ホームランボールは誰のもの?
10月に入ると、日本のプロ野球では、クライマックスシリーズ、そして日本シリーズの季節になります。
昨年は、ホークスが8年ぶりにBクラスになってしまい、クライマックスシリーズにも登場しないという状態になりました。
九州で生活を始めてから、このような状態になったことがなかったため、毎年必ずあると思っていた百貨店のセールなどもなく、とても戸惑った印象があります。
今年は、メジャーリーグでも日本の野球でもホームランの数が話題になりました。
ホームランのシーンでは、打者が打った瞬間にホームランであると確信して歩いて行くシーン(いわゆる「確信歩き」)も有名ですが、よく目にするシーンはホームランボールを取ろうとしている観客の様子が映し出されるのが印象的です。
メジャーリーグにおいて過去にバリーボンズ選手がよく場外ホームランを打つため、球場の外にある海でカヌーやボートに乗ってホームランボールを待ち構えていることもあったようです。
このように有名選手のホームランボールなどは、みんなが欲しいと待ち構えているものですが、法律上、このホームランボールは誰のものになるのでしょうか(詳細な説明は省きますがメジャーリーグでは、バリーボンズ選手のホームランボールをめぐり訴訟にまで発展したそうです。)。
この点は、日本野球機構(NPB)によると、公式球については、主催する各球団に所有権があるとのことでした。
すなわち、ホームゲームの球団が公式球について所有権を有することになります。
そして、各球団において、ホームランボールをどのように扱うのかという規約などがあれば、ホームランボールの所有権はその規約に基づいて決定されることになります。
残念ながら各球団の規約などは確認することができませんが、ホームランボールについての一般的な取り扱いは、ホームランボールと取った人がそのまま持ち帰ってよいという扱い(法律的には球団からの贈与ということになります。)になっているそうです。
ただ、特定の選手の記念となる場合(プロ第1号、新記録等でしょうか)については、球団側よりサインボールや記念ボール等と交換してもらうように依頼があるそうです。
また、受け取ったホームランボールについては、職員などにお願いすると選手のサインを書いてもらうことができるそうです。
各球団の規約やそのホームランボールが選手の記念となる等の状況によって、上記が全て当てはまるわけではないかと思いますが、野球観戦に行かれる際にはよかったら参考にされてください。
たまに、プロ野球を外野席で観戦する際には、自分のところに飛んでこないかと思ったりするのですが、なかなか飛んでくることはなく、いつか奇跡的にそういったシチュエーションになった際には、きちんとキャッチできるように今から息子とキャッチボールをしておこうと思います。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
お祭りに関する法律
夏休みも終わり、学童期のお子さんがいらっしゃるご家庭では、新学期が始まっていると思います。
うちの長男も夏休みの間はコロナもあったため、家にいることが多く幼稚園が始まるのを何日も前から待ち遠しそうにしていました。
コロナウイルス感染拡大により、一昨年より地域のお祭りなども中止になっていましたが、今年から徐々にお祭りも開催されるようで、9月の12日から筥崎宮で放生会が3年ぶりに開催されるとのニュースを見ました。
私自身、福岡出身ではなく、今まで筥崎宮(はこざきぐう)の放生会(ほうじょうや)に行ったことがなかったので、今年は感染対策を万全にして、家族で行ってみようと思います。
ちなみに筥崎宮放生会とは、春の博多どんたく・夏の博多祇園山笠とならび博多三大祭りに数えられており、「万物の生命をいつくしみ、殺生を戒め、秋の実りに感謝する」お祭りです。
その起源は「合戦の間多く殺生すよろしく放生会を修すべし」という御神託によるもので、千年以上続く最も重要な神事です。
そんなお祭りですが、多くの人が関わるものであるため、お祭りに関連する法律もいくつかあります。
まず、お祭りに欠かせない屋台は、飲食物を取り扱うため、食品衛生法に基づき保健所の許可を得る必要があります。
この許可については、臨時屋台(営利を目的としていないイベントで出店しているような屋台をいいます)として扱える食品が限定されており、仕込み作業を露天では行ってはいけないことや、かき氷には飲料水を利用し、手やほこりなどで汚れない構造にすることが求められています。
また、子どもから大人まで魅了する花火ですが、花火をお祭りで使用する場合には、いわゆる玩具花火ではない場合、火薬類取締法に基づき各自治体に対して届出をし、打ち上げ花火の場合には、煙火消費許可を得る必要があります。
このように、お祭りに際していろいろな観点から許可や届出をする必要がありますが、こういった許可に関する法律とは別にいわゆる「お祭り法」という法律があります。
正式名称は「地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律」といい、地域の伝統芸能を活用し、観光や商工業の振興をはかる目的で平成4年に制定された法律です。
市町村に伝わる伝統芸能を中心としたイベントの企画・実施に、国が費用の一部を補助することなどが規定されているものです。
皆さんも、コロナウイルス感染が続くなか、お祭りに行かれる方は感染対策を十分にされた上で、楽しまれてください。
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くじ引きで当たりがなかったら?
