弁護士コラム

2023.04.12

動画の引用は著作権法違反??

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皆さんは、YouTubeなどの動画配信サイトを見ていますか?
我が家では、もっぱら息子がYouTubeにはまっており、放っておくと、スマホでずっと見続けてしまうので、今は「ひらがななどのおけいこをしてから見ようね」と言って、時間を区切ってみています。
息子はテレビも見ますが、同じくらいYouTubeも見ており、息子の中での一番の有名人はHIKAKINさんだと思います。

動画の引用は著作権法違反??

最近はブログ等で、YouTube等の動画配信サイトでアップされている動画を引用しているサイトを見かけます。
サイトの中で、動画の再生ボタンを押すと、そのサイト上で、動画が再生されるという「埋め込み型」の引用がなされていることも多いです。
私自身、いい曲だなと思ったアーティストの他のおススメの曲を聞くために検索すると、MVをまとめているサイトの埋め込み動画にたどり着くことがあります。

その際、『他人の動画を引用する行為は著作権を侵害しないのかな』と気になったことがありました。
感覚として、他人の動画を引用することで自身のサイトの閲覧数を増やして収益を得ることができるので、『著作権者の同意が必要なのではないか』と思ったのです。
そこで少し調べてみたところ、過去に、動画の引用が著作権侵害であるとして、損害賠償等を請求した事件の裁判例が見つかりました。

この事件では、①動画を引用したことが著作権を侵害するか、②引用した動画自体が、著作権を侵害していた場合には、著作権を侵害を助長(法律上「幇助」といいます。)したことにならないかという2つの争点がありました。

①の争点について、裁判所は、動画の引用(リンクを貼る)という行為は、著作権者の著作権を侵害するものではないと判断しました。
理由については、簡単にいうと、動画のリンクを貼ったとしても、あくまで動画を配信しているのはリンク元(すなわち著作権者)であるため、著作権を侵害していないとしました。

次に、②の争点については、当該動画自体が著作権を侵害してしているかどうか判断しづらい動画を引用することは直ちに著作権侵害の幇助には該当しないとした上で、当該事件の事情として、著作権者から抗議を受けた時点(当該動画が著作権を侵害していると認識した時点)で直ちにリンクを削除していることから、不法行為は成立しないと判断しました。

このように、動画の引用については、著作権者自身が配信している動画のリンクを貼る行為は当然に適法であるということになります(経済産業省が発表している「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」においても、著作権を侵害しないことが明記されています。

動画の引用は著作権法違反??

つぎに、著作権者の承諾が得られているか不明な動画については、著作権者から指摘され、直ちに削除をした場合には、上記の裁判例では不法行為とはならないということになります。
もっとも、この裁判例を前提にすると、著作権を侵害している動画であることを知りながら引用した場合には、不法行為となる可能性が高くなります。
また、著作権者から指摘されても引用を続けた場合にも同様に不法行為となる可能性が高いです。

したがって、著作権者の承諾があるかどうか不明な動画については、後々訴訟などの紛争に巻き込まれるリスクがあるため、なるべくであれば引用しないほうがいいのではないかと思います。

 

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