弁護士法人Nexill&Partners(那珂川オフィスサイト)

離婚調停成立の手続き

<ご相談者様からのご質問>

 妻と離婚をしたくて,離婚調停を申し立てました。条件面での話し合いが難航しましたが,何回か調停の期日を経てようやく条件面もまとまりそうです。次回の期日で調停が成立するとした場合,何かすることはありますか。今後の流れを教えてください。

<弁護士からの回答>

 協議離婚も調停離婚も話し合いにより離婚する点では違いはありませんが,調停で離婚する際の手続きは,協議離婚とは異なったものになります。そこで本日は,離婚調停成立の手続きと調停成立後の手続きについてご説明させていただきます。

 離婚調停では,当事者間において離婚することに加えて離婚に関する諸条件(親権,養育費,財産分与等)について合意すると,調停が成立することになります。
具体的に調停がどのような形で成立するかというと,当事者で合意した内容について裁判所にてどういった文言の調停調書を作成すべきかを検討します。
そして,これまで双方の話を聞いていた調停委員に加え,担当する裁判官が当事者に対し,調停証書の内容を口頭で説明し,内容に問題ないかを確認します。
当事者双方から内容に問題がないと確認された時点で,調停が成立し,法律上は当事者間で離婚が成立することになります。このように,調停成立の日には書面になにかサインをする必要はありませんし,成立のその日に書面ができあがることはありません。

 もっとも,以前にもお話ししましたが,調停が成立する際に作成される調停調書は,執行力を有しており,そこに記載されている内容の債務を履行しないと強制執行がされてしまうという強い効力を有しています。調停成立の際には実際に調停調書の文言をみることはできません。したがって,裁判官が口頭で説明する内容が,本当に自分が合意した内容と合致するものとなっているのか,自分に不利な内容になっていないかという点については慎重に確認する必要があります。可能であれば,調停が成立するまえに,家庭裁判所に対し「調停条項案」というものを作成してもらい,その内容で合意をしても問題ないかという点を一度弁護士にご相談いただくのがよいのではないかと思います。

  また,調停成立により法律上離婚は成立するものの,自動的に戸籍が変わるわけではありません。調停成立後に家庭裁判所が作成する調停調書をもって,当事者の一方(通常は女性側になります。)が役所に行き,調停調書とともに離婚届(相手方の署名などは不要です。)を提出することにより,戸籍上も離婚したことが反映されることになります。この離婚の届出ですが,離婚調停成立の日から10日以内に行う必要があるので注意が必要です。また,本籍地ではない役所に離婚届を提出する場合には,従前の戸籍謄本が必要になります。別居して本籍地と離れたところの役所に離婚届を提出する場合にはあらかじめ戸籍謄本を準備しておいた方がよいでしょう。