弁護士コラム

2018.05.21

加害者側の保険会社について

<ご相談者様からのご質問>

 先日,交差点で停車中に後ろから追突されました。加害者の方はきちんと謝罪してくださって,今後は,加害者の保険会社が示談も含めて対応するとのことでした。疑問に思ったのですが,なぜ,保険会社が示談の代行のようなことをしているのでしょうか。

<弁護士からの回答>

 交通事故の被害者の方からご相談いただく際に,「加害者の保険会社の対応が不満」であるとご相談いただくことが少なくありません。今回は,保険会社が示談交渉を代行することができる根拠についてご説明させていただきます。

 

 まず,原則として当事者間で紛争が生じた場合には当事者同士で話し合いを行い,当事者で協議って解決することが困難である場合には,第三者が当事者の代理人として相手方と話し合うことで解決の方法を模索することになります。第三者が代理人として活動する際には,弁護士法により規制がなされており,弁護士法72条において,弁護士以外の者が報酬を得る目的で他人の法律義務を業として行うことを禁じており,報酬を得て他人の法律問題について,代理人として活動することができるのは弁護士に限られています。

 加害者側の保険会社が示談代行をすることについては,保険会社は弁護士ではなく,示談代行サービスという保険をつけて保険を販売しており,報酬を得る目的や,業として行われることになるため,弁護士法に違反しているのではないかと疑念が生じ,過去には問題となっていました。

 もっとも,現在では,加害者側の保険会社が示談代行を実施することは弁護士法に違反していないと考えられています。その理由としては,自賠責保険や,任意保険において,被害者の直接払請求権というものが認められており,建前上,交通事故の被害者は加害者が契約している保険会社に対し,直接損害を請求することができるとされたため,保険会社が対応することは,「他人」の法律事務ではなく,自身の法律事務であとされ,弁護士法72条に抵触しないとされたからです。

 このように,保険会社が示談を代行することができる根拠が,被害者の直接払請求権によるものであることから,加害者の一方的な過失(停止しているところに衝突してきた場合等)がある場合には,相手方に損害賠償請求権が発生しないため,被害者側の任意保険会社は示談代行することができず,ご自身で加害者側の保険会社と交渉する必要があります。もっとも,現在の任意保険には,基本的に弁護士費用特約がついており,大きな事故など例外的な場合を除き,費用を負担することなく,弁護士を依頼することができますので,事故に遭われた際には,是非弁護士にご相談ください。

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