弁護士コラム

2022.10.20

マッチングアプリでの法的トラブル

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だいぶ前になりますが、婚活という言葉を耳にするようになり、その後、街コンや婚活パーティーなど結婚相手を探す手段がいろいろ増えてきました。
そして、近年ではマッチングアプリの市場拡大により、トラブルも増えているようです。
マッチングアプリは、一切素性がわからない人と会うことで、様々なトラブルに巻き込まれる恐れがあります。

例えば、本当は既婚者であるにもかかわらず独身であると偽った人と交際を続け、配偶者からある日慰謝料請求がされるというケースは少なくありません。
配偶者のある人と性行為等を行った場合、その行為は不貞行為と言われ、民法709条、710条に基づき、損害賠償を支払う義務を追うことになります(この場合の損害は、精神的損害(苦痛)すなわち慰謝料ということになります。)。

マッチングアプリでの法的トラブル

もっとも、いかなる場合にも慰謝料を払わなければならないわけではありません。
すなわち、民法709条の損害賠償請求権が認めらえる要件として、加害行為を故意または過失により行うことが必要になります。
配偶者のある人と性行為を行ったという場合には「配偶者であることを知りながら(故意)」もしくは「配偶者であると気づくべきであったにもかかわらず」性行為を行うことが必要になります。

例えば、相手に「独身である」と嘘をつかれており、かつ既婚者であると疑うべき状況がない場合には慰謝料を支払う義務はありません。
なお、交際当初は独身であると信じ交際に至ったとしても、既婚者であると知った後に性行為を行った場合には、知った後の行為については不貞行為に該当するため慰謝料を支払う義務を負うことになります。

したがって、既婚者であると知った後については、直ちに交際を解消し二度とかかわらないほうがいいでしょう。
既婚者の決まり文句として「妻とは別れるつもりだ」とか「もう離婚しているのと同じ」などと言って関係の継続を迫る人は少なくありません。
しかし、そのような言葉を信じたとしても基本的に慰謝料を払わなければならないことには変わりありませんので、きっぱり関係を絶った方がいいでしょう。

マッチングアプリでの法的トラブル

その際、弁護士としてアドバイスするのであれば、関係を断つ前にきちんと「独身であると言われたので交際したこと(既婚者であるとわかっていれば交際していなかったこと)」「既婚者とわかった以上交際を継続することはできないこと」をメールやLINEなどできちんと伝えておいた方がよいでしょう。
これにより、万が一慰謝料請求がされた場合にも、既婚者であると知らなかったことを客観的に基礎づける証拠を確保できるため、裁判などの不要な争いを避けることができる可能性が高まると思います。

マッチングアプリという婚活に便利なものが生まれてくることにより、新たな法的トラブルも増えてくると思います。
こういったトラブルは、「まさか自分が巻き込まれるとは」と思ってもみないことが突然起きるものです。
もし巻き込まれてしまった場合には、直ちに弁護士に相談することをお勧めします。

 

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