弁護士コラム

2018.01.16

裁判等の証拠について①

<ご相談者様からのご質問>

裁判では,証拠がないと勝ち目がないと聞いたりするのですが,どんなときに証拠が必要になるのですか。弁護士に相談に行くときにはどういったものを持ってくればいいのでしょうか。今回は弁護士が「証拠」について解説致します。

<弁護士からの回答>

裁判官は証拠に基づき事実を認定するため,裁判では証拠がどれだけ揃っているかが,重要になってきます。そこで,今回から数回にかけて離婚訴訟における証拠についてご説明させていただきます。離婚訴訟においてどのような場面で証拠が必要になるのかという一般論についてご説明させていただきます。

裁判では,全ての事実について証拠が必要であるというわけではありません。「当事者間で争いのある事実」について証拠により証明する必要がありまます。したがって,訴訟においてこちらが主張している事実について,相手方もその事実を認めている場合には,証拠がなくとも裁判所はその事実をそのまま認定するのが通常です(以前のコラムでは,離婚訴訟では職権探知主義を採用していると書きましたが,職権探知主義において当事者間で争いの無い事実に関してはそのまま事実認定がなされているようです。)。

ご相談いただく方からは,よく,「私が先生にお話ししていることが真実なので相手方も認めると思います」とおっしゃられるのですが,これまでの経験上,特に自分に不利な事実に関しては,相手が認めずに争いになるケースは珍しくありません。もちろん確たる証拠が既にこちらにある場合には相手も否定しようがないため認める場合もありますが,相手方において,こちらが証拠を有していないのではないかと考えている場合には,あえて真実とは異なる主張をされるケースがほとんどであります。
そして,裁判においては,単に「相手は嘘をついている!」とだけさんざん主張したとしても,中立な立場にたっている裁判官としては,どちらが嘘をついているかについては,わからないため,あまり意味をなしません。そこで,争いのある事実に関しては,証拠に基づいて主張を行う必要があります。

次に,離婚訴訟において一般的に争いになりやすい事実については,以下のような事実が挙げられます。
① 婚姻関係は破綻しているか否か
② 不貞行為の有無
③ 財産分与の金額
④ 親権者の判断に際し,同居時の監護状況等

 上記①~④の争点に関して,どのようなものが証拠足りうるのかという点については,各争点の内容によって様々であり(各争点の内容をご説明する際に,具体的にどのようなものが有力な証拠になるのかという点についてもご説明させていただきます。),ご相談者様ご自身で証拠になるのではないかという資料の取捨選択を行うのはとても困難であると思います。

 したがって,弁護士にご相談いただく際には,ご自身でこれは証拠にならないなというような取捨選択をするのではなく,関係ありそうな資料等についてはなるべく弁護士に渡していただき,弁護士と話し合いながら取捨選択を行うのがよいのではないかと思います。ご自身では,関係ないと思っている資料であっても,弁護士の目から見て,有力な資料になりうることは少なくありません。離婚に関するご相談の際には是非,関係しそうな資料についても併せてご持参いただくのがいいと思います。

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