弁護士コラム

2022.11.15

投げ銭、スパチャが犯罪に??

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皆さんはYouTubeやTikTok等の動画配信サービスは利用されていますか?
私は、YouTubeで格闘技の映像やミュージックビデオ等をよく見るのですが、スマートフォンで見ていると、息子に取られてしまいます。
息子は今、仮面ライダーにドはまりしているので、おすすめ動画に頻繁に仮面ライダーの動画が上がってきます。

ご存じの方も多い方思いますが、動画の配信者に対し、視聴者が任意の金額を設定して投げ銭を送ることができるサービスがあります。
いわゆるスパチャ(スーパーチャット)などの投げ銭機能です。

投げ銭、スパチャが犯罪に??

動画の配信者としては、再生回数などに応じた収入に加えて、直接金銭を得ることができ、他方、視聴者としては、推している配信者へ直接支援をすることができ(多くの配信者が、投げ銭がされた際、投げ銭をした人へ感謝の言葉を述べているものが多く、そういった点でもファンが配信者を身近に感じることができ、投げ銭が多く利用される理由かもしれません。)、双方にとっていい制度であると思います。

しかし、そんな投げ銭、スパチャを受けることが犯罪になってしまう恐れがあるのです。
軽犯罪法1条第22号により、「こじきをし、又はこじきをさせた者」は拘留又は過料に処せられることになります。
この軽犯罪法上の「こじき」とは「不特定の他人の同情に訴えて、自分や扶養する家族の生活のため、無償またはほとんど無償に近い対価を提供して、必要な金銭や品物を求める行為で反復継続されるもの」をいいます。

例えば、動画を配信し、「生活が苦しい」「食うものにも困っているのでみんなからの投げ銭が欲しい」「こんな生活をかわいそうだと思ったらスパチャしてほしい」などと発言し、投げ銭等を集め続けていた場合には、軽犯罪法違反という犯罪で処罰される可能性があるということです。(実際に物乞いをする様子を動画配信した人が書類送検された事例もあるようです。)

投げ銭、スパチャが犯罪に??

もっとも、上記の軽犯罪法に反する行為になってしまうのは、「同情に訴えて」「生活のため」「無償で」という要件があります。
単に欲しいものを伝える行為(ほしいものリストをアップする行為)は同情に訴えるものではなく要件を満たしません。

また、一定の活動のための支援やお布施等は「生活のため」という要件を満しませんし、大道芸人や路上パフォーマンスのおひねりや、クラウドファンディング等や、対価の提供があるため、これも軽犯罪法の要件を満たすことはありません。
したがって、多くの投げ銭は軽犯罪法に抵触することはないと思います。

そもそも、憲法上、国民には勤労の義務が定められており、働くことができる人は働くことが求められており、物乞い行為が許されてしまうと、働かず物乞いを行う人が増えてしまうため、軽犯罪法で禁止されています。

有名なYouTuber等が多くの投げ銭をもらっていたりすると、単純に「いいなぁ」と思ってしまいますが、YouTuberの方もそれだけ多くの投げ銭をもらうためにいろいろなコンテンツを考え、配信しているのを見ると、何もせずに楽して儲けるみたいなことはできないのだなと思い、自分はこつこつ仕事を頑張ろうと思いました。

 

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