【相談内容】
子どもと用事があり外出し、お昼になったためどこか食べるところを探しており、おいしそうなレストランを見つけたため、入ろうとしたところ、入り口に「小さいお子さんのご入店はお断りさせていただきます」という張り紙が貼ってあり、入ることができませんでした。
子どもの入店を断るなんて、違法ではないですか。
【弁護士からの回答】
小さいお子さんがいらっしゃる場合、周囲の人に配慮したりなど入ることができるお店も限られて、お店を探すことも大変な場合もあり、ご相談者様のようにお子さんの入店を断られてしまう方も少なくないと思います。
今回は、店側による入店拒否の行いの適法性についてご説明させていただきます。
1 契約自由の原則
日本の民法においては、私的自治の原則という制度が採用されています。私的自治の原則とは、私人間の法律関係(権利、義務の発生)については、基本的に国家が干渉すべきではなく、私人の自由な意思によって決定すべきであるという原則です。
その私的自治の原則の1つとして、契約自由の原則というものがあります。それは、契約をするかしないか、誰と契約の相手方とするか、どのような内容の契約を締結するか等契約に関する事項については当事者の自由に任せるべきであるという原則です。
この契約自由の原則については、法律で特別の定めがない限りあらゆる契約に認められる原則です。契約自由の原則の例外、すなわち、定の場合に当事者が制限される法律として、労働者を保護するために制定された労働基準法、取引の公正を確保するための、独占基準法などがあります。
2 飲食店での契約について
飲食店での契約関係についてみると、飲食店では、お客が代金を支払い、店側が料理を提供するという契約関係になります。そして、飲食店に関しては基本的に相手方等を限定されるような法律は基本的にありません。
考えられるものとしては、各都道府県において制定されている暴力団排除条例によって、暴力団に対して飲食を提供することは禁じられているぐらいでしょう。
したがって、飲食店においては、誰に料理を提供するのかという点や、誰の入店を許可するのかという点について、店側が自由に決定することができます。
よく、高級レストランで設定されているドレスコードについても、店側において入店することができる客の服装を自由に決定することができるという点で、契約自由の原則が採用されています。
このように飲食店での法律関係においても店側において「小さいお子様の入店はお断りします。」として、小さいお子さんの入店を拒否することができます。
小さいお子さんを抱えた方からしてみると、自分たちだけ差別されているような気持になってしまうかもしれませんが、自由な入店を認められなければならないということになると、店側に入店を強要させてしまうことになり、契約自由原則に反してしまうことになります。
もっとも、喫茶店やレストランにおいても、逆に小さいお子さんに配慮が行き届いたお店も多く存在していると思いますので、そういったお店を探されるのがよいのではないかと思います。
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