弁護士コラム

2019.05.02

給与計算業務①~給与とは~

毎月行わなければならない従業員の給与計算は、単純そうに思えて、とても煩雑な業務です。自社で給与計算を行っている会社は多いでしょうが、思いのほか給与計算を間違っているケースが多く、従業員の本来もらうべき給与額になっていないケースが散見されます。
そこで、今回と次回にわたって、給与に関する基礎知識と、給与計算業務の基本的な流れについてご説明します。

1. 給与の定義

まず初めに、普段、何気なく使っている「給与」という言葉ですが、そもそも給与とは何のことを指すのでしょうか。
労働基準法11条において、給与とは、「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」と定義されています。
つまり、従業員が欠勤や遅刻、早退をした場合は、労務の提供が履行されていないので、その時間について給与を支払う義務はありません。

2. 支払いのルール

給与の支払いについては、労働基準法24条においてルールが定められています。

①通貨払い

給与は現金で支払う必要があり、小切手や自社商品では認められません。ここで、「私の会社は銀行振込をしているけど大丈夫なの?」と疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。
本来は、銀行振込はこのルールに反していますが、従業員の同意を得た場合は、従業員の指定する口座に振り込むことが認められています。また、退職金に関しては、従業員の同意があれば、小切手や郵便為替での支払いが認められています。

②直接払い

給与は従業員本人に直接支払う必要があります。配偶者や保護者等に支払うことはできません。
ただし、従業員が病気で受け取ることができないといった事情がある場合に、家族が使者として受け取ることはこのルールに反しないとされています。

③全額払い

給与は全額を支払う必要があります。振込手数料や積立金などを勝手に差し引いたりしてはいけません。
ただし、従業員の代表と労使協定を締結すれば、一定のお金を控除することができます。また、健康保険料や雇用保険料などの社会保険料や、所得税や住民税といった税金については、法律によって控除することが認められています。

④毎月1回以上払い

給与は少なくとも毎月1回支払う必要があります。数か月ごとにまとめて支払うことは認められません。
年俸制の場合でも、一括支給ではなく、分割して支払わなければなりません。

⑤一定期日払い

給与は期日を特定して支払う必要があります。支払日にずれが生じてしまう「毎月最終金曜日」のような決め方は認められません。
※④⑤について、臨時に支払われる賃金、賞与、1か月を超えて支払われる精勤手当・勤続手当は除きます。

給与額は、会社が自由に決めることができますが、最低賃金を上回っている必要があります。最低賃金には、⒜精皆勤手当、⒝通勤手当、⒞家族手当、⒟時間外労働・休日労働等の割増賃金、⒠賞与など1か月を超える期間ごとに支払われる賃金、⒡臨時の賃金は算入されません。

【最低賃金との比較方法】
時間給の場合:時間給最低賃金を比較
日給の場合:時間額(=日給÷1日の平均所定労働時間)と最低賃金を比較
月給の場合:時間額(=月給÷1か月の平均所定労働時間)と最低賃金を比較

都道府県別の最低賃金額については、厚生労働省のホームページから確認できます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/

3. 給与の支給項目と控除項目

従業員に支給する給与は、支給項目から控除項目を差し引いて計算します。支給項目、控除項目として一般的なものは以下の通りです。

支給項目

控除項目

4. まとめ

今回は、給与計算業務を行う前に知っておく必要がある基礎知識についてお話しました。給与計算業務に携わっていなかった時にはあまり気にしていなかった内容も多くあったのではないでしょうか。

これから給与計算をされるという方には、ぜひ今回の記事の内容をしっかりと理解していただけたらと思います。
次の記事では、実際の給与計算の流れについてご説明します。

2019.04.30

【離婚問題】「納得の離婚」のために知っておきたい【お金】【手続き】のこと

離婚とは人生が変わる瞬間です。やはり、今まで配偶者と精神的にも経済的にも支え合いながら生きてきた夫婦が離婚するとなると、精神的支えを失うだけではなく、特に専業主婦だった奥様は経済的支えを失うことになります。
だとすれば、今後の人生を豊かに過ごすためにも、お金のことや手続きのことは明確に理解しておかなくてはなりませんね。

離婚前、離婚後にもらえる可能性のあるお金はどんなもの?

離婚前、離婚後にもらえる可能性のあるお金にはどんなものがあるのか、説明します。

1.婚姻費用(離婚前)

夫婦には、お互いの生活レベルが同等になるように助け合う「生活保持義務」があります。
たとえ別居中であっても夫婦の婚姻が継続している限り、婚姻費用分担の義務は生じます。つまり、別居していても生活費を支払ってあげなければならないのです。
ただし、婚姻費用分担請求は請求した時から認められますので、「婚姻費用を払って欲しい」と主張しておかないと、後になって過去にもらえるはずだった婚姻費用を請求することは極めて困難ですので注意してください。

別居期間が長いと、その分、婚姻費用の支払いも続きます。また、夫婦で住んでいた住宅のローンが残っている場合には、住宅ローンの支払いも続きます。
離婚したいけれど相手が応じてくれず、ずるずると婚姻費用と住宅ローンを払い続けた挙句、自分の生活が苦しくなってしまう。婚姻費用を滞納してしまったために給与が差し押さえられてしまった、というのはよくあるケースです。

