた場合には是非,ご相談いただければと考えております。
次回では,離婚調停を申し立てる裁判所の場所(管轄)のお話をさせていただきます。