弁護士コラム

2019.05.14

意外と知らない会社法

「会社」や「株式会社」、よく聞く言葉ですよね。
しかし、何のことを指す言葉なのか聞かれると意外と答えられない言葉でもあると思います。世の中には本当に多くの会社があり、総務省統計局による平成26年経済センサスによれば、日本中の企業の数は382万社にのぼります。

これだけ多くの会社が世の中にはあり、様々な種類の会社がありますが、会社経営と縁のない立場としては、会社の種類なんて気にしたことないですよね。世の中の構造を理解することは、人生を賢く生きる術でもありますから、ぜひ知っておいてください。
今回は、そんな会社の種類について説明します!

1.「会社」とは

世の中には、数え切れないほどの「会社」が存在していますよね。株式会社、合同会社などいくつか種類がありますが、そもそも「会社」とは一体何のことでしょうか?

「会社」とは、営利行為を業とすることを目的として設立された社団法人のことを言います。細かく分類して説明すると、以下の通りです。

営利行為:利益を得ることを目的とする行為のこと
(得られた利益を構成員に配当するところまでを含みます。法律用語として厳密な説明をすると、儲けるためにビジネスをしていることではなく、株主に対して配当を行っていることを「営利」と呼びます。)

業とする:反復継続すること(実際に反復継続している場合だけでなく、実際には1回限りだったとしても、反復継続する意思で行われている場合も含まれます。)

社団:一定の目的を持った人々の集まり

法人:人ではないが、法律で人格を認められたもので、権利義務の主体とされるもの(要するに、契約の主体として、契約書に署名押印できる立場を言います。)

つまり「会社」を簡単に説明すると、継続的に利益を得ることを目的とした人々の集まりで、権利義務の主体となることができるものとなります。

では、「会社」は利益を得るという目的があれば何をしても良いのでしょうか?
もちろん、そんなはずはなく、どのような事業を行っていくのかを定めなければなりません。これが「会社」の目的となります。「会社」は定められた目的の範囲内でのみ、法人格が与えられるため、目的外のことについては権利義務の主体となることができません。

通常、会社の登記簿には「会社の目的」が列挙されています。例えば、飲食店を経営する会社であれば、登記簿の目的の欄に「飲食店経営」と書かれており、飲食店経営に必要な事柄については権利義務の主体になれる(契約を行うことができる)のですが、全く関係のない事柄に関しては権利義務の主体にはなれません。

そのため、新しいビジネスを始める場合、現状の会社の目的の欄に関係しそうなものが見当たらない場合には、登記簿の目的欄を追加して、会社の目的として新しいビジネスを書き込みます。

会社の登記簿なんて見たことないかもしれませんが、法務局に行けば誰でも何の会社でも登記簿を取得することができますので、自分が知っている会社や働いている会社の登記簿を取得して、会社の目的や役員構成などを見てみても面白いかもしれません。

2.「株式会社」とは

会社法では、現在設立することのできる会社の種類として、株式会社、合同会社、合資会社、合名会社の4つが定められています。この中で、最も多く使われているのが「株式会社」になります。

よく耳にするこの「株式会社」という言葉ですが、どのような会社のことを指すのでしょうか?

「株式会社」は、設立する際に出資者(会社に対してお金を出してくれる人々)が集まります。この出資者のことを株主と呼び、株主は会社の持ち主となり、会社に対して様々な権利を持つことができます。

株主の持つ権利は株式とよばれ、株式を具体化したものを「株券」といいます。(一昔前であれば、どこかの会社の株式を持っている人は株券を保有しているのが通常でした。例えば、キティちゃんなどで知られる株式会社サンリオの株券は、キティちゃんが印刷された株券でした。これも東京証券取引所に行けば見学できますので、見てみてください。しかし、現在では株券は発行しなくても良いことになっていますので、株券をいちいち発行していない会社が大半でしょう。なので、世の中で株券というものを保有している人は多くないと思われます。)

また、株主はあくまでも会社の所有者でしかなく、経営のプロという訳ではありません。そのため、会社を経営する取締役として、株主でない他の人に経営を委ねて経営してもらうことを前提としています。これを「所有と経営の分離」と呼びます。

株主には会社を経営する義務がないと先程お伝えしましたが、経営しなくて良いということは、会社に対して出資のみをすることになります。
ですので、もし株主をやめたいと思った時には、株式を他の人に売り、出資したお金を回収することが可能です。原則として、株主は株式を自由に譲り渡すことができるのです。(ただし、譲渡制限株式という株式を譲渡する際には会社の承諾が必要となるタイプの株式も存在し、上場企業でなければ譲渡制限株式であることが多いですので、確認されてみてください。これも会社の登記簿を確認すれば書いてあります。)

3.「持分会社」とは

2では、株式会社についてお話をしましたが、ここでは株式会社以外の会社について説明をしたいと思います。2で、会社法では4つの種類の会社が定められていることを紹介しました。1つは株式会社、残りの3つは合同会社、合資会社、合名会社となり、この3つを合わせて持分会社と呼びます。

持分会社とは、社員と出資者が同じで、比較的自由度が高い会社になるため、その分社員同士の関係性が大切になってきます。このことから、持分会社は少人数や仲間内で設立するのに適している会社となります。

また、持分会社の社員には、出資額の範囲内で責任を負う「有限責任社員」と出資額に関わらず、会社の負債のすべてにおいて責任を負う「無限責任社員」の2種類が存在し、有限責任社員のみで構成される会社を「合同会社」、無限責任社員のみで構成される会社を「合名会社」、有限責任社員と無限責任社員の両方がいる会社を「合資会社」と言います。

どの会社についても、株式会社と比べて設立手続きが簡単で、社員間の取り決めも簡単にできるようになっています。
最近は、有限責任で簡単に設立でき、設立時のコストも安いことから、合同会社で立ち上げられるベンチャー企業も多くなっています。

4.まとめ

今回は、「会社」、「株式会社」、「持分会社」についてお話をしました。よく聞く言葉でも、いざどんなものかと聞かれると答えることが難しいですよね。

また、これらの言葉や会社法について、知っていて損をすることはないと思いますので、是非この記事を読んで日々の生活に役立ててください。

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