弁護士コラム

2018.06.24

婚約破棄後の慰謝料請求について

【相談事例⑨】

2年ほど付き合っていた彼女に昨年末プロポーズをしました。今年の2月に同棲を始め,お互いの両親へ挨拶も済ませました。両家の顔合わせはや結納はまだしていませんが,婚約指輪の購入はすでに購入し,来年に結婚式をするために式場に仮予約を行っていました。もっとも,同棲し活を始めてから価値観の違いや将来の子育ての考え方などが合わないと思い,結婚することはできないと感じました。そこで,私から別れようと伝えましたが,相手は納得してもらえず,相手から弁護士をつけると言われました。今後、慰謝料など請求される可能性はあるのでしょうか?

 

【弁護士からの回答】

 今回のご相談における争点は,「当事者間で婚約関係が成立していたか否か」です。すなわち,ご相談者様が別れを切り出した段階で,当事者間で婚約成立していると判断される場合には,婚約破棄に対する慰謝料等を支払う必要があると考えられます(婚約破棄の正当性の問題は残りますが,その点については,別の機会にご説明させていただきます。)。そこで,今回は婚約についてご説明させていただきます。

 

1 婚約とは

 婚約とは,辞書的な意味でいうと文字通り「結婚の約束をすること」をいい,例えば,当事者間で「結婚しよう」とプロポーズにより約束したことでも,辞書的な意味での婚約には該当します。

 もっとも,辞書的な意味の婚約と,法的な意味での婚約とは内容が異なります。すなわち,法律上(裁判上)問題となる婚約とは契約であるため,契約が成立していると認められることが必要になります。具体的には,男女相互が真剣に若しくは,誠心誠意をもって,将来婚姻(結婚)することを約束した場合に限り,婚約(婚姻予約)として法的に保護すべきであると考えらています。この「法的保護すべき」という意味は,相手方が正当な理由なく,契約上の義務を違反した場合には損害賠償を請求することができると意味です。男女間で「将来結婚しようね」と約束しあっていたとしても,若い男女であれば,そのような口約束を行うことは頻繁にあると考えられるため,そのようなカップルすべてに別れたときに損害賠償を支払うべきとするのは適切でないと考えられているため「真剣」さや,「誠心誠意」さが別途必要であると考えられています。

 

2 婚姻の成否における判断要素について

 では,法的な観点からどのような事情を考慮して,「真剣に若しくは誠心誠意をもって婚姻することを約束した」のか否かを判断するのでしょうか。

 古い裁判例ではありますが,過去の裁判例での判断要素をみると,当事者の合意があることに加え,その合意が親族,友人,職場等の第三者に対しても明らかされているか否か,同居の有無,婚姻指輪(単なる指輪よりもイニシャルなどが刻印されている指輪であるかということも重要になります。)の購入の有無,結納を行ったか否か,式場を予約しているか否か,継続的な性交渉の有無,合意時の当事者の年齢,これまでの交際期間及び内容などを総合的に考慮して判断をしています。よく,「結納を行っていないので婚約は成立しない」などと考えられている方もいらっしゃいますが,婚約の成立には必ずしも結納を行わなければいけないわけではありません(最近では結納ではなく,両家の顔合わせなどの方が多いと思われます。)あくまでも結納を行ったことは婚約が成立したことを基礎づける要素にしかすぎません(重要な要素であることは間違いありません)。

 

3 今回のケース

 ご相談者様のケースでは,結納はまだ行っていないもの,交際期間も2年以上であり,すでに両親への挨拶(おそらく,「結婚させてください」という挨拶なのでしょう。)や同居などを行っており,かつ,婚約指輪の購入,結婚式場の予約など結婚に向けた具体的な関係が形成されていると思われるので,難しいところではありますが,婚約が成立していると判断される可能性の方が高いのではないかと考えております。

 このような,婚約破棄のトラブルでは,当事者のみならず,両家の親族も巻き込んだトラブルに発展しかねないため,是非一度,弁護士にご相談ください。

2018.06.23

借用書がない場合の返済義務について

【相談事例⑧】

個人事業をしているのですが,8年前,事業がうまくいかなかくなったため,叔母から500万円借りていました。「母からは返せるときに返してくれればいいよ」と言われており,いつまでに返すというような取り決めもありませんでした。その後,叔母が亡くなり相続人から800万円を返すように言われています。亡くなった叔母との間には借用書も取り交わしていないので,法的には返さなくてはいけないのでしょうか?