8月は、お子さんが夏休み真っ只中という方も多いのではないでしょうか。
我が家の長男が今年から幼稚園に通っているのですが、7月末から初めての夏休みに入り、今まで平日の午前中は家にいなかった息子が家にいるため、妻は毎日どこに連れて行こうかと頭を悩ませています。
小さいころ、夏休みといえば地元のお祭りに行き、屋台でかき氷や焼きトウモロコシやたこ焼きなどを買って、友達みんなで食べるのがとても楽しみでした。
そんなお祭りの出店に、1回200円程度でくじ引きをさせるお店が出ていることがあります。
1等の商品は高額なゲーム商品が出されており、子どものころは、ひょっとしたら当たるかもとドキドキしながらお小遣いを減らしていったことが懐かしいです。
しかし、中学生、高校生と成長するにつれ、1等や2等の商品は当たるものではないと、うすうす感じるようになり「本当は当たりくじは入っていないのではないか」と感じた時、少し大人になったような気持ちになりました。
それでは、くじ引きで当たりくじが一切入っていなかった場合どうなるのでしょうか。
ユーチューバー等が高額な現金を支払い、くじを全部買って当たりが入っているか調べるという動画がありました。
自分も思わずどうなるのか見たことがあるのですが、実際にくじ引きで当たりくじが一切入っていない状態で、客にお金を払わせくじ引きをさせていた男性が、詐欺罪で逮捕されたというニュースがありました。
詐欺罪は刑法246条に記載されており、だます行為(「欺罔行為」といいます。)により錯誤(法律用語で簡単にいうと「勘違いしている状態です。」)に陥り、財産の交付行為により財物が移転することで詐欺罪が成立します。
くじ引きの場合には、くじの中に当たりくじがあるということを黙示的に表示していることになるため、仮に当たりくじが1つもない場合には、当たりくじが入っていないにもかかわらず、当たりくじがあるという意思を表示していることであるため、欺罔行為が成立します。
そして、くじを引く人は「このくじのなかに当たりくじが入っている」と信じてくじを引くため「錯誤」に陥った状態で、くじの代金という財物を交付していることになります。
他方で、当たりくじの数が極端に少ない場合でも、当たりの個数などを明示していない場合には、だましているということにはならず、詐欺罪は成立しないことになると思います。
このように、当たりくじが1つも入っていない場合には詐欺罪という犯罪になります。
上記のように当たるものではないとわかってはいますが、息子が「やりたい!」とねだってきた来た場合にはやらせてしまうと思うので、少なくてもいいので、子どもに夢を与えるためにも当たりくじは入れておいてもらえたらなと思います。
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パッケージを見れば果汁の割合がわかる?
