弁護士コラム

2017.07.02

【離婚問題】離婚した後も子供に会うために(2)-再婚と面会交流

離婚をした時に子供の親権を元妻が持つことになり,面会交流でしか会うことが出来ないという男性の方も多いと思います。しかも,元妻が再婚したとなると状況がさらに悪化することもままあります。そこで,今回は元妻が再婚した後の子供との面会交流についてお話しさせて頂きたいと思います。もちろん,女性が親権者の場合だけでなく男性が親権者である場合もあり得ますが,以下では女性が親権者の場合を想定して記載させて頂きます。

1 親権者の再婚によって起こること

 親権者である元妻が子供を連れて再婚した場合,通常,その元妻と元妻の再婚相手の男性とは同居して,家族として生活することになります。しかし,子供は別れて暮らす「本当のお父さん」のことを忘れることが出来ません。また,子供にとって再婚相手という目の前にいる「新しいお父さん」は他人ですから,なかなか心を開くことも出来ません。
そのため,子供と「新しいお父さん」が新しい家族として信頼関係を構築して行くには多大な努力が必要となってきます。子供の年齢にもよりますが,なかには子供に再婚相手を「本当の」父親だと紹介し,再婚相手を「本当の」父親だと思わせて子育てを開始する場合もあります。
 もっとも,子供が再婚相手を父親だと認識していなくても,子供の養育環境は,元妻の再婚を機に大きく変化することは間違いありません。

2 じゃあ妻が再婚したら子供に会えないの?

 このように子供の養育環境が変化するため,面会交流を認めたくないという元妻の心境も理解できなくはないところです。
 しかし,面会交流は,その本当のお父さんと子供が円満で継続的な交流を行うことによって,「本当のお父さん」を含む両親から愛されていることを確信することで,子供の心身の成長に資するという子供の福祉にも寄与するためのものです。このように子供の権利としての側面がある以上,今まで通りの内容で面会交流を認めるべきかは一考を要するとしても,子供の持っている利益にもしっかり配慮して面会交流の枠組みを作っていくことになるでしょう。

3 それでも妻が会わせてくれないときは?

 先程も説明させて頂いたとおり,元妻が再婚したとしても子供との面会交流を全面的に制限することは難しいと言えるでしょう。しかし,それでも元妻が会わせてくれないときはどのような対策をとることが出来るのでしょうか?

(1) 履行勧告

 まずは,履行勧告と言って家庭裁判所から元妻に対して「面会交流させなさい」と働きかける制度を使うことになります。ただ,この制度には罰則等が無いため,残念ながら元妻が応じない可能性があります。

(2) 間接強制

 ただ,元妻が応じないからといって子どもとの面会をむりやりに実現するということはできません。すなわち,子供を家から引っ張ってきて無理やり面会をするということはできないのです。このような方法で面会を実現すると,子どもを物として扱うようなものであるからです。
 とはいっても,何も手段がないわけではありません。間接強制と言って,元妻が面会を拒むごとに一定額の罰金を払わせることで心理的に義務を履行させようとする制度があります。たとえば,面会を一回拒むごとに5万円を元妻から元夫に払わせる,という命令を出すことで元妻に面会を心理的に履行させようとすることが出来ます。すなわち,面会を2回拒めば10万円,3回拒めば15万円を支払うことになるのです。そして,この場合には,たとえば元妻の給料や預貯金を一方的に押さえることもできますので,罰金を支払うのが嫌なら面会交流を認めるしかないのです。

(3) 慰謝料請求

 また,面会交流を行うことを調停などで定めていたとして,元妻と再婚相手が面会交流を拒んだときには,元妻だけでなく,再婚相手にも慰謝料の請求が認められることがあります。しかし,慰謝料の請求が認められるとしても,子供に会えるようになるわけではありませんので注意が必要です。

4 まとめ

 いかがでしたでしょうか?以上で見てきましたように,面会交流を実現するためには,結局,子供だけでなく元妻の協力がどうしても必要になってきます。つまり,方法としては,履行勧告,間接強制,そして慰謝料請求といった方法もあるのですが,元妻が「いくらお金を払ってでも子供に会わせたくない!」として対応してきた場合,無理やり子供と会わせることが出来ず,元妻がある程度協力してくれないと子供と会うことが出来ないのです。そのため,元妻との話し合いがどうしても必要となってくるのです。
 しかし,一般に離婚した夫婦間の関係はあまり良好ということはありません。直接会って話そうとしても感情がどうしても先に立ってしまい冷静な話し合いは難しいでしょう。
 このような場合であっても,経験豊富な弁護士であれば,今までの経験を踏まえて冷静かつ適切に元妻と話し合うことが可能です。
 今後も子供と面会交流を続けたいのであれば,経験豊富な弁護士に依頼することをお勧め致します。

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