また、生活費を請求しても払ってもらえないという場合は、家庭裁判所に「婚姻費用分担調停」を申し立てると裁判所が出頭してきた夫婦の収入等を確認して婚姻費用を算出します。
そして支払うように話し合いが持たれます。そこで合意が取れないと調停不成立となりますが、調停不成立と同時に今度は審判の手続きに移行します。審判手続きでは、家庭裁判所が婚姻費用分担額を決めてくれるのです。

家庭裁判所の審判は確定した判決と同じ効力があるので、万が一、審判に従った婚姻費用が支払われない場合、給与や預貯金などの差押えもできます。

以上の通り、婚姻費用は「協議(話し合い)」「調停」「審判」の順番で手続きが進みます。
まずは、家庭裁判所が婚姻費用の相場表を開示していますので、ご自身の場合、婚姻費用がどの程度もらえそうか、検討してみましょう。ただ、必ずしもこの相場表に縛られる訳ではありませんので、ご注意ください。

2.慰謝料

浮気や暴力などの有責行為が原因で離婚する場合、婚姻生活中に味わった精神的苦痛に対して精神的な苦痛を被った方が慰謝料を請求することができます。

主に自分の側に離婚原因がある場合には、慰謝料を請求されてしまう可能性があるということです。相手側の浮気が原因で離婚に至るような場合には、浮気相手に対しても慰謝料を請求できます。

慰謝料の金額は「離婚に至った原因行為の内容」「結婚の期間の長さ」「相手の資力・収入」などの事情を総合的に考慮して決定されます。
離婚の原因に多い「性格の不一致」「価値観の相違」など、どちらかが一方的に悪いわけではない場合は、慰謝料の請求が認められないことが多いです。

3.財産分与

婚姻生活中に夫婦が協力して増やしてきた財産を、財産増加の貢献度に応じて分けることを言います。
一般的には婚姻期間が長くなり、年齢が上がっていくほど給料も上がるので貯金も増え、財産分与の対象となる財産が増えます。そのため、婚姻期間が長くなるほど高額の財産分与を受けられる傾向があります。

ただし、あくまでも貯まった財産を分ける手続きですので、使ってしまって溜まっていなければ、いくら夫が高額所得であっても財産分与の対象財産が有りません。財産分与でもらえる金額が少額となることはあり得ますので、ご注意ください。

4.養育費

養育費とは、未成年の子どもを成人させるまでに必要な経費のことです。(20歳までと決まりがあるわけではなく、子供の扶養が必要なくなるまでですので、大学を卒業する「22歳になった後の最初の3月まで」と決めるケースが一般的かと思います。)離婚する際に子供がいる場合、男性、女性に関わらず、子どもと一緒に生活していない側が支払います。

離婚するとき、「別れた元夫や元妻には一銭も支払いたくないが、子どものためなら払っていきたい」と思っている人は一般的に多いようです。

しかし、その後の人生で転職や再婚など、生活状況の変化が訪れ、結局養育費を支払われなくなる、というケースが多いのが実情です。

5.退職金

退職金は「賃金の後払い」としての性質もあるので、所得のなかから形成した預貯金等と同様に、財産分与の対象になります。しかし、定年まで勤務するか分かりませんし、本当に退職金がもらえるかどうかもわかりません。
退職金が財産分与の対象となるのは、退職が間近であったり、確実に退職金が受け取れる場合、または、相手が公務員の場合は認められやすいです。
ですので、まだ受け取っていない退職金については財産分与の対象になるかどうかケースバイケースですので、専門家による検討が必要でしょう。

6.年金分割

夫婦間の年金額を決められた割合により分割する制度です。分割の対象は厚生年金と旧共済年金部分だけで、国民年金部分は対象になりません。

分割された年金を受給できるのは、年金の受給資格を持つ年齢になってからです。
分割払いの慰謝料や養育費は元配偶者の経済力がなくなれば滞る可能性もありますが、年金分割の場合は国からの支払いになるので安心感はあります。

自分が納得して、第二の人生を踏み出せるように準備する

離婚を決意すると、「とにかく別れたい」と、慰謝料、養育費等の条件を決めずに離婚届を提出する方もいらっしゃいます。
離婚後に慰謝料、養育費等について話し合おうとしても、相手が話し合いに応じてくれない、連絡が取れなくなるということもあります。
そうなってしまうと、離婚に伴いもらえるはずのお金ももらえなくなってしまいます。また、離婚前に離婚後の条件を決めていても、決めた内容を書面に残していなければ、相手が養育費等の支払い義務を履行せずに争いになった場合、2人で決めた内容を証明するものがないため問題の解決に至る過程が複雑になることも多々あります。
その様なことを防ぐためにも、争いがない場合でも離婚協議書等で合意した内容を書面として残しておくことが大切です。

離婚の条件を取り決める書面としては主に「離婚協議書」、「離婚公正証書」のどちらかで作成することが一般的です。
どちらの書面も離婚の条件を記載することは同じですが、各々にメリット、デメリットがあるため以下で説明をします。