8月に入り、暑さも本格的になってきましたね。
暑いと喉が渇きます。
私も3歳の長男と公園で遊ぶとき、持参した水筒のお茶がなくなると自販機で飲み物を買うのですが、どこで覚えたのか、息子が「ジュース飲みたい!」というので「ママには内緒だよ」といって、買って2人でよく飲んでいます(帰ってすぐに妻に「パパにジュース買ってもらった!」と話してしまい、速攻裏切られていますが…)。
子どもに飲ませるにしても、自分で飲むにしても、果汁100%のものを飲みたいと思う方は多いのではないでしょうか。
多くの方が果汁の割合にかかわらずジュースと呼んでいると思いますが、法律上、果汁100%のものしか「ジュース」と名乗ることは許されておらず、100%でないものは「果汁入り飲料」(果汁が10%以上100%未満)、「その他の飲料」(10%未満)という名称になります。
確かに、缶やペットボトルのラベル表記をよく見ると、そのように表示されています。
果汁100%のジュースかどうかは上記の通りラベル表記を見ればわかるのですが、それ以外にもパッケージを見れば一目で果汁100%かどうかがわかります。
それは、パッケージに「果物の写真や輪切りの絵」があるかどうかです。
くわしく説明すると、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)に基づき定められた公正競争規約(果実飲料等の表示に関する公正競争規約及び施行規則)において、 果汁の使用割合が50%以上100%未満の「果汁入り飲料」にあっては、果実の搾汁そのままのものと一般消費者に誤認されるおそれがある表示をしていけないとされています。
具体的には、果実から果汁のしずくが落ちている表示や果実のスライス(輪切り)等の表示は、果汁100%と誤解される表示であるとして不当表示に該当するとされています。
また、果汁の使用割合が5%以上10%未満の「その他の飲料」の場合には、果実の絵を表示することも不当表示とされています。
ただし、簡易な図案(要は、リアルなイラストではない絵)であれば許されるとされています。
たしかに、みずみずしい果物のイラストが書かれてると、きっと果汁100%なんだと思って購入する人も多いと思います。
商品の表示については、その表示をもとに購入するか否かを決める判断材料になり、非常に重要なものであるため、法律により様々な規制がされています。
きちんと正しい情報を得てから商品を購入することが一番なので、皆さんも商品を購入される際には、パッケージや表示をきちんと確認してから購入されることをお勧めします。
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クレーンゲームの景品が違法?
皆さんは、ゲームセンター等でクレーンゲームをされることはありますか?
私の子どもの頃は、「UFOキャッチャー」という名前の方が一般的であった気がしますが、どうやら「UFOキャッチャー」はクレーンゲーム機の1商品であり、一般的な名称としては「クレーンゲーム」というのが正しいそうです。
社会人になってからはほとんどやっていなかったのですが、3歳の長男とショッピングモールへ行くと「ゲームセンターに行きたい」と駄々をこね、おもちゃを取ってほしいとせがむので、最近頻繁にクレーンゲームをやるようになりました。
「あと少しで取れそう!」という状況になるとついついのめりこんでしまい、苦労して取った後『買ったほうが安かったのではないか』『ここまでお金をかけて取るものだったのか』と後悔することも少なくありません。
このようにゲームセンターにあるクレーンゲームは、お金を投入し景品を獲得するものですが、実は法律で「遊技の結果に応じて賞品を提供」することが禁じられているのです。
まず、クレーンゲームなどがあるゲームセンターは「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(「風営法」と略された名称の方が一般的であると思います。)で規制されている「風俗営業」に該当します。
風営法ができた当初は規制対象外であったのですが、非行少年のたまり場となっている現状やゲーム機での賭博などが横行するようになったため、法改正により規制対象になりました。
そして風営法では遊戯の結果に応じて、賞品を提供することが禁じられています。
この賞品には、現金や商品券、物品だけでなく、お店の割引券やポイントなども含まれることになります。
そうなるとクレーンゲームの景品も物品なので、クレーンゲーム自体が風営法違反になるのが通常ですが、風営法を適用する警察庁から風営法の解釈運用基準である通達のなかで金額の上限を設定し、その上限を上回らない物品の場合には風営法違反にならないと発表しているのです。
この通達は2001年に出されたものであり、当時の上限は800円でした。
つまりクレーンゲームの景品が800円以下であれば、風営法違反にはならないとされていました。
しかし、ゲームセンターなどのアミューズメント業界から警察に対し、人件費や製造費の増加により20年前に定められた800円という上限では賞品の提供が困難になっているので上限の値上げをして欲しいという陳情を行っていたようです。
そして令和4年3月1日付の通達で、警察庁が景品の金額の上限を1,000円以下に変更されることになりました。
この通達による景品の上限額の増額により、クレーンゲームの商品も充実した内容になるのではないかと少し期待するとともに、また子どもにねだられる物が増えるのではないかと、今から少し怖い気持ちもあります。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
政教分離って何だ??