 

【弁護士からの回答】

 借りているお金の返済等についてご相談に来られる方の多くが,「契約書が無いので払わなくていいのですか?」と質問されるのですが,結論からお伝えすると,契約書がなくても,法律上は借りたお金を返さなくてはいけません。したがって,今回のケースでは,ご相談者様は,ご相談者様の叔母の相続人に対し,叔母から借りていた800万円を支払う必要があります。今回は契約書の要否や,金銭消費貸借契約についてご説明させていただきます。

 

1 契約の成立について

 民法で規定されている契約は売買契約,賃貸借契約や今回問題となっている消費貸借契約等13種類あります(これを,「典型契約」といいます)。この典型契約のうち,契約書の作成が義務付けられている契約は1つも存在しません。これに対し,保証契約(保証人になるための契約)については,他人の債務を背負う契約になるので法律上,書面を作成しなければ,契約の成立は無効になります。

 また,典型契約のうち,契約成立するために,口頭の合意のみであれば足りる契約を諾成契約といい,契約の成立に,口頭の合意に加え,目的物の引渡し等の物の移動などが必要になる契約を要物契約といいます。今回問題となっている金銭消費貸借契約は,お金を返還する約束(口頭の合意)に加え,貸主から借主に対する金銭の移動(貸渡し)が必要になるため,要物契約に該当します。

 このように,契約の成立自体については,諾成契約と要物契約という違いはあるものの,契約書を作成しなくとも契約は成立し,契約内容にしたがって義務を負うことになります。

 したがって,ご相談者様の事例においてもご相談者様と叔母との間で,800万円を借り入れ(貸渡し)及び返還の約束も行っているので,金銭消費貸借が成立し,ご相談者様は,叔母の相続人に対し800万円を返済する義務があります。なお,ご相談者様の事例では,返済時期について「返せるとき」というあいまいな形で合意をされていますが,このように返済時期を明確に定めない消費貸借契約も有効であり,民法591条1項により相当の期間を定めて返還の催告をし,相当期間が経過した時点で返還義務が生ずることになります。

 

2 契約書作成の必要性

  今回のご相談者のように,契約書が無いので返さなくてよいというような間違った考えの方が少なからずいらっしゃることは事実です。真実はお金を貸したのに,借りた覚えはないと嘘をつかれてしまうと,裁判によってお金を返すよう求めなければなりません。その際,お金を返して欲しいと主張する側において,契約の存在を証明する必要があるのですが,契約書がないと,お金を貸したことに関する証拠が存在せず,最終的に,裁判で負けてしまう可能性が非常にあります。もっとも,契約書がなかったとしても,相手の口座に入金した記録や,借りるまでのメールのやり取り等,契約の存在を契約書以外の事実から証明すること自体は可能ですが,一番トラブルを防ぐためには,契約書を作成しておくのが一番でしょう。

 したがって,大きな金額などを取引する場合には,きちんとした契約書を作成する必要があるため,是非一度弁護士にご相談ください。

2018.06.22

離婚後の借金について

【相談事例⑦】

半年前に別れた夫が借金をしていたことが分かり,一緒に生活していたときの借金だから返済に協力するよう元夫の家族から連絡がありました。結婚していたときの給料や生活費の支払いについては全て夫が支払っていたのですが,どうやら夫の給料だけではやっていけなかったようで,私には内緒で借り入れを続けていたようです。当時は消費者金融からお金を借りていることを全く知らなかったし,このお金は返さなくてはいけないのでしょうか?

 

【弁護士からの回答】

 日本での契約に関する責任については,個人責任,すなわち,契約を締結した当事者のみがその契約に基づく責任を負うという原則を採用しているため,夫婦であるとしても他の配偶者の契約上の責任を負うことはありません。もっとも,夫婦については,例外的に一方の契約上の責任が,他の配偶者にも認められると場合があります。そこで,今回は,日常家事に関する連帯債務についてご説明させていただきます。

 

1 日常家事に関する連帯債務について

 連帯債務とは,債権者に対して複数の債権者が連帯して債務を負担することをいい,例えば,不動産を購入するときに,夫のみの収入では銀行などのローンが下りないときに,夫婦で銀行から借り入れを行うときには,2人で住宅ローンを借り入れているので,連帯債務になります。通常,連帯債務を負うためには,上記の個人責任の原則から,自ら契約の当事者になる必要があり,自らの知らないところで勝手に連帯債務者になることはありません。

 もっとも,民法761条では,「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは,他の一方はこれによって生じた債務について,連帯してその責任を負う。」と規定しており,他の配偶者が自らの知らないところで,日常家事に関する法律行為を行った場合であっても,その法律行為に関する債務については,連帯債務として責任を負うことになります。

 

2 日常家事とは

 では,民法761条の「日常の家事」とはどのようなものが含まれるのでしょうか。民法761条は日常家事に関する法律行為について連帯債務とすることで,取引の相手方を保護するための規定であることから,日常家事に該当するか否かは,客観的にみて日常家事,すなわち,夫婦の共同生活に必要な事項に該当するか否かを判断することになります。具体的には,子の養育,教育に関する費用,食料,衣類などの購入費用,光熱費などについては,日常家事に該当するとされています。