1.離婚協議書

離婚協議書のメリットとしては作成の容易さです。当事者双方で決めた条件を文章化し、お互いに署名、捺印することで作成出来ますので費用もかかりません。

デメリットとしては、離婚協議書に定めた内容を相手が守らなった場合に、直ぐに強制執行を行うことは出来ず、裁判を経て債務名義を取得した後に強制執行の手続きに移行するため時間がかかる点です。
また、裁判において離婚協議書で定められている内容の有効性等が争われることもあります。そのため、離婚協議書を作成するときは、離婚協議書の作成、内容の確認等を専門家に依頼することが理想です。

2.離婚公正証書

離婚公正証書のメリットとしては、法律の専門家である公証人が作成に携わるため記載内容が法令に違反する心配が無いこと、公正証書において定められた内容に債務不履行があるときに公正証書に強制執行認諾条項が定められていれば直ぐに差押え手続きに着手できることになります。

デメリットしては公正証書の作成に伴い公証役場の手数料が一定額発生すること、公正証書の内容について法的知識が無ければ公証人との調整が難しいことです。

前述した通り、離婚協議書等を作成しない離婚はリスクを伴います。それぞれのメリット、デメリットを理解したうえで、離婚届を提出する前に離婚協議書等の作成をお勧めします。

終わりに

離婚をするとなると、考えなければならないこと、解決しなければならない問題はたくさんあります。感情だけで離婚まで突き進んでしまい、のちのち後悔するようないように、そして新しい人生のスタートを清々しい気持ちで切れるようにしっかりと問題を解決していきましょう。

また、離婚という問題が持ち上がると、悩みごとも多くなり、どうしたらいいのかと思い悩む日々が続くかもしれません。一人で悩み続ける事はとても体力がいります。弁護士などの専門家でなくても結構です。あなたの信用できる「誰か」に相談するだけでも心は楽になると思います。
一人で悩まないでくださいね。このブログが今、離婚で悩まれている誰かの道標に少しでもなっていただけたら幸いです。

2019.04.30

【離婚問題】親権~親権者はどうやって決める?~

離婚するにあたり子どもがいる場合、子どもの親権はどちらが持つかということで対立するケースは非常に多く見られます。
親権の問題は、慰謝料や養育費、財産分与などのお金の問題とは根本的に異なり、お金に代えられない子供との繋がりの問題ですので、紛争が激化しやすいものです。
そこで、今回は、父母の協議で親権者が決まらなかった場合に裁判所はどういう基準で親権者を指定するのかという点を中心にご説明します。

1 親権とは

親権とは、未成年の子どもに対する、父母の養育者としての立場における権利義務の総称です。その効力は、子どもの身上に関する権利義務、子どもの財産についての権利義務の双方に及びます。あくまで未成熟な子どもを監督する権利義務ですので、子どもが成人すると親権はなくなります。

さて、親権は、父母の婚姻中は父母が共同して行います(民法818条1項)が、父母が離婚する際には、必ず父母の一方を親権者と定めます(民法819条1項)。離婚の合意ができても、親権者の指定について協議が調わないときは、離婚届を提出しても受理されません。

裁判離婚の場合は、判決で裁判所が父母の一方を親権者と定めるか(民法819条2項)、裁判上の和解において父母の一方を親権者と定めます。
離婚の際に親権者となった者がその後再婚しても、親権者であることには変わりません。

父母の離婚後、親権者に指定されなかった親は、親権者としての権限を全く持たないことになります。つまり、子の進学など重要な局面においても、法的には発言権を持ちません。
したがって、子どもの親権者となることは重要な意味を有します。そのため、離婚協議の際には、やはり親権に関する争いがなかなか絶えません。

ただ、必ずしも子どもとの関わり合いとは親権に限定される訳ではありませんので、親権だけにこだわるのではなく、子どもの幸せを最優先に考えるようにしましょう。

2 親権者指定の基準

では、裁判所は、どのような基準で親権者を指定するのでしょうか。これは、子の利益に合致することに尽きます(民法766条1項)。

子の利益に合致するか否かを判断するにあたっては、父母側の事情(監護に関する意欲と能力、健康状態、精神的・経済的家庭環境、居住・教育環境、子に対する愛情の程度、従来の監護状況、実家の資産、親族・友人の援助の可能性など)や、子の側の事情(年齢、性別、心身の発育状況、従来の環境への適応状況、環境の変化への適応性、子の意向など)を比較考量しながら決定されています。特に重視される事情には以下のものがあります。

① 現状の尊重(継続性)

変更すべき特段の事情がない限り、現に子の監護を行っている親権者が引き続き監護すべきであるという考え方です。実務では、この基準が優先されているように思われます。すなわち、子の虐待などが認められるケースを除けば、現状を尊重することが基本原則とされ、そのうえで、現状を覆すべき特段の事情があるか否かを審理するのが一般的です。

② 母親の優先

乳幼児については、特別の事情がない限り、母親が優先されるべきであるという考え方です。母親が現に乳幼児を監護しているケースでは、①②をともに満たすため、よほどの事情がない限り母親が親権者に指定されます。

③ 子どもの意思の尊重

子どもが15歳以上であるときのみならず(家事事件手続法152条2項・169条2項)、15歳未満であっても、できるだけ子どもの意思は尊重されるべきであるという考え方です。
実務では、おおむね10歳以上の子の意思が尊重される傾向にあると言われています。ただ、子どもは現在育ててもらっている親に嫌われないよう気を遣った発言をする傾向があるため、子どもの発言を鵜呑みにすることはできません。
子どもの意思を確認する際には、発言の字面だけでなく、その発言が真意に基づくものか否かを態度や行動等を総合的に見ながら判断しています。

