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相続放棄をする理由

当事務所は、相続を専門として取り扱っているため、日々相続に関する様々なご相談が来ます。 その中で、相続放棄をしたいというご相談も非常に多くいただいています。

みなさんは、相続放棄をしたいと考えてご相談に来られる方はどんな方が多いと思いますか?今回は、相続放棄を行う理由等についてご説明させていただきます。

相続放棄とは?

まず、相続放棄について簡単に説明します。
相続とは、ある人が亡くなった時に、亡くなった人の財産を特定の人(相続人)が引き継ぐ(承継する)制度をいいます。

そして、相続放棄とは、相続人が、被相続人からの上記財産の承継(相続)を拒否する制度です。
相続放棄をすることで、相続人は初めから相続人ではなかったことになるため、被相続人からの財産の承継をしないことになります。

相続放棄をする理由

まず、法律上、相続放棄をする理由に制限はありません
したがって、どのような理由であっても相続放棄をしたいと考え、相続放棄の申立を家庭裁判所に行うことにより(相続放棄の申述といいます)をすることで、相続放棄をすることが可能となります(なお、相続放棄は、「相続の開始があった」後にする必要があるので、被相続人の生前に相続放棄をすることはできません。)。

例えば、被相続人の財産が何億円もあるという状況であっても、相続放棄をすることは可能になります。
以下では、よくある相続放棄の理由についてご説明させていただきます。

マイナスの財産の方が大きい場合

先ほど、相続とは、被相続人の財産を承継する制度とお伝えしましたが、財産とは、プラスの財産だけではありません。 借金などのマイナスの財産も相続することになります。
そして、被相続人の財産について、マイナスの財産の方が大きい場合やマイナスの財産しかない場合には、相続人がマイナスの財産を受け継ぎ、借金などを返済しなければならないことになってしまいます。

こういった場合には、相続放棄をすることで、債務の返済義務を免れることができます。 相続放棄をする理由で一番多いと感じています。

管理が困難な財産がある場合

上記のような、マイナスの財産ではないものの、例えば、離島にある山林などのように、売却も困難であるような不動産の場合には、遠隔地に住んでいる相続人からすると、毎年固定資産税のみ発生する不動産となり、マイナスの財産と大差ない財産となってしまいます。
このような財産を相続してしまうと、自分の配偶者や子どもなどの家族にも迷惑をかけてしまうため、相続放棄をすることで、このような不動産を承継することを防ぐことができます。

相続人間の関係性が悪く争いになるのを避けたい場合

上記2つのように、相続すべき財産が存在しない場合だけでなく、十分な相続財産がある場合であっても相続放棄をするという方はいらっしゃいます、相続財産を相続するためには、相続人全員で、遺産分割協議を行う必要がありますが、相続人間の関係性が悪く、話し合いや争いごとをしたくないと思う場合には、相続放棄をすることで、相続人ではなくなるため、相続人間の紛争から逃れることができます。
もっとも、相続人間の話し合いについては、代理人として弁護士をつけることで本人が対応しなければならないという事態は避けられるため、是非弁護士にご相談ください。

その他

相続放棄をされる方の多くが上記3つの理由のどれかですが、あまりないレアケースとして、相続税の支払をさけるためという理由で相続放棄をする人もいらっしゃいます。
例えば、相続財産の換価が難しいが広大で非常に価値の高い不動産しかない場合には相続税は発生するものの、その相続税を納税するための資金(現金)がないという場合があります、そういった場合には、相続放棄を行うことで、相続人でなくなるため、相続税の申告義務を免れることができます。

最後に

このように、相続放棄は、負の財産の承継を防ぐことができたり、相続人間の不要な争いから逃れることができたりなど、メリットも多いのですが、その反面、プラスの財産についても取得することができなくなってしまいます。
相続放棄については、戸籍の収集や申立書作成等の手間もかかるうえ、そもそも相続放棄すべきかという点も検討しなければならないため、相続でお悩みの方は、是非、当事務所にご相談ください。

 

 

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