皆さんや皆さんのお子さんは、ピアノ教室や音楽教室に通われたことはありますか?
はずかしながら、私は小学校のころエレクトーン教室に通っていましたが、全然上達せず(楽譜もスムーズには読めません)いやいや通っていました。
妻は、高校までピアノを本格的にやっており、自分の子どもにもピアノを教えたいと話しているのですが、自分で弾くのと教えるのでは、どうやら勝手が違うようで、子どももすぐに飽きてしまい、しっかり教えることはできていないみたいです。
そんな、音楽教室について、先日(令和4年10月24日)、最高裁判所で判決が出されました。
この事件は、楽曲の著作権を管理する日本音楽著作権協会(JASRAC)が、平成29年に音楽教室を相手に楽曲の使用料を請求する方針を示したことに対し、多数の音楽教室の運営会社が、使用料を支払う義務がないと主張して訴えを起こしたものです。
著作権法38条1項では、①営利を目的としていない、②聴衆または観衆から入場料等の料金を徴収しない、③演奏者等に報酬が支払われないという3つの条件を全て満たさない限り、著作権がある楽曲を公で演奏する場合には、著作権者の許可、すなわち楽曲の使用料の支払がなければ演奏することができないとされております。
そして、今回の裁判では、音楽教室での演奏が営利を目的とした演奏であるか否かが争点となりました。
この裁判の第2審では、まず、音楽教室の先生の演奏は営利を目的としたものであるため、演奏する場合には楽曲の使用料を支払う必要があると判断しましたが、音楽教室に通う生徒が演奏する場合には、営利目的には当たらないため、楽曲使用料は不要であると判断しました。
そして、最高裁判所は、生徒の演奏について判断を行いました。
最高裁は、生徒の演奏の目的は「教師から指導を受けて技術を向上することで、課題曲の演奏もそのための手段にすぎない」とした上で、教師や教室の関与についても「教師によって伴奏や録音物の再生が行われたとしても生徒の演奏を補助するものにとどまる。
教師は課題曲を選んで指示や指導をするが、生徒が目的を達成できるよう助けているだけだ」として、演奏は生徒の自主的なものであり、音楽教室が生徒に演奏させているわけではない(営利目的はない)として、生徒の演奏について音楽教室から使用料をとることはできないと結論づけました。
これまで、楽曲の著作権使用料をめぐっては、カラオケやライブバーなどについても裁判で争われてきましたが、使用料の徴収を否定した最高裁判決は初めてになります。
この最高裁判決により、音楽教室では、先生の演奏のみに楽曲使用料が発生することになりました。
なお、楽曲使用料が発生するは、上記のとおり著作権の保護がある楽曲だけですので、クラシックの楽曲や古い楽曲など著作権が消滅した楽曲を演奏する場合には使用料は発生しません。
楽曲の使用については、一般の人は安易に無許可で使用してしまい、後々でトラブルに巻き込まれることも少なくありません。
楽曲使用について不安があれば、是非一度、弁護士法人菰田総合法律事務所那珂川オフィスにご相談ください。
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