④ 兄弟姉妹の不分離

兄弟姉妹は可能な限り同一人によって監護されるべきであるという考え方です。もっとも、子の年齢が上がるにつれて、兄弟姉妹の不分離の基準は重視されない傾向にあります。
裁判例でも、複数の未成年の子はできるだけ共通の親権に服せしめる方が望ましいが、ある程度の年齢に達すれば、その望ましさは必ずしも大きいものではないとし、15歳の長女の親権者を父、12歳の長男の親権者を母に指定したものがあります(東京高判昭和63年4月25日)。

離婚原因となった事情、たとえば不貞行為や暴力行為などが親権者指定において考慮されるかという問題があります。

不貞行為は倫理的に非難されるものの、直ちに親権者として不適格であるとは言えないと解されています。
暴力行為については、子の目の前で配偶者に暴力をふるうなどの事実があれば、子の健全な育成に悪影響を与える可能性が大きいので、親権者としての不適格性につながる可能性があります。

3 監護権とは

親権とは別に、子どもを現実に養育する権限という概念もあり、これを「監護権」といいます。離婚の際に親権者に指定されなかった親を監護権者と定めることもでき(民法766条1項・2項)、その場合は親権と監護権が別々の者に帰属することになります。
世の中には、親権はなくても、子どもと日々の生活を共にできれば十分だと考える親もいるでしょう。
実務では、親権者の指定について双方が対立しており、離婚がなかなか成立しない場合に、窮余の一策として、親権者と監護権者を分けて、妥協点を見出すことがあります。

しかし、親権者と監護権者を分けた場合、進学などの手続や各種申請などの際に親権者の協力が必要となるため、監護権者はその都度親権者に連絡を取り、親権者の署名・押印をもらわなければならず不便です。
しかも、けんか別れした間柄ですから、親権者の協力が得られるとも限りません。
このことが原因となって、元夫婦が紛争を再燃させ、子どもがその対立に巻き込まれる恐れもあります。
したがって、親権と監護権を別々の者に帰属させることは、あまりお勧めできません。離婚の実務でも、親権者と監護権者を分けることはめったに行われません。

4 親権者の変更

未成年の子どもについては、父母が離婚する際に一方の親が親権者に指定されていますが、その後の事情の変化により、他方の親が親権者となる方が良い場合があります。
そのため、「子の利益のため必要がある」ときは、親権者を変更することができます(民法819条6項)。

親権者の指定は当事者間の協議ですることができますが、親権者の変更は、必ず家庭裁判所の調停または審判を経なければなりません。
そして、子どもが15歳以上のときは、審判前に必ず子どもの陳述を聴かなければなりません(家事事件手続法169条2項)。

しかし、子どもが親権者から虐待を受けている場合のように、子どもを保護すべき緊急の必要性があるケースもあります。
このような場合には、審判前の保全処分を申し立てて、審判の結論が出る前に緊急の措置として、子どもの引渡しを求めることもできます(家事事件手続法175条1項)。

親権者の変更の基準は、親権者の指定の基準とは異なります。これは、親権者による監護の実績があるためです。
そのため、親権者の変更においては、父母双方の事情の相対的な比較考量のみならず、父母の一方による実際の監護の実績を踏まえて、変更すべき事情の有無を検討します。

ただし、親権者を変更するということは、子どもの現在の生活環境を変更するわけですから、変更する必要性が相当程度高くないと変更は認められません。

また、離婚によって子どもの単独親権者となった父または母が再婚し、再婚相手が子どもと養子縁組をしたために、子どもが実親と養親の共同親権に服している場合には、他方の実親は親権者変更の申立てができないとされており、注意が必要です。

5 まとめ

離婚の合意はしていても、親権者の指定についての協議が調わないことが原因となって、協議離婚が成立しないケースが多く見られます。
逆に、中には早急に離婚を成立させたいあまり、とりあえず親権については譲り、離婚した後に親権者を自身に変更すれば良いと考える方もおられるかもしれません。

しかし、将来親権者を変更することは決して容易ではありません。離婚の際には不本意に親権を譲ってしまわないよう、慎重に検討する必要があります。

そして何よりも、自分の子どもに対する愛情も踏まえた上で、子どもにとって最も幸せな人生を送れる選択肢を選ぶように心掛けましょう。

2019.04.30

法の観点からみるネットビジネスに不可欠なWEBサイト作りとは?

