ニュース等で,企業やスポーツ団体に不祥事などが起きたときに,第三者委員会というものが設置されるのを目にするのですが,第三者委員会のメンバーに弁護士の方が入っているのを見かけます。スポーツの専門家ではない弁護士がなぜメンバーに入っているのか気になりました。
【弁護士からの回答】
ニュースでも連日,不祥事などの問題が多く報じられており,問題となっている事実等が存在したか否かについて,判断をする第三者委員会というものが設置されているのを目にされている方も多いのではないかと思います。そこで,今回は,第三者委員会における弁護士の役割についてご説明させていただきます。
1 第三者委員会とは
第三者委員会という名称は,法律などで決まっているわけではなく,何らかの問題が発生したときに,当事者以外の外部の有識者によって,構成され,問題となっている事柄の存否,原因等を調査するための委員会のことをいいます。
以前は,会社や団体内で問題が生じた際には,会社の担当者などが内々で調査をするというのが一般的でしたが,マスメディアやインターネットの発達により,こうした内部での調査に対しては,調査の客観性に対して疑念を持たれるようになったため,当事者ではない第三者に調査を依頼することにより,調査の信頼性等を確保することを目的としています。
2 弁護士の必要性について
上記のように,第三者委員会では,事実の有無の調査,事実が存在した場合における適法・不適法(違法)の調査などが行われます。そして,弁護士の仕事の1つとして(弁護士の仕事の内容については,機会があればまとめてお話しさせていただければと考えています。),裁判での活動があり,裁判での弁護士の活動は,証拠に基づき事実を認定するよう裁判所に求め,または,その事実が法律の要件に該当するかしないかについて主張を行うことが求められます。
このように,日々の業務において,弁護士は,事実の有無の判断や,事実の調査,当該事実の適法・不適法の判断等を専門的に行っているため,そのような弁護士が第三者委員会に参入することで,調査委の正確性や信頼性が確保されることになるため,多くの第三者委員会において,弁護士が委員として入ることになっています。
もっとも,弁護士自身,団体の内部のルールやスポーツのルール等の独自の専門的分野については,知識がないのが一般的であるため,第三者委員会には,そうした当該分野の専門家や有識者もメンバーとして入ることもあります。
3 最後に弁護士より
このように,第三者委員会に弁護士が入ることにより,調査の公平性,正確性を確保することができます。もっとも,弁護士としての立場としては,企業などにおいてトラブルが発生する前に発生するリスクを発見し,リスクをなくしていくことが企業や団体にとって,とてもメリットが高いと感じています。
したがって,企業の経営者の方には,企業の規模の大小にかかわらず,顧問弁護士をつけていただくことをおすすめしています。当事務所の顧問契約は,払い込んだ顧問料が繰り越すことができるフレックス顧問契約というものを採用しているため,是非一度ご検討ください。