 

3 生活費のための借り入れについて

 では,ご相談者様の事例のように,元ご主人が結婚していたときに,生活費のために借り入れた債務については,日常家事に関する債務に該当するのでしょうか。たしかに,日常家事のために借りている以上,連帯債務となるとも思えます。

 しかし,先ほどもご説明したとおり,日常家事に該当するか否かは,客観的に,すなわち行為の外形から判断するため,「衣服や食料を買う」という行為とは異なり,「お金を借りる行為」が日常家事に該当するものではありません。生活費という日常生活に使う目的があるということは,あくまでも,借りる人の主観にすぎません。また,お金を貸す債権者としては,お金を借りる人が日常生活(生活費)に使うということを重視してお金を貸すわけではありません。その人の収入状況等をみて,返済することができるか否かを判断しており,現実的に,借りたお金を生活費に使おうが,他の借金の返済に使おうが,ギャンブルに使おうが,借りた人の自由であるため,日常家事として夫婦の連帯債務としてまで,債権者を保護すべき必要性はないといえます。

 したがって,日常家事のために借り入れた場合の借金ついては,日常家事に基づく債務には該当しないため,ご相談者様の事例においても,元ご主人の債務を返済する必要はありません。

2018.06.21

手抜き工事の際の損害賠償請求について

【相談事例⑥】

5年前の新築で家を購入しました(売主は,施工主とは別です。)。雨漏りや水道から水が漏れたりするのは欠陥ではないのでしょうか?他にも1年もせず壁にヒビが入っていたり,リビングの扉が閉まりにくくなったり,廊下も歩くとミシミシと音を立てるようになりました。

 建てた大手メーカー(施工主)の対応が悪く,何かと修理代を請求されます。明らかに手抜き工事をされているのではないかと思い,苦痛を感じています。

このようなケースは損害賠償を起こすことは難しいのでしょうか?

 

【弁護士からの回答】

 せっかく購入した新築で,こういったトラブルが生じてしまうと,生活していく上で,とても大変な思いをされるだけでなく,気持ちとしてもいい思いはしないでしょう。今回は,不動産の欠陥に関するトラブルについてご説明させていただきます。

 

1 請求できる法的根拠

  まず,不動産を購入(売買契約)した場合に,目的不動産に瑕疵(欠陥)が認められた場合には,売主に対し,瑕疵担保責任として損害賠償や,修繕費用の請求が認められます。また,欠陥について,施工主の過失が認められた場合には,不法行為に基づく損害賠償請求を行うことができます。

 

2 瑕疵担保責任について

売買契約における瑕疵担保責任については,瑕疵が「隠れた瑕疵」であることから必要になります(民法570条),隠れた瑕疵とは,買主が通常の注意力をもって発見することができない欠陥をいいます。具体的には,雨漏り,シロアリなどの虫食い,土壌汚染,基礎工事の傾き,土壌汚染などについては,隠れた瑕疵に該当することに争いはありません。この隠れた瑕疵が認められた場合には,買主は,瑕疵について,たとえ売主に全く過失がなかったとしても,損害賠償等を請求することができます(無過失責任)。もっとも,この瑕疵担保責任については,期間制限があり,引渡しの日から10年間(売主が宅建業者の場合には,引渡しの日から2年間)で時効になってしまいます。また,上記期間内にあっても,瑕疵を発見してから1年以内に行使をしなければ,損害賠償は認められません。

このように,宅建業者から購入する場合には,購入後,2年を経過した時点で発覚した瑕疵については,損害賠償等が認められないことになってしまいますが。新築の不動産の基礎構造の部分に関する瑕疵については,「住宅の寝室確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づき,宅建業者であっても,引渡し時より10年間は瑕疵担保責任を負うとされています。したがって,ご相談者様の場合でも,新築を購入している以上,売主は,10年間は瑕疵担保責任を負うため,修理費用については,本来であれば売主が負担すべき費用であると思われます。もっとも,瑕疵を発見してからすでに1年以上経過している部分については,請求することができないため,瑕疵を発見次第,早急に弁護士にご相談ください。

 

3 不法行為責任について

今回のご相談者様の事例では,施工業者である大手メーカーにおいて,手抜き講義がなされた可能性が否定できません。もっとも,売買契約自体は,メーカーとは別の売主との間で行っており,買主であるご相談者様とメーカーとの間には,直接の契約関係は存在しません。もっとも,平成19年7月16日最高裁判決では,建物の建築に携わる設計者,施工者及び工事管理者(「設計・施工者等」)は建物の建築にあたり,契約関係にない居住者等に対する関係でも,当該建物に建物としての安全性が欠けることがないように配慮すべき義務を負うとして,設計・施工者等がその義務に違反して建築された建物に,「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」があり,それにより,居住者等の生命,身体,財産が侵害された場合には,不法行為責任を負うと判断しました。また,「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」については,平成23年7月21日最高裁判例において,居住者等の生命,身体,又は財産を危険にさらすような瑕疵であるとし,かつ,現実的に危険をもたらしている場合に限らず,当該瑕疵を放置すればいずれは生命,身体,財産に対する危険が現実化することになる場合もこれに該当すると判断しました。

