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【離婚問題】離婚と子供の問題―面接交渉権―

離婚に伴い子供の親権を取得することが出来なかった場合、今後子供との面会が出来るのか、どの位の頻度で面会が出来るのか分からないことはありませんか?今回は子供との面会交流についてご説明します。

1.面会交流権とは

離婚時に親権を取得することが叶わず、子供と離れて暮らすことになった親には、面会交流権が認められています。面会交流権とは、訪問、文通、電話などを通じて子供と交流する権利のことです。

この権利に基づいて、子供と親が連絡を取り合ったり、会ったりすることを一般的に面会交流と言います。なお、以前は「面接交渉」という言葉がよく使われていましたが、現行民法に、「父又は母と子との面会及びその他の交流」という文言が明記されたことから、「面会交流」という言葉で使われることが多くなりました。どちらも同じ意味ですので、ここでは「面会交流」という言葉を使います。

2.面会交流の内容を決めよう

面会交流の取り決めについては、離婚の成立前に離婚協議書等で文書化して残すことが理想ですが、実際にどの様な項目について調整する必要があるのでしょうか?

◆頻度と時間……週、月当たりの回数、1回当たりの所要時間
◆場所……面会場所の制限の有無
◆宿泊の有無……宿泊の可否
◆子供の受渡し……受け渡し場所、受け渡し場所までの交通費の負担
◆学校行事等……入学式、卒業式、運動会等の行事への参加の可否
◆長期休暇時……夏休み、冬休み等の連休中の対応
◆間接的な交流…手紙や電話、メール等間接的な交流の可否、制限
◆お小遣い等……面会時にお小遣いやプレゼントを渡すことの可否

以上が、面会交流に関して一般的に取り決めておくべき内容となります。他にも互いの生活状況によって個別に決めておくべきこともあるため、事前に弁護士などの専門家に相談し、決めるべきことを整理しておくことが理想です。
なお、夫婦間での協議が不調に終わったときには、家庭裁判所において調停等の手続きを利用することになります。

3.面会交流の拒否・制限について

離婚したときの理由、状況によっては、子供を監護している親側に、子供の面会交流を実施させたくない理由があるかもしれません。しかし、面会交流を拒否するだけの一定の理由がなければ面会交流を拒否することは認められません。

では、どの様な理由があれば面会交流を拒否することが可能なのでしょうか?基本的には「面会交流を実施することが子供の福祉に悪影響を及ぼす」場合には面会交流の拒否を認められる可能性があります。代表的な理由の一例を紹介します。

①子供が暴力を受ける可能性が高い
②子供の連れ去りの可能性がある

これらの理由については面会交流を拒否する理由として認められる可能性があります。その他にも、子供が自分の意志で考え話すとことが可能な年齢であれば、子供自身が面会交流を拒否する「子の拒否」も理由の1つになります。
仮に、例に挙げたような理由で面会交流の拒否を相手に伝え、相手が納得しないときは、家庭裁判所において調停等の手続きをとることになります。

面会交流の拒否についてはこちらもご覧ください。
面会交流~面会交流をさせたくないときは?~

4.子供が連れ去られたときの対処

もし、子供の親権を取得していたのに、相手が子供を引き渡してくれない場合や、面会交流時にそのまま連れ去ってしまった場合はどの様に対処すべきなのでしょうか?以下に具体的な対処法についてご説明致します。

①子の引き渡しを求める調停・審判

家庭裁判所に「子の引き渡し」の調停を申し立てます。調停では、調停委員を介して話し合いでの解決を目指します。しかし、親権者が子の引き渡しについて裁判所を利用するようなケースでは、問題が複雑化していることも多いため、調停では相手が引渡しに応じない可能性が高く、調停が不調に終わることも多くあります。

その様な場合は、自動的に審判に移行します。審判では、話し合いではなく裁判官が一切の事情を考慮して決定します。

②審判前の保全処分

子の引渡しの調停、審判は解決までに一定の時間を要するため、同時に「審判前の保全処分」を申し立てるケースが多いです。審判前の保全処分とは、調停、審判の終結を待っていると当事者の権利の実現が難しくなる場合に、裁判所が権利対象に対する保全(保護)を行うものです。あくまで調停、審判が終結するまでの暫定的な処置となります。

子の引渡しのケースでは、「審判前の保全処分」が認められると、調停、審判の決定を待たずに「子供を仮に引き渡すように」という保全命令が下されます。また、審判前の保全処分では「間接強制」をつけることもできます。具体的には「子供を引き渡すまで1日○○円を支払え」というような金銭的な負担を与え、相手が保全命令を履行することを促す効果が期待されます。

③人身保護請求

人身保護法第2条に基づく人身保護請求は要件が厳格であり、相手の手元に子供が居るというだけでは請求が認められることはありません。子の引き渡しの場合で言うと、子供の拘束について顕著な違法性があり、子供の自由な意思に反していることが要件となります。

そのため、個別具体的事情に鑑みて法律の要件を満たしているのか検討しなければなりません。また、要件のうちどれが問題となるかで主張すべき点が大きく異なってくるため、法的な知識も必要となります。更に、原則として弁護士を代理人として請求する必要もあるため、専門家へ相談のうえ、当該手続きを利用すべきかも含め検討すべきです。

5.おわりに

面会交流を実施するうえで大切なことは、子供の福祉を一番に考えつつ、将来的に面会交流についてトラブルが起きないように、離婚時に将来的なことも含めた条件を決めておくことです。

万が一、トラブルが発生したときには、子供が当事者であることからも可能な限り迅速に必要な手続きを進めることが大切です。もしトラブルが発生した場合には、速やかに専門家へ相談し、子供の安全の確保、その後の対策等について相談することをお勧めします。