令和3年2月24日、最高裁判所の大法廷において、政教分離という問題に対して判断がくだされました。
内容としては、那覇市が管理する公園の敷地について、儒教の祖といわれる孔子を祭るための廟(びょうと読み、祖先の霊を祭る建物のことをいいます。)を設置していた一般社団法人に対し、市が当該土地を無償で提供(使用料を免除)したことが憲法が禁じた宗教的活動に該当すると判断しました。
一般の方からすると、政教分離という言葉もあまりなじみがなく、どういった問題であるのかについてもわかりづらいと思いますので、すこし説明させていただきます。
憲法20条は、第1項で「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」、第2項で「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。」第3項で「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」と規定しています。
また、憲法89条では、「公金その他の公の財産は、宗教上の組織もしくは団体の使用、便益もしくは維持のため、……これを支出し、又はその利用に供してはならない」と規定しています。 この憲法20条1項(後段)、同条3項、89条の規定が、国家(地方公共団体)と宗教の結びつきを禁ずるための「政教分離の原則」を定めていると言われています。
国家と宗教が結びつくことにより、異教徒や無宗教の人に対する迫害が生じてきた歴史等に鑑み、個人の信教の自由を守るために定められた原則であると言われています。 今回は、那覇市という地方公共団体が、「孔子廟」という儒教の祖を祭る建物を設置する際の使用料を免除したことが政教分離違反に該当しないのかという点が問題になりました。
政教分離原則に反するか否かについては大きく分けると、①行為の目的が「宗教的意義」を持つか否か、②その行為に結果(効果)が、宗教に対する援助、助長、促進、圧迫、干渉等に該当するかという①と②を基準に判断されるのが一般的です(「目的効果基準」などと言ったりします。)。
今回の最高裁においても、孔子廟の宗教性を肯定した上で免除される使用料が高額(年間約570万円)であることなどを理由に、使用料を免除したことは一般人から見て市が特定の宗教に対し特別の便益を提供し、援助していると評価されてもやむを得ないと判断したようです。
これまで、最高裁において国や地方公共団体の行為が政教分離原則に反すると判断した例は2件しかなく、今回の最高裁の判決で3件目となったこともなり、全国ニュースでも取り上げられるようになりました。
このように、一般の方ではあまり馴染みのない政教分離原則ですが、司法試験を受験する方は必ず学習する分野であり、特に私の場合、司法試験本番で政教分離原則の問題が出て、まさか政教分離の問題がでるとは予想していなかったため、とても焦った記憶があり今回のニュースで懐かしい記憶がよみがえったため記事にさせていただきました。
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商品を勝手に送り付けられたら
どうすればいいの?
コロナウイルスの感染拡大に伴い、自宅で過ごすことが多くなり出前サービスやインターネットでの通販の需要が著しく増大しているというニュースを見かける方もいらっしゃると思います。
私もちょっとした買い物に行くことで感染してしまったら怖いなと思い、インターネットで買い物をすることが多くなりました。
インターネットサイトではAIを駆使して、過去の閲覧履歴などからおすすめ商品等も紹介してくるため、ついつい余計な物まで購入してしまいます。
このように商品を直接買うのではなく、配送でのやり取りが増えるなかで、注文を一切していないのに、いきなり商品が自宅に届き、代金を請求されて支払ってしまうというトラブルが起きています。
このように一方的に商品を送り付けて代金を請求することを「送り付け商法」といいます。
この送り付け商法については、そもそも注文していない状況で一方的に商品を送っているため、売買契約が成立しておらず代金を支払う義務はありません(注文している場合には原則として代金を支払う義務がありますが、場合によってはクーリングオフの対象となり解約することができる可能性がありますので、弁護士や消費生活センターにご相談ください。)。
では、送り付けられた商品については、どうすればいいのでしょうか。
代金を支払っていないため、『返却しなければいけない』と思う方も少なくないと思います。
また、生鮮食品など腐ってしまった場合などには、『代金を支払わなくてはいけない』と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、特定商品取引法という法律により、売買契約に基づかずに一方的に送り付けられた商品については「直ちに」処分可能であると規定されています。
今までの特定商品取引法では、送り付けられた商品を14日間保管する必要があったのですが、一方的に送りつけられたものを自由に処分できないのは保管の押し付けになるのではないかという声があがり、特定商品取引法が改正され、令和3年7月6日から「直ちに」処分することができるようになりました。
このように、法律で一方的に送り付けられた商品も直ちに処分することが可能となったため、その後送り付けてきた事業者から金銭を支払ってほしいと請求されたとしても、堂々と支払不要であると断ることができます。
もっとも、いきなり商品を送り付けられ代金を請求されてしまうと、焦って支払ってしまう方も少なくありません。
このブログを少しでも多くの方に知ってもらえればいいのですが、万が一支払ってしまったとしても返還を請求をすることができるため、弁護士や消費生活センターにご相談ください。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
キャラクターケーキ、勝手に作って大丈夫?