したがって,ご相談者の事例の場合にも,雨漏りや建物の歪み等について,その瑕疵の程度の問題はありますが,場合によっては,「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」に該当すると認められる場合には,売り主だけでなく,施工主の大手メーカーに対しても不法行為に基づく損害賠償請求をすることができます。なお,不法行為に基づく損害賠償請求については,「損害及び加害者を知った時」から3年間若しくは,不法行為の時から20年経過したときには請求することができませんが,瑕疵担保責任よりも,請求できる期間が有利になります。

いずれにせよ,不動産の瑕疵の問題については非常に専門的な事項が多々損害するため,是非一度弁護士にご相談ください。

2018.06.20

未成年が偽ってお酒を勧めてしまった場合は逮捕?

【相談事例⑤】

 未成年が成人であると偽っているにもかかわらず、お酒を勧めてしまった場合、逮捕されたりするのでしょうか?

また、未成年と分かった上で、飲酒を勧めてなくても一緒に飲んでいるだけでいけないのでしょうか?

【弁護士からの回答】

最近,芸能人がお酒の席に同席した未成年者に飲酒を強要したとして活動休止処分になりました。「お酒は20歳になってから」というCMでも表記でもあるように未成年者の飲酒は禁止されていますが,その根拠や違反した場合に本人や周囲の人がどのような制裁を受けるのかについて理解されている方はすくないと思います。そこで,本日は未成年者の飲酒についてご説明させていただきます。

 

 まず,未成年者の飲酒を禁じている根拠については「未成年者飲酒禁酒法」という法律があり,この法律は大正時代に制定された古い法律なのですが,この法律は,未成年者(満20歳に至らない者)は酒類を飲用してはいけないと規定されているのですが(1条),未成年者がその規定に違反して飲酒をしてしまったことに対する罰則は何ら規定されていないのです。したがって,未成年者が飲酒をしたとしても何か刑罰に問われることはありません。もっとも,飲酒の事実が明らかになると,警察から補導されることにはなりますし,それにより高校や大学などで停学や退学等の処分をうけることになりかねませんので,くれぐれも未成年での飲酒はしないよう注意が必要です。

 次に,未成年者であることを知りながらお酒を提供した場合,提供した飲食店に対しては,未成年者飲酒禁止法により,50万円いかの罰金が科される可能性があります。したがって,飲食店においては,未成年者の飲酒を認めないというような張り紙を掲示したり,未成年者と疑わしい人に対しては身分確認などを行い,未成年者でないと認識して飲食を提供したという状況を確保する必要があります。したがって,ご質問にあるように,未成年者であると偽られ,飲食を提供したとしても未成年者と知りながら飲食を提供したことにはなりませんで,罰則が科されることはありません。

 では,未成年者と知りながら飲酒を進めた同席者(大学の先輩や,ご相談のケースのアイドルの場合等)については何か罰則等は科せられるのでしょうか。未成年者飲酒禁止法では,未成年者の保護者又は監督代行者が未成年者の飲酒を制止しなかった場合に,科料(1000円以上1万円未満の金銭的な制裁を科す処分です。)という処分がなされます。すなわち,親族もしくは親族と同視すべき立場にある人に該当しなければ,未成年者の飲酒を制止しなくとも,犯罪自体には問われることはありません。したがって,アイドルによる飲酒の強要についてもそれ自体で,何か犯罪に触れるというものではありませんが,飲酒を禁じられている未成年者へ強要したという点では道義的,倫理的に問題があるとして活動を自粛することになったのだと思います。

 このように,未成年者の飲酒それ自体に関しては犯罪に該当する場合は少なくありませんが,飲酒をきっかけにして別の犯罪に巻き込まれ,または,過度の飲酒により急性アルコール中毒など取り返しのつかない事態になってしまうことも少なくないため,未成年者の飲酒は絶対に控えるべきですし,同席している人が責任をもって飲酒させないように心がける必要があると考えます。

2018.06.06

有責配偶者について③~例外の要件について~

<ご相談者からのご質問>

 有責配偶者からの離婚請求が認められる要件についてはわかりましたが,どういった場合に,各要件を充たすことになるのでしょうか。

<弁護士からの回答>

前回は,有責配偶者からの離婚請求が認められるための要件について,ご紹介させていただきましたが, 今回は,各要件の具体的内容や,どういった点が考慮されているのかについてご説明させていただきます。

