弁護士コラム

2019.02.19

面会交流について⑥

【ご相談者様からのご質問】

妻と離婚したのですが、妻が子どもと会わせてくれないため面会交流の調停を申し立てました。調停でも話し合いがつかずに、審判になり、審判では子どもとの面会交流を認めてもらいました。ですが、審判が出たにも関わらず、妻は、子どもと会わせようとしません。

面会交流を強制的に実現する方法はないのでしょうか。

【弁護士からの回答】

面会交流について、調停で合意した場合や、審判で裁判所が判断した面会交流の条件については、未成年者のおかれた環境等に変化がない場合には、監護親において、お子さんと非監護親との間で面会交流を実施させるべき義務を負うことになります。では、監護親が調停や審判で認められた面会交流を実施させない場合に、強制的に面会交流を実施する方法はあるのでしょうか。

1 強制執行という手段

離婚に関する条件(養育費や財産分与)については、調停で合意した場合や、審判で判断されたには、相手方がすべき義務を怠った場合(養育費を支払わない場合、財産分与を支払わない場合)には、裁判所を通じて、強制的に相手方がすべき義務の履行を実現させることができません。この手続きを強制執行といいます。したがって、養育費や財産分与を支払うべき義務があるにも関わらず支払わない場合には、給料の差押を受けたり、預貯金口座を差し押さえられたり、不動産を差し押さえられ、競売にかけられるなど、強制的に金銭を回収されることになります。

2 面会交流における強制執行

では、面会交流の場合の強制執行の場合にはどのような方法で強制執行が実現されるのでしょうか。

強制執行の方法は2つあり、そのうちの1つの方法として口座を差し押さえたり、不動産を差し押さえることにより、返還を求めている動産(自動車など)を引き渡しを受けるなど、強制執行の目的物を直接譲り受けることで強制執行を実現するという直接強制という方法があります。

もっとも面会交流においてこの直接強制を仮に実行しようとすると、執行官(強制執行を実現する裁判所の職員です)が監護権者の自宅などに赴き、お子さんを連れていき非親権者との面会を実現させるという方法をとることになり、お子さんの福祉を害することになってしまいます。

したがって、面会交流における強制執行については、直接強制ではなく、間接強制という方法がとられることになります。間接強制とは、判決などにより一定の行為を行うよう義務付けられた人(債務者といいます。)が、義務を履行しない場合に、一定の金銭の支払いを強制することで、義務の履行の実現を図る強制執行の方法をいいます。

面会交流の場合には、1回面会交流をさせなかった場合には、金〇万円を払えというような命令がでることになります。

このように、面会交流を正当な理由なく拒否した場合には、間接強制として金銭の支払いを余儀なくされてしまうため、調停で合意した内容や、審判で確定した内容については順守することが必要になります。

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