~著作権侵害について~
皆さんはケーキをよく食べますか?
私の家では、長男の誕生日、妻の誕生日がいずれも12月にあるため、各誕生日とクリスマスにケーキを食べる機会が一気に増えます。
昨年は大丈夫でしたが、今年は30代後半になるため、胃もたれしないか今から心配です。
お子さんの誕生日やクリスマスにはお子さんに喜んでもらおうと、お子さんの好きなキャラクターなどがデザインされたケーキを作ってもらうご家庭も少なくないのではないでしょうか。
皆さんは、キャラクターのケーキを作ってもらう時に、「著作権は大丈夫なのか」と思ったことはありませんか?
『ケーキ屋さんが販売しているから大丈夫だろう』と思っている方がほとんどだと思いますが、実は多くのケーキ屋さんでは、著作権者の許可をとらずに作成しているケースが非常に多いです。
そして、キャラクターの絵が記載されているケーキは、簡単にいうとぱっと見て「あのアニメのキャラクターだ」と分かる内容のものを販売した場合には著作権侵害行為に該当します。
この点、ご自宅でご自身がご家族のためだけに作成するような場合には、私的私用のための複製行為として違法な行為に該当するものではありません。
しかし、キャラクターケーキを販売することを謳って、お客さんからのオーダーを受けて料金を受取り作成する場合には私的利用の範疇を越えた違法な行為に該当します。
著作権侵害を行った場合、民事での損害賠償のみならず、犯罪行為として処罰の対象にもなります。
先日、人気漫画の「鬼滅の刃」のキャラクターが描かれたケーキを無許可で販売したとして、自営業の男性が著作権法違反で書類送検されたというニュースがありました。
このように、法律的な観点からいうと、おそらく多くのケーキ屋さんで著作権者の許可を得ずにキャラクターケーキを販売しており、著作権侵害行為を行っているのだと思います。
しかし、著作権者においてすべてケーキ屋さんを調べること等、事実上不可能であることや、大目に見てもらっている、というのが正直なところかと思います。
したがって、キャラクターケーキが売れることに味を占め、インターネットなどで大々的に宣伝したり、多額の収益を得ている状況が著作権者に知られた場合には、どのケーキ屋さんでも著作権法違反で検挙される危険性があるという状態だということは強く認識していた方がいいでしょう(簡単にいうと、高速道路でみんなスピード違反をしている状態でどの車が警察につかまるか分からないという状況とあまり変わりはないと思います。)。
また、注文する側が何も問われないかというと、厳密にはそうではなく、著作権法違反であることを認識しながら作成を依頼した場合には、共同不法行為として著作権者から損害賠償を受ける、ということにはなってしまいます。
大切なご家族の笑顔を見るために、頼んだキャラクターケーキが原因で、トラブルに巻き込まれるということはとても悲しいことなので、もし、キャラクターケーキなどが欲しい場合には、きちんと著作権者から許可を得ているところから購入したいですね。
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道でスケートボードに乗ってもいいの?