ネットビジネスを始めるのであれば、必須なのが「WEBサイト作り」です。
ネットの世界では、日々ビジネスの種類に合わせて様々なタイプのWEBサイトが開設され、運用されています。

しかしながら、いざ始めようと思っても考えなければならない部分は非常に多くあります。
どこにWEBサイト制作を依頼するのか?自作するのか?WEBサイト名やドメイン取得はどうする?など…
今回は、法の観点から見るWEBサイトを作るにあたっての注意点や押さえておきたいポイントをご説明します。

1.自分が思い描いたネットビジネス用のWEBサイトを作るには

(1)外注制作会社を探す

まずWEBサイトを作るにあたって、専門的な分野であるネットワークの知識やプログラム言語などを習得した方でないと、本格的なWEBサイトやショッピングシステムを構築することは難しいものです。
そのような場合、多くはWEBサイト制作会社に外注することになりますが、見積を依頼する時点で、「自分が思い描いているサイトをしっかり作ってくれるか」という部分に重きをおいて外注会社を探しましょう。

外注を検討している制作会社には、どんなサイトにしたいか、各ページはどのような構成にするのか、訪問者はどのような流れで購入するのか、いつまでにサイトをオープンしたいのか、など希望をしっかり伝えましょう。

依頼することになったら、必ず契約書として上記の内容を書面に残すことがポイントです。

(2)なぜ契約書が必要なの?口約束でも契約は有効では?

できあがったWEBサイトの納品後、希望を伝えたのに思っていたサイトと違っていた場合、「そんなことは聞いていない」「言われた通りに制作した」という制作会社とのトラブルは避けたいものです。やはりイメージを伝えているだけなので、なかなか思い通りに出来上がらないのが一般的で、トラブルが後を絶ちません。
書面に残すことで証拠となり、納品後の修正や改善要求等に受注側の責任として応じてもらうことができます。

納期や金額についても明確に契約書に記載すると、WEBサイト制作に起こりやすい納期遅延の対策となります。
実際に遅延となった場合は、法律上、契約書に明記されていなくとも損害賠償請求をすることができますが、契約書の記載内容によっては損害賠償の額が少なくなってしまうこともあります。
制作会社から提示された契約書の内容に不安がある方は、弁護士などにリーガルチェックを依頼するとよいでしょう。

2.WEBサイトの名前、サービス名とドメインの決定は慎重に

(1)商標を侵害していないか検索

実店舗を構える際にも同様のことが言えますが、サービス名(商品名)、ロゴマークなどを決める際は、すでに世に出ているものの商標権を侵害していないかを確認する必要があります。

先に商標登録されたサービス名や商品名、ロゴマークに類似したものは使用できません。
独立行政法人 工業所有権情報・研修館が運営している「J-PlatPat」では、商標登録されているサービス名などの検索ができるので、ここで調べてみるのも方法の一つです。

J-PlatPat特許情報プラットフォーム
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage

しかしながら、類似サービス名や類似ロゴの検索はできても、商標権侵害にあたるかどうかの明確な基準までは、上記サイトではわかりません。
サイト開設後、スムーズに運用を進めたいのであれば、弁理士などに商標権侵害の調査とサービス名やロゴなどの商標登録を依頼してみるといいかもしれません。
商標登録まで行ってしまえば、今度は他人からのサービス名やロゴの侵害を防ぐことができ、安心してビジネスに取り組むことができるでしょう。

(2)ドメインはオリジナル性のあるものに

さらに、WEBサイト特有なものとして「ドメイン」があります。
これはネット上の住所といわれるものですが、独自ドメインといって、先に取得されていなければ自由に好きな文字列で取得することができます。
例えば、この「那珂川オフィス」サイトでいうと「nakagawa-lawoffice.jp/」の部分です。
このドメインを、「大手企業と同じ名前で最後の部分だけちょっと違う」ものにしてしまったらどうなるでしょうか。

これは、消費者(訪問者)にその関連企業であるかのように勘違いされ、混同をまねく行為として不正競争防止法の違反に当たる可能性があり、損害賠償請求や信用回復措置請求の対象になりかねません。

法律の観点から他人の真似をしないことはもちろん重要ですが、個人的な意見としては、オリジナリティのあるドメイン名を取得することで自身のサイトに愛着が湧き、サイトをより良くしていこう、という気持ちにつながるのではないかと思います。

3.WEBサイトが完成。更新を自分で行う時に気を付けたいポイント

(1)ブログページも開設!でもその画像、大丈夫…?

例えば、WEBサイトを開設し落ち着いてきた頃、商品についてのPRをブログで行うこととなったとします。
ネットを閲覧中に、たまたま同じ商品の写真を掲載していた他のサイトを見つけたので、無断でコピーし、あたかも自分が撮影したかのようにサイトへ掲載しました。

すでにご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、このような場合、著作権侵害にあたり、掲載元から損害賠償請求をされることもあります。

たとえありふれた街の風景の写真や小さなアイコンでも、他人が撮影・制作したものに対して、無断で使用することは許されません。有名人や著名人の写真ももちろん無断使用は違反です。
商品の写真撮影は自身で行うか、カメラマンに依頼しましょう。最近では、自身で撮影した写真を切り抜いたり加工してくれるWEBサービスなどもあります。

(2)過大表示や紛らわしい表現に気をつける

テレビCMや広告チラシなどでも問題となっていますが、実際の商品より良く見せる「有利誤認表示」はWEB上でも起こります。
「通常価格〇〇円のところ、今なら特別に●●円!」という表記をよく見かけますが、実際にはこの通常価格で一度も販売したことはなく、特別価格での販売が常態化していた場合、
景品表示法違反となるおそれがあります。

その他にも、アプリゲームなどでは途中から有料になるのにも関わらず「完全無料で遊べる」と表記したり、「必ず痩せるナンバーワンサプリ」などという医学的にも根拠がない文言を掲載することも景品表示法(または薬事法・薬機法違反)になります。

