弁護士コラム

2018.03.31

婚姻を継続しがたい重大な事由について~各論③~

婚姻を継続しがたい重大な事由について~各論③~

<ご相談者様からのご質問>

  夫の両親との折り合いが合いません。夫は何とかして仲を取り持ってくれてはいるのですが,夫の両親とは根本的に合わないのだと思います。
  夫との両親との不仲を理由に離婚することはできるのでしょうか。

 <弁護士からの回答>

  これまで,「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当しうる行為についてご説明してきましたが,今回は,単にそれだけでは「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当しない事情やそれにどういった事情が加われば該当しうることになるのかを弁護士がご説明させていただきます。

1 相手方配偶者の両親との不和

   一般的にも嫁姑問題に限らず,相手方配偶者の両親との間で折り合いが合わないことにより離婚を考える方は多く,離婚調停等においても,配偶者の両親との不仲を理由に離婚を希望される方は少なくありません。
   しかし,結婚が当事者だけでなく家族の問題であったとしても,婚姻関係が破綻しているか否かの判断において考慮されるのはあくまでも夫婦当事者の関係であることから,単に相手方の両親との折り合いが悪いということのみでは「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するとはいえないでしょう。
   もっとも,夫が妻と自分の両親との折り合いが悪いことを知っているにも関わらず両者の関係を良好にすることについて何ら努めてこなかったこと等の事情が認められる場合には離婚事由として主張できる場合があります。

2 宗教活動

  日本の憲法では,信仰の自由や宗教活動の自由が保障されていることから,相手方配偶者が特定の宗教に入信したことや宗教活動を行っていること自体をもって「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当することはありません。しかし,結婚当初宗教活動に関し,家族を巻き込まないと約束していたにも関わらず子どもたちにも宗教活動を強要していたり,宗教活動(勧誘活動や集会への参加等)にのめりこみすぎたことにより,仕事,家事,育児等をおろそかにしていたという事実が認められる場合には離婚事由として主張できる場合があります。

3 ギャンブル,浪費,借金

  ギャンブルや浪費,借金についてもそれ自体を禁じる法律等は存在しないため,ギャンブルをしていたことや,借金を有していることのみでは離婚事由たりえません。ただし,ギャンブルや浪費により家庭が経済的に困窮するような事態を招いたり,返す見込み無く借金を行い,配偶者や親族等が返済を強いられたような場合には,離婚原因として主張しうることになります。

4 犯罪を犯したこと等

  相手方配偶者が犯罪を犯したことや,それに伴い服役していたとしてもそれをもって直ちに婚姻関係が破綻していると認定されるものではありません。もっとも,犯した犯罪が殺人などの重大な犯罪である場合には犯罪の悪質性や長期間服役することが明らかであるため離婚が認められやすいでしょう。また,軽微な犯罪を何回も繰り返していたり,当事者間で次何か悪いことをして捕まったら離婚する旨誓約していたにも関わらずそれに反して再び罪を犯したような場合には離婚事由として認められうるでしょう。

  このように,婚姻関係が破綻している(「婚姻を継続しがたい重大な事由」が存在する)と主張する際にはどのような事情が有力な事情に該当するかについては,とても複雑であり,ご依頼者様ご本人での取捨選択はとても困難であると思います。したがって,離婚したいと考えられている方は,是非早めに弁護士にご相談いただき,弁護士に対し,離婚したいと考えた理由については,それが有力な事情であるかという点についてはいったん度外視して全て弁護士にお伝えいただいた方がよいと思います。

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