2021年7月から、東京2020オリンピックが開催されました。
コロナウイルスの感染が原因で、1年開催が延期されましたが、日本人の選手の皆さんの活躍を連日見ることができ、私個人としては開催されてとてもよかったと思います。
印象に残る選手や試合はとてもたくさんあるのですが、私個人としては、体操男子の橋本大輝選手の個人総合での試合の様子は、家族でテレビにかじりついて見ており、金メダルが決まった瞬間は、2歳の長男も「やったー!」と喜んでおりとても感動したため、一番印象に残っています。
東京オリンピックから初めて採用された競技の中の1つに、スケートボードがあります。
ストリートとパークという競技があり、ストリートに関しては、男女どちらとも日本人が金メダルを獲得し、「13歳、真夏の大冒険!!」という実況もあいまって、競技後、スケートボードブームもおきました(オリンピック後に息子と故近所の公園に行くと、小さいお子さんがスケートボードでびくびくしながら練習している様子を見ると、ブームが来ていることを実感します。)。
しかしスケートボードは、操作も難しく、転倒の恐れも高く、また、道路等で乗ってしまうと、他の人への衝突などトラブルが生じる可能性もあるため、ブームでスケートボードに乗る人が増えることで、トラブルも増える恐れがあるということがニュースでも報じられています。
スケートボードを公道等で乗ることに関して、何か法律の規制があるかについて調べてみると、まず、スケートボードが法律上どういった位置づけになるかですが、スケートボードには方向指示器や、ブレーキなど軽車両として認められる部品等がついていないため、自転車等の軽車両には該当しません(モーターつきのスケートボード等の場合には、軽車両と認定される場合があるかもしれません。)
では、軽車両に該当しないからといって自由に乗っていいかというとそうではありません。
道路交通法76条4項では、「何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。」と規定し、第3号で「交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。」規定しています。
スケートボードは、ローラー・スケートに類する行為に該当するため、「交通のひんぱんな道路」においてスケートボードを行うことは道路交通法上禁止されており、違反すると、道路交通法120条1項第9号により、5万円以下の罰金に処せられてしまいます。
このように、法律上は、交通の頻繁ではない道路であれば、スケートボードに乗っても何ら問題はないのですが、交通の頻繁な道路でない場合にも、歩行者や自転車との衝突の危険は非常に高く、万が一他の人にぶつかり、重症や後遺症を負わせてしまった場合には多額の賠償責任を負ってしまうこともあるため、なるべく公道では乗らないほうがいいでしょう。
こうした路上での使用等が減るためにも、スケートボードを行うことができる施設などが充実すればいいなと思います。
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未成年者の課金
~投げ銭トラブルについて~
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、大人だけでなく子どもたちも学校にいけない期間が増え自宅で過ごす機会が増えていると思います。
以前から問題になっており、コロナ禍でさらに問題なっているのが、未成年者によるゲームやライブ配信などに没頭してしまい、多額の課金や、投げ銭などを行ってしまうという金銭トラブルが非常に多発しているということです。
こういったネット上での金銭使用については、基本的に親のクレジットカードでの支払がなされるため、課金などをしている未成年者自身で、いくら課金しているのかということを認識することができない場合や、歯止めがきかなくなってしまって多額の課金をしてしまうケースが多いようです。
消費生活センターなどへ寄せられる相談では、子どもがひと月に150万円以上課金してしまったという相談もあったそうです。
課金行為や投げ銭行為は売買契約や贈与契約として法律行為に該当します。
そして、未成年者が親権者の承諾を得ずに法律行為を行った場合、親権者はその法律行為を取り消すことができます(民法5条)。
未成年者は知識も未熟であることからかかる未成年者を保護するために、親の取消権が認められています。
この民法の規定からすると、未成年者が、課金や投げ銭を行った場合、親権者が取消権を行使して、課金した代金の返金が認められそうにも思えます。
しかし、未成年者が課金をすることができる状況の多くが、お子さんが親のクレジットカードを自由に使うことができる状況であると評価されてしまうケースが多いと言えます。
したがって、多くの場合、事前に親権者の承諾があったものと判断され、取消が認められないことになるケースが多いと思います。
また、民法では、未成年者が成人であると偽って法律行為をした場合には、取引の相手方を保護するために、取消権は認められないことになります(民法21条)。
したがって、課金や投げ銭を行う前の画面において年齢確認の画面があり、その画面を経て課金をしている場合には、成人であると偽って取引していることになるため、その場合でも取消権の行使は認められないでしょう。
このように、未成年者の課金などはそのほとんどが取り消すことができないため、親権者である親御さんの方で事前に対策を行う必要があります。
具体的には、利用額の上限額を低く設定する。
クレジットカードが使用される都度親御さんに連絡がいくような手続を行うことや、スマートフォンの利用履歴を確認することができるようにするなどして、多額の課金がなされないようにする必要があると思います。
たかが子どもの遊びと侮っていると、上記のように多額の金銭トラブルにまきこまれてしまう危険性もあるため、くれぐれもご注意ください。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。