4.まとめ

今回はネットビジネスを始めるにあたって必要なWEBサイトについてご説明しました。
起こり得る多様なトラブルに先回りし、予防策を講じることで息の長いWEBサイトとなり、ビジネスも加速していくことでしょう。

制作会社との契約や著作権についてはビジネスに関わらず、趣味のサイトや、サークル活動でのコミュニティサイトなどを制作する際にも気をつけたい部分ではないでしょうか。
そのような方々もぜひ参考にしていただければと思います。

2019.04.30

【社会保険】家族を扶養に入れる加入条件と手続き方法

家族を自分の扶養に入れたい、夫・妻の扶養に入るため手続きをしたいけど、条件に当てはまっているのか気になりますよね。
必須条件は『主として被保険者の収入によって生計を維持していること』です。後期高齢者医療制度の創設により、75歳以上の者は被扶養者になれないので注意が必要です。
また、扶養に入る被保険者が社会保険に加入していることは前提条件となりますので、確認も必要です。

今回は、どのような人なら社会保険の扶養に入ることができるのか、どのような手続きが必要なのか等をご説明させていただきます。

1.被扶養者の範囲

『被扶養者』とは、被保険者の扶養に入った人のことです。
主として被保険者の収入によって生計を維持していることが条件で、被保険者と同様に、病気・けが・死亡・出産などについて、保険給付が行われます。
※収入には、給与のほか、事業収入、不動産収入、公的年金、失業給付等も含まれるので注意が必要となります。

被扶養者の範囲

※1 「主として被保険者に生計を維持されている」とは、被保険者の収入により、その人の暮らしが成り立っていることをいい、被保険者と一緒に生活をしていなくてもかまいません。

つまり、離婚したお父さんが子供のための養育費を支払っていて、その養育費で子供が生計を維持しているのであれば、同居していなくても子供はお父さんの扶養に入ることができます。

※2 「同一世帯」とは、同居して家計を共にしている状態をいいますので、同一戸籍内にあるか否か問わず、被保険者が世帯主でなくてもかまいません。

2.共働きの場合は?

①被保険者と同一世帯の場合

ア)対象者の年間年収が130万円未満、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満の場合は該当します。
イ)対象者が60歳以上や一定の障害者の場合
対象者の年間年収が180万円未満、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満の場合は該当します。
ウ)上記アイの条件に該当しない場合であっても、年間収入130万円未満(イの方は180万円未満)、かつ、被保険者の年間収入を上回らない場合には、当該世帯の生計の状況を総合的にみて、被保険者が生計維持の中心的役割を果たしていると認められるときは、被扶養者として認められます。

②被保険者と同一世帯ではない場合

対象者の年間収入が130万円未満(イの方は180万円未満)、かつ、被保険者からの援助による収入額より少ない場合には被扶養者に該当します。

③被扶養者となる配偶者の方

20歳以上60歳未満の人は、国民年金の第3号被保険者となり、年金保険料が免除されます。該当した場合は、合わせて手続きを行う必要があります。

3.手続き方法

被扶養者の加入手続き方法1

手続き方法は上記の図をご参照ください。

4.まとめ

扶養に入れるのは3親等内の親族で主として被保険者の収入によって生計を維持している人です。範囲と要件によっては、届出書の添付資料にも違いがありますので、しっかり確認することが大切です。
手続きが遅れますと、さらに追加の資料が必要になったり、保険証が届くのも遅くなりますので、速やかに適切な手続きを行いましょう。

 

 

2019.04.26

【相談事例50】破れたお札は交換してもらえる?~紙幣の引き換えについて~

【相談内容】

先日、自宅の掃除をしていると、何十年の前に隠したのであろう母のへそくりが見つかりました。

母も亡くなっており、へそくりを見て懐かしい気持ちになったのですが、へそくりとしてのお金は封筒などに入っていなかったためボロボロの状態で、中には破れて半分しか残っていないお札もありました。

そのようなボロボロの紙幣は処分するしかないのでしょうか。

【弁護士からの回答】

前回、貨幣の通用限度等についてご説明させていただいた際、紙幣の引き換えの制度について簡単にふれさせていただきましたが、今回は具体的な引き換えの基準などについてご説明させていただきます。
ご相談者様のように紙幣が半分程度しか残っていない場合であっても、引き換えできる場合が多いのであきらめる必要はありません。

1. 紙幣の引き換えについて

まず、紙幣がボロボロの状態になったからといって価値がゼロになるわけではありません。

日本銀行法48条では、「日本銀行は、財務省令で定めるところにより、汚染、損傷その他の理由により使用することが困難となった日本銀行券を、手数料を徴収することなく、引き換えなければならない。」と規定しており、紙幣については無償で引き換えを行うことができると規定されています。

具体的には、日本銀行や、お近くの銀行により破損などした紙幣を持参すれば引き換えてもらうことができます。
そして、上記法律をうけた日本銀行法施行規則8条1項により、
表裏の両面が具備されていることを前提として

① 券面の三分の二以上が残存するものについては額面価格の全額
② 券面の五分の二以上が残存するものについては額面価格の半額

といった基準で引き換えがなされることになります。すなわち、紙幣の5分の2未満しか残っていない場合を除けば、金額が半額にはなってしまいますが、引き換えてもらうことができます。