 

1 はじめに(有責配偶者の認定)

 有責配偶者として,離婚の請求が原則として認められないことになるのは,ほとんどの場合が,不貞行為を行ったことを有責行為としてとらえられていますが,不貞行為を行った場合に限られるわけではありません。悪意の遺棄や,暴力,他のいやがらせ行為を行った場合等でも有責配偶者にはなりうる場合があります。

 

2 別居が長期間であること

 原則として,夫婦の同居期間と比較して別居期間が長期間であるか否かを判断することになります。また,夫婦双方の年齢も考慮要素となります。もっとも,これまでの裁判例をみてみると,別居期間が10年以上たっている場合等には,単純に同居期間と比較する余地もなく別居期間が長期にわたっていると判断される傾向にあるようです。したがって別居期間が10年未満という場合に,夫婦の年齢や同居期間等を総合的に考慮して,別居が長期間であるかを判断することになります。もっとも,有責性が認められない場合でも別居期間は2年~5年程度必要であると考えられているため,別居期間が5年以内の場合には,別居期間に関する要件が認められる可能性は少ないのではないかと考えています。有責配偶者となってしまった方が,ご相談に来られたときに「相手が離婚に応じないと主張してきた場合には,5年くらいの別居では離婚は認められないかもしれません。」とお伝えすると,非常に驚かれる方が多いです。

 

3 未成熟の子が存在しないこと

 未成熟の子(未成熟子)とは,一般的に経済的に独立(成熟)していない子のことをいい,未成年者と同視されるわけではありませんが,高校生の場合には,一般的に経済的に独立しているとは認められず,未成熟子と判断されることが多いと感じています。逆に,大学生については,働くことは潜在的に可能であるとして未成熟子にはあたらないと判断される場合もあります。また,大学を卒業した成人であったとしても,障害を抱え,監護が必要な子どもについては,未成熟子と同視することができるとして,離婚請求を認めなかった裁判例があります。

 

4 相手方配偶者,苛酷な状況に置かれないこと

 苛酷な状況の有無については,主として経時的な事情が考慮されることになります。具体的には,過去(判決に至るまでの間)の生活費の負担の有無・額,将来における経済的負担の有無,・内容(慰謝料,住居の確保などの離婚の際の給付の申し出),現在の相手方配偶者(離婚を拒否している配偶者)の生活や収入に関する状況等を考慮することになります。

 このように,有責配偶者からの離婚請求が認められるためには非常に困難な要件を充足させる必要があり,現実に弁護士の下に相談に来られる方で,上記要件を充足している方というのはそこまで多くはありません。そこで,次回は,有責配偶者とし離婚を実現するための方法についてご説明させていただきます。

2018.05.20

[危険運転致死傷」「過失運転致死傷」の違いは?

【相談事例④】

東名高速道路でのあおり運転による死亡事故から1年が経ちました,当初は自動車運転処罰法違反の「危険運転致死傷」ではなく「過失運転致死傷」だったことから,疑問の声があがっていましたが,違いが良く分かりません。どう違うのでしょうか。

 

【弁護士からの回答】

 平成29年6月5日,神奈川県の東名高速道路で,トラックがワゴン車に衝突し,ワゴン車に乗車していたご夫婦がお亡くなりになってしまうという悲惨な事故が起きました。この事故が起きた原因は,加害者の男性が,被害者のワゴン車に対し,いわゆるあおり運転をし,ワゴン車の前に割り込み,停車させたことから,加害者の男性に対し,どのような罪が科されるのかについて,テレビ番組などで議論にもなったことを覚えています。この事件については,昨年10月に横浜地方検察庁にて,加害者(被疑者)を,「危険運転致死傷罪」にて起訴したとの報道もなされましたが,逮捕時の被疑事実は「過失運転致死傷罪」でした。そこで本日は,2つの犯罪の違いや,本件でなぜ「危険運転致傷罪」として起訴したのかについての,私の考えについてご説明させていただきます。

 

1 「危険運転致死傷罪」と「過失運転致死傷罪」について

 「危険運転致死傷罪」とは,自動車の運転により人を支障させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転死傷行為処罰法と略されています。)に規定されており,アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為や,今回問題となる,人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為により人を死傷させた人を処罰するものになり,犯罪が成立すると,致死罪であれば1年以上20年以内の有期懲役,致傷罪であれば,1月以上15年以下の懲役が科されることになります。

 「過失運転致死傷罪」は同じく,自動車運転死傷行為処罰法に規定されており,自動車の運転上必要な注意を怠ったことにより,人を死傷させた場合に処罰するものであり,1月以上7年以下の懲役若しくは禁固又は100万円以下の罰金が科されることになります。

