弁護士コラム

2019.04.11

LED照明が発火したら!~消費者庁の発表資料を踏まえて~

近年、コンビニをはじめとした商業施設・オフィスの照明や、列車・旅客機内などの照明の多くが、従来の蛍光灯照明からLED照明に切り替わっている場面をよく見かけると思います。
また、ご自宅でも、使っていた電球が切れてしまった際や部屋の模様替えに伴って電球を交換しようと思った際などに、ホームセンターでLED電球を購入して交換することがあるかもしれません。
LED電球は非常に利便性が高いですが、交換した照明機器がLED照明に対応していない場合、後に何らかの事故が起こる可能性があります。

そこで、今回は、LED照明をめぐる事故とトラブル対応についてご紹介いたします。

1.LEDの利便性と誤使用による事故

LED照明は、寿命が4万時間程度とされており、電球交換の手間がかからないことや、消費電力が少なく済み、電気代の削減になることから、非常に利便性が高く、白熱電球や蛍光灯から切り替えを決意する方も増えてきています。

照明器具によっては、取替に工事が必要な場合もあり、LED電球を本来使用してはならない機器に取り付けることで、発煙するなどの事故が起こっています。

消費者庁の発表(平成30年3月27日付)によると、LEDランプを本来使用してはならない機器等に使用してしまい、発煙するなどの事故が多発しているとのことです。
消費者庁に寄せられた情報では、LED照明に関する事故は、平成25年度のピークから平成27年度まで、件数が減少していましたが、平成28年度から平成30年度は増加を続け、平成30年度は、直近10年間で3番目の水準にあります。

発表されている事故事例には、照明器具にLED電球を接続したところ、電球が発火して壊れた事例や、同様の事例で、バチッバチッという音とともにランプが切れてしまい、燃えたような異臭が充満して、LEDランプが黒く焦げ管が溶けてしまっていた、というような危険な事例が報告されています。

2.消費者庁からの提言

① 従来の照明器具を替えずに LED ランプに切り替えるときは、その照明器具に使用可能かどうか、LED ランプの注意表示等で確認しましょう。

② また、LEDに限らず、照明器具は経年劣化が事故の原因になることがありますので、定期的に点検しましょう。一般的に照明器具は10年を過ぎると故障しやすくなると言われています。
照明器具のラベルで製造年が確認できます。また、使用しているランプや照明器具がリコール対象品でないか確認しましょう。

3.LED照明への切り替えをお考えの方

LED照明への切り替えをお考えの方は、LED照明の正しい使い方の啓発活動を行っている、日本照明工業会が配布している照明についての安全チェックシート(https://www.jlma.or.jp/anzen/anzen_cs.htm)等を参照されて、予めお使いの照明機器がLEDへの移行に適合しているかを確認して、事故を未然に防ぐのがよいでしょう。

4.電球や電子機器などで安全被害を受けた場合・取引で被害にあった場合

近年は科学技術の進歩で様々な電子機器・機械が安く市場に出回り、身近なものになってきていますが、電子機器などの中には、通常の使用でも高温になるものや、純正の機器と接続しないと発火するなど安全性の観点から問題のあるものもあります。

もしも、機械の使用で安全被害を受けてしまった時は、直接メーカーのお客様窓口などに連絡するというのも一つの手ではありますが、消費者に関係する法律を知る弁護士に相談し、交渉や請求で最大限被害を回復するという方法もあります。

的確で冷静に判断が出来るように、被害を受けた際には無料相談などを用いて弁護士に相談してみるというのも良いかもしれません。

なお、LEDランプ自体に欠陥があったが故にLED照明の照明機器等に損害が生じてしまったような場合、一つの手段として「製造物責任に関する法律」に基づいて製造物責任をメーカーに対し追及出来る法的手段をとることが出来ます。

また、商品が粗悪品だった場合は、売主に対し、瑕疵担保責任や債務不履行責任を追及して契約を解除し、返金を受けることが出来る場合もあります。
また、事業者からの訪問販売で勧められて購入した場合などは、クーリングオフができる場合もあります。

そのほかにも、消費者に関する契約の場合(いわゆる個人と事業者の間で締結される消費者契約の場合)やインターネット取引の場合などには、通常の法令上の決まりに加えて、消費者保護のための法令が使える場合があり、ルールを知らないが故に損をしてしまっているケースも多く存在します。

以上の通り、商品の使用に伴い安全被害が生じた場合には、購入先やメーカーに対して何か請求できる可能性がある場合もありますので、消費者センターや消費者問題に詳しい専門家に相談をされるのも一つです。

5. まとめ

近年は次々と新しいものが市場に出回りますので、自然と新しいものや便利なものを生活に取り入れる機会も多くなってきています。

新しいものを取り入れる際は、リスクの側面にも目を配って慎重に選び、気を付けて取り入れてゆくことが重要な時代が来ているかもしれません。

そして、リスクから生じた被害を回復する方法を知らなかったが故に損をしてしまう前に、専門家に相談することも大切であると考えられるでしょう。

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