なお、破れて2つに分かれてしまった紙幣の引き換えについても規定があり、上記施行規則8条2項では、「日本銀行券の紙片が二以上ある場合において、当該各紙片が同一の日本銀行券の紙片であると認められるときは、当該各紙片の面積を合計した面積をその券面の残存面積として、前項の規定を適用する。」と規定されており、破れた各紙片の合計面積が5分の2以上であれば半額、3分の2以上であれば全額引き換えることができます。

2. 紙幣を受け取る側の注意点

このように、破損している紙幣であっても、新しい紙幣と引き換えが可能ではあるため、多少の破損であれば後に引き換えが可能な場合であることが通常であるため、お店などでも多少であれば、通常の状態でない紙幣も支払いの際に受け取っても差し支えないでしょう。

もっとも、ボロボロの紙幣の場合、お釣りなどで使用するには適さず、銀行などで引き換えをする手間も生じます。
また、破損の具合によっては、減額されて引き換えがなされる場合もあるため、あまりにも破損している紙幣の場合受け取りを拒否するなどの対応も必要です。

 

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2019.04.26

【相談事例49】大量の小銭での代金の支払いは認められる?

【相談内容】

先日、コンビニでの料金の支払いに大量の1円玉を出して支払いを行おうとしてレジの人を困らせるような動画が投稿されているのを見ました。

こういった動画も迷惑動画の類だと思うのですが、大量の小銭により支払いを求めた場合、代金額を支払っている以上、店側は大量の小銭を受け取らなくてはならないのでしょうか。

【弁護士からの回答】

最近ニュースを見ていると、次から次へと迷惑動画に関する問題が取り上げられているのを見ると、なぜこのような迷惑な行為がやむことがないのかと疑問に思ってしまいます。

ご相談者様のおっしゃられるように、今回の動画(「1円玉会計」などと呼ぶそうです。)についても迷惑動画といえるでしょう。
このような大量の小銭を用いた支払いについて店側は支払いを拒否することができるのかについてご説明させていただきます。

1. 日本における通貨について

日本における通貨(貨幣)に関し規定した法律として、通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律というものがあり、日本における通貨の単位を円とすること(2条1項)、通貨とは、貨幣及び日本銀行券(紙幣のことです)であること(2条3項)などが規定されています。

なお、余談になりますが摩耗などにより流通に不適当となった貨幣や、汚染、損傷その他の理由により使用することが困難となった紙幣については、上記法律や日本銀行法により、無償で交換することができるとされています。

2. 貨幣の通用限度

では、代金の支払いに関しては、貨幣(小銭)をいくら使用してもよいのでしょうか。
民法402条1項では、

「債権の目的物が金銭であるときは、債務者は、その選択に従い、各種の通貨で弁済をすることができる。ただし、特定の種類の通貨の給付を債権の目的としたときは、この限りでない。」

と規定されており、「1万円札で支払う」などと特定されていない場合には、債務者(代金を支払う人)は各種の通貨(1万円札、千円札などの紙幣や貨幣)を債務者の選択に支払い支払うことができます。

もっとも、さきほどご説明した、通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律の7条では、「貨幣は、額面価格の二十倍までを限り、法貨として通用する。」と規定しています。

つまり、同一の貨幣は20枚までは通貨として通用するが21枚以上になると通貨として通用しないことになります。

したがって、通貨として通用しない以上店側は、同一の効果を21枚以上提出してきた場合には、その効果での支払いを拒否することができるようになります。ちなみに、紙幣の場合には、通用限度はなく、どれだけ高額な金額であっても紙幣で支払う場合には枚数制限はありません。

貨幣のみ通用限度が設定されている理由としては、貨幣はそもそも代金の支払いなど決済を簡易にするために用いられるものであるところ、迷惑動画にあるように大量の貨幣での支払いを認めてしまうと、簡易な決済を阻害することになりかねないため、通用限度を設定しています。

したがって、迷惑動画のような嫌がらせのように大量の小銭で支払いをしようとしている場合には、店側としては毅然とした態度で貨幣での支払いを拒否することで差し支えありません。

もっとも、小さいお子さんが少しずつもらった小銭をためて代金を支払にくるというようなほほえましい場面には、店側として21枚以上の同一通貨を受け取ること自体は問題ないため、柔軟に対応してあげるのがよいのではないかと思います。

 

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2019.04.26

【相談事例48】ゴールデンウイークが10連休になる理由は?