 このように,「危険運転致死傷罪」と「過失運転致死傷罪」では,科される刑罰について,大きな差があることから,東名高速での事故の際の逮捕事実が「過失運転致傷罪」であったことから,成立する犯罪について非常に注目される事態となりました。

2 成立する罪名について

 テレビ番組等では,加害者に対し,殺人罪を適用することができないかということも議論されているのも目につきました。確かに,処罰感情からすると殺人罪として処罰したいという気持ちも分からなくもないですが,進路妨害して停止させた加害者に,殺意(人を殺してしまっても差し支えないという認識)まで認めるということは難しいので殺人罪での立件(起訴)は難しいのではないかと思います。

 また,警察の逮捕段階で,「過失運転致死傷罪」という罪名であったことについては,今回のようにどのような犯罪成立するか難しいケースでは警察の逮捕段階と起訴段階では異なる罪名になるということは珍しくはありません。

 今回の事件でのいちばんの争点は,加害者の行為が,危険運転致死傷罪の「重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」に該当するかという点と,その行為と被害者の死亡との間の因果関係(原因と結果の関係をいいます。)が認められるという点にあると思います。この争点については,あくまでも,私個人の意見ですが,あおり運転により前に割り込み走行を妨害し,「高速道路で停車させるという重大な交通の危険を生じさせる速度」で運転したことにより,後続の車両が衝突し,死亡するに至ってしまったということは十分に成り立つため,「危険運転致死傷罪」で起訴したことは十分に間違っていないのではないかと考えています。

 もっとも,今回の事件では,「危険運転致死傷罪」が本来的に想定している犯罪対応とは異なる事故対応であることは間違いありません。また,近年あおり運転が横行しており,それにより今回のような重大な事故が起きてしまっている現状をなんとかしなければいけないのではないかと考えており,立法によりあおり運転を行ったこと自体に対し,厳しい制裁を科すなど,あおり運転自体をなくす方策が必要なのではないかと感じています。

2018.04.20

アパートの騒音クレームについての対応

【相談事例③】

アパートに住んでいるのですが,同じ隣人から管理会社や警察を通して騒音の苦情がきているが、自分としては身に覚えがなく,なるべく音をたてないように注意をしていたのですが、直接苦情を言われることはないのですが,先日,娘の学校にまでクレームの電話をしてこられるなどとても迷惑しています。娘と2人暮らしなので,とても不安です。どのように対処すべきでしょうか?

 

【弁護士からの回答】

 マンションやアパートで生活する中で隣人の騒音トラブル等で悩まされることは多いと思います。もっとも今回のご相談内容は,少し変わっており,騒音トラブルを起こしていると因縁をつけられてしまったケースです。今回は,一般的な騒音トラブルについてご説明するとともに,本件の具体的な解決方法についてご説明させていただきます。

 

1 騒音トラブルに遭ったら

 まず,隣人より騒音等がなされている場合には,通常ご自身で隣人の方に苦情を言いに行かれる方も少なくないと思いますが,苦情を伝えたことで相手から逆上され,騒音以外のトラブルになる可能性もありますのであまりお勧めはできません。騒音が確認された場合には,まず,可能な限り騒音に関する記録を残しておくことが必要です。具体的には,録音機器などがあれば,騒音が聞こえたと思ったら録音することや,騒音の日時,騒音の内容,騒音の次回等を毎回メモしておくこと等が有効です。

 騒音に関する記録が揃ったら,不動産の賃貸人(若しくは管理会社)に対し,隣人の騒音で困っているので改善して欲しいと求めることになります。その際,騒音の記録を示し,または1人ではなく同じマンションやアパートの他の住民の方と一緒に騒音被害を申し出るのが効果的です。賃貸人は,賃貸借契約に基づき,賃借人に対し,目的物を使用収益させる義務を負っており,他の住人が騒音出している場合には,他の住人が平穏に目的物を使用収益できるよう,対策を講じる義務があると考えられています。したがって,住民から苦情が出た際に,貸主や管理組合にて何ら対応をしない場合には,賃貸人の義務に反しているとして,契約を解除されてしまう可能性も否定できないため,複数人で苦情の申し出を行うことが適切であると考えられています。

 そして,賃貸人や管理組合から騒音を出している住人に対し,騒音を出さないように求めても改善しない場合には,賃貸人側に対し,問題の住人を退去するよう求めることになります(賃借人が他の賃借人を強制的に退去させる権限はありません。)。

 賃借人にも目的物を定められた用法にしたがって使用する義務を負っているところ,騒音に限らず悪臭など他の住人に迷惑を及ぼすことなく使用収益を行う義務を負っていると考えられるため,かかる義務に違反している場合には,賃借人の債務不履行に基づき解除することができることになります。

