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一度結んだ契約が取り消せる?「クーリング・オフ制度」とは?

エステの無料体験に行ったら、そのまま勧誘を受けて契約を結んでしまった、という経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか?
その場で断りづらくて契約してしまった…。勧誘トークに乗せられて契約を結んでしまったが後悔している…。
このように、エステ以外の取引でも、一度契約を結んでしまったときに、クーリング・オフ制度を利用して契約を解消することができます。
今回は、そんなクーリング・オフ制度について詳しくみていきましょう。

1. クーリング・オフ制度とは?

「クーリング・オフ制度」という言葉、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?クーリング・オフ制度とは、特定商取引法やその他の法律に定められた消費者を守る特別な制度で、消費者が、訪問販売などの不意打ち的な取引で契約したり、マルチ商法などの複雑で、リスクが高い取引で契約したりした場合に、一定期間であれば無条件で、一方的に契約を解除できる制度です。この時、消費者は一切の金銭を払う必要はありません。
クーリング・オフができる取引と期間はこのようになっています。

こちらの表の中には、あまりなじみのない専門的な言葉もあるので、補足しておくと、⑤の「業務提供誘引販売取引」はいわゆる内職商法・モニター商法等のことです。内職商法は、「在宅ワークで高収入」と自宅でできる高収入の仕事を提供するなどと説明し希望者を集め、仕事のために必要だと教材や機材を購入させる商法のことです。教材などを購入しても、実際には仕事がなく、その対価がほとんど得られないというようなトラブルも近年増加しています。
また、モニター商法は、モニター(商品を購入するときに口コミを投稿したり、宣伝活動を行ったりする消費者のこと)になると商品が安くなる、もしくはモニター料の名目で収入を得られるといった勧誘を行う商法のことをいいます。

着物・布団・健康食品などの商品が取り扱われることが多いです。⑥の「訪問購入」は、訪問販売のようにリサイクル業者などの購入業者が消費者の自宅を訪問し、物品を購入する商法です。中には、突然家に訪問し、ブランド品や貴金属類を強引に買い取る悪質なケースもあります。

最後に、今回冒頭で述べたエステの契約は、こちらの表を見ていただくとわかるように、③「特定継続的役務提供」にあたります。特定継続的役務提供とは、長期・継続的なサービスの提供と、それに対して高額の対価を請求される取引のことを言います。対象となる役務は、特定商取引法で限定列挙されています。

それぞれの取引名がどのようなものなのかが分かったところで、次は、この特定継続的役務提供に分類されているエステは、なぜクーリング・オフ制度の対象になるのかを見ていきたいと思います。

2. エステがクーリング・オフ制度の対象になるのはなぜ?

なぜ、エステがクーリング・オフ制度の対象になるのかをエステのサービス提供の仕組みとともに説明したいと思います。
エステの契約を結んだら、その後長期・継続的にサービスを受けていくことになります(月に1回など、定期的に通う契約内容になっていることが多いです)。

しかし、そのサービス内容(施術内容)は受けてみて初めて分かるものなので、認識が曖昧なままで契約をしてしまう方も多いです。曖昧な認識のまま、勧誘されるがまま契約を結んでしまい、家に帰ってから「契約しなければよかった」「契約を解除したい」という人が多く、そういったときに契約を解除できないとなると、契約が消費者にとって不利なものになります。
不利な契約から消費者を守るためにあるのがクーリング・オフ制度なので、エステもこのかぎりなのです。
しかしここで注意しなければならないのが、エステはクーリング・オフの対象ですが、
① 契約書面を受領した日から8日間
② 契約期間が1か月以上・また金額が5万円以上
という条件を満たしている場合のみクーリング・オフが可能です。もしも契約期間が2週間で、3万円のエステの契約を結んだときは、クーリング・オフ制度の対象外となりますので、ご注意ください。

また、エステ以外の「特定継続的役務提供」にあたるサービスは、契約期間が2か月以上で、契約金額が5万円を超えるものがクーリング・オフ制度の対象です。
エステとエステ以外ではクーリング・オフの対象となる条件が異なってきますので、制度を利用する際は契約金額・内容をしっかり確認しておきましょう。

クーリング・オフ制度の仕組みが分かったところで、次は実際にどのようにしてクーリング・オフをするのかを見ていきましょう。

3. エステの契約でクーリング・オフ制度を利用するには

エステのクーリング・オフをする際、事前に注意しておかなければならないことがあります。

① 消耗品の使用の有無
エステの契約をした際、ボディクリームなど消耗品を提供される場合があります。この消耗品を使用している場合は、消耗品はクーリング・オフの対象外となってしまいますので、ご注意ください。

② 契約書類を保管しておく
クーリング・オフの通知書に、契約時の担当者名や商品名・契約金額などを正確に記載しなければなりませんので、契約書類を保管しておく必要があります。通知書送付後も何があるか分かりませんので、契約書類は一式とっておきましょう。

③ 書面で解約手続きを行う
書面以外の方法(電話など口頭のみ)でクーリング・オフの通知を行うと、証拠が残らず言ったか言っていないかというトラブルにもなり得るので、必ず書面で手続きを行いましょう。

④ クレジットカードの支払いの場合はクレジットカード会社にも書面を送付する
クレジットカードを使用した契約の場合は、同じ内容の通知書をクレジットカード会社にも送付しなければなりません。

これらの注意点を踏まえて、クーリング・オフの通知を行う際は、必ず内容証明郵便で行うようにしましょう。クーリング・オフは、8日間という期間が決まっている以上、通知を送ったものの、それた届いたか届いていないかといったトラブルになってしまうと、間違いなく期間を経過してしまいます。内容証明郵便であれば、どんな内容の文書をいつ発送し、いつ到達したかを後に証明することができますので、利用しましょう。

通知書の送付後、通知書を受け取った企業から契約の解除、返金がなされます。
返金がない、遅いなどトラブルが発生した際は消費者生活センターや弁護士など専門家に相談しましょう。

4.まとめ

クーリング・オフ制度は知っておくと、不本意な契約を結んだ時にも一方的にこちらから解除を要請できるので、役立つ制度です。

しかし、期間や条件が決まっているので、どんな契約内容でも必ず解除できるわけではありませんし、クーリング・オフ制度を利用したとしても、返金に関して思わぬトラブルに巻き込まれてしまう可能性もあります。そうなった場合は早めに専門家に相談しましょう。

また、断る意思を持つことも大事なので、契約を結んでしまう前に、自分の意思を確認し、しっかりと伝えるようにしましょう。