日本では3組に1組の夫婦が離婚するといわれています。
このように離婚が珍しくない時代ですが、中には子どもがいる状態で離婚をする「子連れ離婚」のケースもあります。
今回は、女性が子連れ離婚を考えたとき、離婚をする前に考えておきたいことについてお話したいと思います。
1.離婚について伝える
離婚をする際に伝えるべき相手は、夫、家族(自分の両親等)、子どもです。
①夫に伝える
離婚は協議離婚が原則ですので、まずは当事者である夫に離婚の意思を伝える必要があります。
口頭で伝える場合が多いとは思いますが、面と向かって話を切り出しづらいときや、夫のDVが離婚の原因にあたる場合は、手紙やメールなどの文面で伝えても良いでしょう。
一度文面で受け止めることで、その後の話し合いまでに冷静になることができます。
夫のDVが離婚の原因の場合や夫と話ができない場合などは、離婚の意思を伝える段階から第三者(親族や弁護士など)に依頼するケースも多いです。
御自身の置かれている状況に応じて、どのような伝え方が最適かについては、一度考えてみるといいでしょう。
②家族に伝える
離婚後の生活では、経済的にも子育ての面でも家族の支えが必要になってくる場面が多いので、親などの家族にも伝えるべきでしょう。
実情としては、離婚決定後に事後報告をすることの方が多いようですが、伝える場合は離婚後のプランなどを明確にし、親が不安にならないような伝え方をするのがよいでしょう。
③子どもに伝える
最後に、子連れ離婚なので、子どもにも離婚について伝えなければいけません。子どもに十分理解力があれば、離婚時に伝える場合もあります。
まだ物心がついていない場合は、将来どのタイミングで伝えるのかを考える必要があります。
子どもからすれば、親の離婚は精神的に大きなダメージとなり、心身に不調を訴えるケースもみられます。
ご自身の感情だけを優先するのではなく、子どもの気持ちにも十分配慮し、傷つけない伝え方が大事です。
2.離婚前後の住まいを考える
離婚を考えると、別居についても考えることになるでしょう。
しかし、「夫婦の同居義務」というものが存在します。離婚をする前に一方的に家を出てしまうと、義務違反ということで、後に調停になった際などに不利に働くことがあります。
夫婦間に合意があったり、いったん距離を置いたりする場合はこの限りではありません。
また、夫のDVが離婚の原因の場合は、身の安全を守らなければならないため、もちろん違反にはなりません。
こういった背景から、別居をする際は感情的にならずに計画を立てなければなりません。
また、引っ越し先としては、①実家に帰る ②賃貸住宅 ③公営住宅 が考えられるケースです。
①実家に帰るメリットとして、
・経済的な心配が少なくて済む。
・家事・子育てに関して家族のサポートが受けられる
ということが挙げられます。
家族の援助が受けられる反面、デメリットとしては、
・両親との間で子育てに対して意見がぶつかる可能性がある。
・児童扶養手当(18歳未満の子を持つひとり親家庭等の父または母が受給対象の補助金)をもらえない可能性がある。
・親と同居していることで保育園に入りにくい、保育園にかかる費用が高くなることがある。
などが考えられます。家族とどう協力していくかが重要なので、しっかりと話し合う必要があるでしょう。
②賃貸住宅で子どもと暮らすメリットとして、
・実家暮らしのように家族の干渉を受けない
・新しい環境で生活を始められる。
一方デメリットとして、
・敷金・礼金・手数料など入居前の出費が多い。
・毎月家賃を支払う負担がある。
・ひとり親家庭を理由に入居審査で落ちることがある。(特に母子家庭)
ということが挙げられます。
新しい環境で縛りのない生活を送ることは可能ですが、経済的な負担が大きくなってしまいます。
③最後に、公営住宅で子どもと暮らすメリットは
・賃貸住宅に比べ家賃が安く済む場合が多い。
・ひとり親家庭(特に母子家庭)は入居決定の抽選で優遇されることがある。
・更新制度がない。
デメリットとしては、
・希望すれば必ず入居できるわけではない。
・自治会の役員や当番が回ってくる可能性がある。
・収入の増減により家賃が変動する。
等が挙げられます。経済的な負担は賃貸に比べると少ないですが、仕事と子育てで忙しいひとり親家庭にとって、当番などの役割が回ってくると負担になってしまいます。
3.生活費の確保をする
最後に、離婚後の生活費の確保について考えていきたいと思います。
元々、夫婦共働きであっても家庭の収入は減ってしまいます。特に、専業主婦の方は就職をして収入を得ることを考えるのが一般的です。
しかし、就職活動は先が読めて、すぐに就職先が見つかるとも限らないので、離婚前から就職先を探しておくのが良いです。
また、先ほど少し触れましたが、ひとり親家庭の場合は様々な手当を受けることもできます。
いずれも、地方団体により支給されるものなので、仕組みは一様ではありませんが、
①児童扶養手当
②ひとり親家庭等医療費助成制度
③ひとり親家庭の住宅手当
などがあります。
①児童扶養手当は、所得の制限はありますが、子どもの数と所得に応じて手当が支給されます。
②ひとり親家庭等医療費助成制度は、医療機関でかかる費用を地方自治体が助成してくれる制度で、通院や入院にかかる費用が軽減されます。
③ひとり親家庭の住宅手当は、公営住宅とは別に民間賃貸住宅の家賃を補助したり手当を支給したりする制度のことです。
このような手当を受給するには、事前に地方自治体に申し込まなければいけません。
知っているだけでは利用できませんので、自分の住む自治体の制度の詳細を調べるのが良いでしょう。
申請が要りますが、利用できれば経済的に助かり、ひとり親家庭の強い味方になるでしょう。
4.まとめ
子連れ離婚は、夫婦間だけの問題ではなく、子どもも巻き込むので事前に考えておくべき事項が増えます。
感情的になりすぎず、子どもと自分たちの今後をしっかりと見据えて計画的に進めるのが良いでしょう。