 もっとも,賃貸借契約の解除に関しては,賃借人の生活の根幹である住居を奪うことになりますので,解除が認められるためには,当該債務不履行が賃貸人と賃借人の信頼関係を破壊する程度の重大なものであるかという点が問題となります。騒音での解除の際には具体的な基準等があるわけではないですが,①騒音の程度(受任限度を超える程度の騒音であるか否か,各自治体が定める近隣騒音に関する環境基準等で定められている40デシベル以上か否か等が1つの基準になりえるのではないでしょうか。),②騒音の期間,③解除に至るまでの経緯(再三に渡り騒音をやめるよう求めたにも関わらず拒否しなかった場合等。)を総合的に考慮して判断することになろうかと思われます。

2 ご相談者様のケースについて

 ご相談者様のケースでは,隣人より,騒音トラブルを起こしていると因縁をつけられるだけでなく,お子さんの学校にクレーム等を入れているだいぶ迷惑極まりないい人であることには間違いありません。この点,学校にクレームを入れる等の行為は,目的物の使用収益とは関係する者ではないため,管理会社より中止するよう求めることはできないでしょう。しかし,お子さんの学校にクレームを入れたりする行為は名誉毀損などの行為に該当しうるため,警察に連絡し止める注意してもらうことや,弁護士を代理人として,相手方に対しそのような迷惑行為をやめるよう働きかけることは可能です。それでも迷惑行為が止まない場合には,同じアパートに住んでおり,相手の行動が激化した際に,取り返しのつかないことになりかねないため,引っ越すことなどを検討した方が良いかもしれません。その際には迷惑行為により,引っ越しを余儀なくされたと認められる場合には,引っ越し費用や慰謝料を不法行為に基づく損害賠償として請求することができます。とはいえ,クレーマーといつまでも関わり合いを持つということも避けたいと思われる方もいらっしゃると思いますので,是非一度弁護士にご相談ください。

2018.03.20

離婚後の年金について

【相談事例②】

 年金分割について教えて欲しいです。夫と離婚をして,2年7か月になります。離婚する際に,年金について何も話さないまま,離婚し,結婚していた期間は9年ですが,その間,第3号被保険者でした。自分が勉強不足で離婚してすぐに合意分割の手続きをしていないことに気づき,慌てて調べると離婚成立した翌日から換算して,2年経過してしまうと請求手続きが出来なくなるとの事でした。そうなった場合,結婚していた間の年金は全く含まれなくなるのでしょうか?

 

【弁護士からの回答】

  結論から申し上げますと,現時点で2年以上経過しているため,年金分割は認められず,婚姻期間中に相手方が支払った厚生年金保険料の分割を受けることができません。年金分割については離婚に関する記事において,詳しくご説明させていただきますが,今回は,離婚に伴う,各種請求権の時間的制限についてご説明させていただきます。

 

1 年金分割について

 年金分割とは,夫婦が婚姻期間中に支払った厚生年金保険料を当事者の合意や審判等で定められた割合で分割する制度のこといい,これにより,会社員,公務員などの第1号被保険者が配偶者である第3号被保険者であっても,第1号被保険者である者が支払っていた厚生年金保険料の一部(原則は半分になります。)を自ら支払ったことになります。

 この年金分割を求める権利(「分割請求権」といいます。)については,厚生年金法や厚生年金法施行規則にて,離婚が成立した日から2年間以内に,分割割合を決めて年金事務所に申請をする必要があります(2年以内に調停や審判を申し立てるだけではなく,調停や審判で解決し,その結果をもとに,年金事務所へ申請する必要があるので注意が必要です。)。したがって,2年が経過する前に調停や審判等を申し立てていない以上,ご相談者さまのケースでは年金分割は認められません。

 

2 財産分与について

 財産分与とは,婚姻期間中に夫婦で協力し取得した財産を離婚時に分与割合に応じて分配するものですが,財産分与請求権については,離婚と同時に請求することもできますが,離婚後に請求することもできます。もっとも,離婚後に財産分与を請求する際には期間制限があり,民法768条2項により,離婚後2年以内に家庭裁判所に財産分与調停を申し立てなければ財産分与請求を行うことはできません。

3 慰謝料請求

相手方配偶者が不貞行為を行った場合等,相手方の不法行為が原因で離婚する場合には,慰謝料請求を行うことができます。慰謝料請求は不法行為に基づく損害賠償請求権(民法709条,710条)の行使ですので,民法724条により「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から」3年間で消滅時効にかかってしまいます。したがって,不貞行為が原因で離婚に至った場合には,離婚という損害を知った時点(離婚が成立した日)から3年間以内に行使する必要があります。この点,不貞行為が発覚した時点と離婚が成立した時期が離れており,不貞行為が発覚してから3年以上経過しているが,離婚日は3年が経過していないという場合には,不貞と離婚との因果関係(原因と結果の関係をいいます。)が問題になってきますが,それについては離婚のコラムにおいて詳しくご説明させていただきます。

