ネットビジネスを始めるのであれば、必須なのが「WEBサイト作り」です。
ネットの世界では、日々ビジネスの種類に合わせて様々なタイプのWEBサイトが開設され、運用されています。
しかしながら、いざ始めようと思っても考えなければならない部分は非常に多くあります。
どこにWEBサイト制作を依頼するのか?自作するのか?WEBサイト名やドメイン取得はどうする?など…
今回は、法の観点から見るWEBサイトを作るにあたっての注意点や押さえておきたいポイントをご説明します。
1.自分が思い描いたネットビジネス用のWEBサイトを作るには
(1)外注制作会社を探す
まずWEBサイトを作るにあたって、専門的な分野であるネットワークの知識やプログラム言語などを習得した方でないと、本格的なWEBサイトやショッピングシステムを構築することは難しいものです。
そのような場合、多くはWEBサイト制作会社に外注することになりますが、見積を依頼する時点で、「自分が思い描いているサイトをしっかり作ってくれるか」という部分に重きをおいて外注会社を探しましょう。
外注を検討している制作会社には、どんなサイトにしたいか、各ページはどのような構成にするのか、訪問者はどのような流れで購入するのか、いつまでにサイトをオープンしたいのか、など希望をしっかり伝えましょう。
依頼することになったら、必ず契約書として上記の内容を書面に残すことがポイントです。
(2)なぜ契約書が必要なの?口約束でも契約は有効では?
できあがったWEBサイトの納品後、希望を伝えたのに思っていたサイトと違っていた場合、「そんなことは聞いていない」「言われた通りに制作した」という制作会社とのトラブルは避けたいものです。やはりイメージを伝えているだけなので、なかなか思い通りに出来上がらないのが一般的で、トラブルが後を絶ちません。
書面に残すことで証拠となり、納品後の修正や改善要求等に受注側の責任として応じてもらうことができます。
納期や金額についても明確に契約書に記載すると、WEBサイト制作に起こりやすい納期遅延の対策となります。
実際に遅延となった場合は、法律上、契約書に明記されていなくとも損害賠償請求をすることができますが、契約書の記載内容によっては損害賠償の額が少なくなってしまうこともあります。
制作会社から提示された契約書の内容に不安がある方は、弁護士などにリーガルチェックを依頼するとよいでしょう。
2.WEBサイトの名前、サービス名とドメインの決定は慎重に
(1)商標を侵害していないか検索
実店舗を構える際にも同様のことが言えますが、サービス名(商品名)、ロゴマークなどを決める際は、すでに世に出ているものの商標権を侵害していないかを確認する必要があります。
先に商標登録されたサービス名や商品名、ロゴマークに類似したものは使用できません。
独立行政法人 工業所有権情報・研修館が運営している「J-PlatPat」では、商標登録されているサービス名などの検索ができるので、ここで調べてみるのも方法の一つです。
J-PlatPat特許情報プラットフォーム
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage
しかしながら、類似サービス名や類似ロゴの検索はできても、商標権侵害にあたるかどうかの明確な基準までは、上記サイトではわかりません。
サイト開設後、スムーズに運用を進めたいのであれば、弁理士などに商標権侵害の調査とサービス名やロゴなどの商標登録を依頼してみるといいかもしれません。
商標登録まで行ってしまえば、今度は他人からのサービス名やロゴの侵害を防ぐことができ、安心してビジネスに取り組むことができるでしょう。
(2)ドメインはオリジナル性のあるものに
さらに、WEBサイト特有なものとして「ドメイン」があります。
これはネット上の住所といわれるものですが、独自ドメインといって、先に取得されていなければ自由に好きな文字列で取得することができます。
例えば、この「那珂川オフィス」サイトでいうと「nakagawa-lawoffice.jp/」の部分です。
このドメインを、「大手企業と同じ名前で最後の部分だけちょっと違う」ものにしてしまったらどうなるでしょうか。
これは、消費者(訪問者)にその関連企業であるかのように勘違いされ、混同をまねく行為として不正競争防止法の違反に当たる可能性があり、損害賠償請求や信用回復措置請求の対象になりかねません。
法律の観点から他人の真似をしないことはもちろん重要ですが、個人的な意見としては、オリジナリティのあるドメイン名を取得することで自身のサイトに愛着が湧き、サイトをより良くしていこう、という気持ちにつながるのではないかと思います。
3.WEBサイトが完成。更新を自分で行う時に気を付けたいポイント
(1)ブログページも開設!でもその画像、大丈夫…?
例えば、WEBサイトを開設し落ち着いてきた頃、商品についてのPRをブログで行うこととなったとします。
ネットを閲覧中に、たまたま同じ商品の写真を掲載していた他のサイトを見つけたので、無断でコピーし、あたかも自分が撮影したかのようにサイトへ掲載しました。
すでにご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、このような場合、著作権侵害にあたり、掲載元から損害賠償請求をされることもあります。
たとえありふれた街の風景の写真や小さなアイコンでも、他人が撮影・制作したものに対して、無断で使用することは許されません。有名人や著名人の写真ももちろん無断使用は違反です。
商品の写真撮影は自身で行うか、カメラマンに依頼しましょう。最近では、自身で撮影した写真を切り抜いたり加工してくれるWEBサービスなどもあります。
(2)過大表示や紛らわしい表現に気をつける
テレビCMや広告チラシなどでも問題となっていますが、実際の商品より良く見せる「有利誤認表示」はWEB上でも起こります。
「通常価格〇〇円のところ、今なら特別に●●円!」という表記をよく見かけますが、実際にはこの通常価格で一度も販売したことはなく、特別価格での販売が常態化していた場合、
景品表示法違反となるおそれがあります。
その他にも、アプリゲームなどでは途中から有料になるのにも関わらず「完全無料で遊べる」と表記したり、「必ず痩せるナンバーワンサプリ」などという医学的にも根拠がない文言を掲載することも景品表示法(または薬事法・薬機法違反)になります。
4.まとめ
今回はネットビジネスを始めるにあたって必要なWEBサイトについてご説明しました。
起こり得る多様なトラブルに先回りし、予防策を講じることで息の長いWEBサイトとなり、ビジネスも加速していくことでしょう。
制作会社との契約や著作権についてはビジネスに関わらず、趣味のサイトや、サークル活動でのコミュニティサイトなどを制作する際にも気をつけたい部分ではないでしょうか。
そのような方々もぜひ参考にしていただければと思います。