4 養育費及び面会交流について

 夫婦の間に未成年のお子さんがいる場合には離婚時に親権者を夫婦のどちらかに定めなければいけません。その際,監護していない親(非監護親)は原則として,子の生活費として養育費を支払わなければなりません。他方で非監護親は未成年のお子さんと面会交流できる権利を有しています。

 この養育費を請求することができる権利と面会交流を請求できる権利については,財産分与や慰謝料と異なり,2年や3年などの期間制限はなく,原則として,子が成人(20歳)に達するまでの期間であればいつでも請求することができます。もっとも,養育費について今まで相手方から支払ってもらえなかった分について,過去にさかのぼって支払うよう求めたとしても,原則としてさかのぼっての請求は認められず,請求した時点からの分しか認められないことの方が多いため,養育費を請求したい場合には早めに弁護士等に相談された方がよいでしょう。

5 まとめ

 このように,離婚にまつわる各種の請求権については,それぞれ期間制限が設けられています。離婚の際にこれらの権利についても解決していれば問題はありませんが,離婚時には何ら対応していない場合には,期間が過ぎてしまうと,期間制限があることを知らなかったとしても請求することができなくなってしまうため,早めに弁護士にご相談いただくのが良いでしょう。

2018.02.20

友人に誘われてタトゥーを入れた場合の相手への治療費請求

【相談事例①】

小学校5年生の娘が通う学校の一部のお友達のグループで,タトゥーを入れることが流行しているようです。針と墨を使い自分たちで入れているとのことでした。娘には,絶対にあなたはしてはいけないと強く言っているのですが,もし,娘がそのお友達に誘われてタトゥーを入れてしまった場合,相手の親などに治療費を請求できるのでしょうか。

 

【弁護士からの回答】

 ひと昔前だと,タトゥー(入れ墨)を入れるのはやくざになる人というイメージがありましたが,海外のタレントやスポーツ選手などの影響でタトゥーを入れたいと考えている人も少なく無いと聞きます。特に中学生のお子さんの場合には,おしゃれ感覚や,「みんながやっているから自分もしてみたい」という安易な考えでタトゥーを入れてしまうのではないでしょうか。しかし,タトゥーを一度入れてしまうと,基本的に消すことは困難であり,タトゥーを入れている人に対する世間の目も厳しいものがあります。今回の相談事例では未成年のお友達同士のタトゥーについてのご相談ですが問題になりうる点について解説させていただきます。

 

1 刑事事件について

  まず,他人にタトゥーを入れる行為については,針を使うため医療行為に該当するかが問題となり,医師免許を有していない人が他人にタトゥーを入れると,医師法違反になる可能性があります。タトゥーを入れる行為が医療行為に該当するかについては刑事事件で争われていますが,平成29年9月には大阪地裁にて,医療行為に該当する旨の判断がなされています(現在,この事件については控訴審で争われており,別の結論がなされる可能性もあります。)。

  また,他人の意思に反してタトゥーを入れる場合には針を用いて身体を傷つける行為であるため傷害罪(刑法204条)に該当する行為になります。

  上記犯罪については,行為者が未成年者であっても検挙され,回数が非常に多い場合には少年事件として家庭裁判所に送致されてしまう可能性があるため,お子さんには他の人にくれぐれもタトゥーを入れないよう指導しておくことが必要です。

2 民事事件について

  次に,お友達にタトゥーを入れられてしまった場合には,不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条,710条)として,治療費や慰謝料を請求することができます。この点,未成年者の場合には,民法712条,714条の適用が問題になります。民法712条では,未成年者が不法行為の時点で責任能力(自己の行為の責任を弁識するに足りる能力をいいます。)を有していない場合にはその行為について,賠償責任を負わないとされています。

  責任無能力者の不法行為の場合には,民法714条に規定があり原則として未成年者を監督する義務のある両親が賠償する責任を負います。

  責任能力については概ね12歳~13歳ぐらいで認められると考えられているため,ご相談者様の事例では,お子さんのお友達には責任能力は認められないとして,お友達のご両親に対し損害賠償請求をすることになると思われます。

  もっとも,タトゥーを入れることになった経緯として,お子さんがお友達に押さえつけられて無理やり入れられた場合には問題とはなりませんが,お友達からしつこく誘われて断りきれなかった場合や,お子さんの方から積極的に入れるよう求めた場合には,お子さんについても一定の落ち度があると認められるため,治療費や慰謝料の全額についての請求は認められないでしょう。

  いずれにせよ,一度タトゥーを入れてしまうと,友人関係だけでなく,将来についても取り返しのつかない事態になってしまう可能性もあるのでお子さんにはどれだけ誘われても断るようきちんと指導するべきであると考えます。

 

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