【相談内容】

2019年のゴールデンウイークは10連休となっています。
今まで10連休ということがなかなかなかったので、どうやって休みを過ごそうか悩んでいます。
ふと気になったのですが、いつものゴールデンウイークと違いどうして2019年は10連休になるのでしょうか。

【弁護士からの回答】

2019年のゴールデンウイークは10連休となっています。

通常のゴールデンウイークは3連休と4連休の組み合わせですが、2019年に関しては天皇陛下の生前退位の関係もあり10連休となるのですが、10連休となることについても、しっかり法律により規定されています。

今回も豆知識的な内容となっておりますが、10連休となる仕組みついてご説明させていただきます。

1. 新天皇即位に伴う祝日の制定

平成30年12月8日、皇太子さまが新しい天皇に即位される日である2019年5月1日と、新天皇に即位されたことを公に示す「即位礼正殿の儀」が行われる2019年10月22日の両日を祝日とする法律が成立しました(なお、両日が祝日となるのは2019年のみであり、翌年以降は祝日にはなりません。)。
このように、2019年5月1日が祝日になることにより。10連休になることになります。

2. 国民の祝日に関する法律

日本には、祝日に関する事項を規定した、国民の祝日に関する法律があります。
具体的には、第2条により各祝日の日付と祝日の意味が規定されています。
例えば、昭和の日(4月29日)は、「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。」と規定されています。

そして、第3条3項において、「その前日及び翌日が「国民の祝日」である日(「国民の祝日」でない日に限る。)は、休日とする。」と規定されており、簡単にいうと、国民の祝日に挟まれた平日は、休日になります。

上記規定により、4月29日の昭和の日と5月1日の天皇の即位の日という祝日に挟まれた4月30日は休日となります。また5月1日と5月3日の憲法記念日という祝日に挟まれた5月2日も同じく休日になります。

このように2019年は、4月30日と5月2日が休日になったことで、4月27日から5月6日までの期間が10連休となることになります。
なお、2019年5月5日の子ども日は祝日かつ日曜日であるところ、国民の祝日に関する法律3条2項では、「「国民の祝日」が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日を休日とする。」と定めており、翌日である5月6日も休日(いわゆる振替休日)となります。

 

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2019.04.26

【相談事例47】シェアハウスでのトラブル~勝手に部屋に入るのは違法?~

【相談内容】

大学に進学する際、高校の同級生と2人でマンションを借りていわゆるシェアハウスをすることにしました。

お互いの部屋を決めて互いの部屋には絶対に入らないと約束していたのですが、先日、友人が勝手に私の部屋のドアを開けて部屋の中に入っているのを目撃しました。

どうやら探し物があったらしく私が持っていたら借りようとしていたらしいのですが、友人に勝手に部屋の中に入ったことを咎めても全然反省してくれません。

いくら同じところだとしても勝手に部屋の中に入ることは問題ではないのですか?

【弁護士からの回答】

近年、シェアハウスで生活している人が増えたというニュースを耳にしました。
シェアハウスといっても、一軒家にて複数の人が生活するスタイルや、ご相談者様の事例のように、マンションに他人と生活するというようなスタイル(正確にはルームシェアというようです。)などいろいろあるようです。

シェアハウスやルームシェア等は、コストの削減のみならず同居している人との交流も図れる等、メリットもありますが、他人同士がいわゆるひとつ屋根の下で生活する以上トラブルも起こりうると思います。

そこで、今回は他人の部屋に無断に入る行為の問題点についてご説明させていただきます。

1.住居侵入罪

刑法130条では、「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する」と規定されており、正当な理由がないのに住居や建造物に侵入する行為は住居(建造物)侵入罪となります(130条の後半分は「不退去罪」という犯罪です。)。

今回のご相談内容では、ご友人の行為が住居侵入罪にあたるか否かが問題となります。

2. 他人の部屋は「住居」??

刑法130条でいう「住居」とは、「人が起臥寝食(きがしんしょく)のために日常的に使用する場所」とされています。そして、解釈上、マンションの各個室のように1つの建物中の区画された部屋もそれぞれ独立の住居になると解されています。

したがって、ルームシェアのようにお互いの部屋それ自体も独立の住居として認められ「侵入」したと認められる場合には、住居侵入罪が成立しうることになります。

3. 「侵入」とは??

では、ご相談者様の事例のように無断で他人の部屋に入る行為は、住居侵入罪の「侵入」に該当するのでしょうか。

「侵入」という語感からすると忍び込むような行為をイメージされる方も多いと思われますが、判例などでは、侵入とは、「管理権者の意思に反する立ち入り」であると解しています。

例えば、銀行への入店の際、外観上は一般の利用客と異ならない場合であっても、銀行強盗や窃盗をするために入店する場合には、管理権者(銀行の支店長)の意思に反する立ち入りであるため住居侵入罪が成立します。

ご相談者様の事例のケースでも、お互いの部屋には入らないという取り決めしていた以上、部屋に無断で入る行為は、部屋の管理権者であるご相談者様の意思に反するものとして住居侵入罪が成立する可能性があります。

もっとも、単なる部屋の場合、鍵をかけていない場合等については、立ち入りを許容していることの意思の表れとも思えるので、シャアハウスのように個室ごとに鍵が設置されている場合と比較すると住居侵入罪が成立するか否かはケースバイケースのようにも思えます。

いずれにせよ、同棲とは違い他人と一つ屋根の下で生活し、かつ、それぞれの居住スペースをすみ分けする以上、鍵を設置することやルールをきちんと明確に定める等トラブルにならないよう対策を講じる必要があるでしょう。

 

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2019.04.26

【相談事例46】18歳で飲酒は可能?~未成年と成人②~

【相談内容】

18歳で、自由に契約ができるようになるのですね。
安易に契約して、不利にならないように気を付けなければいけませんね。
18歳で成人になるということはお酒を飲んだりタバコを吸ったりすることも18歳からできるようになるのですか。

【弁護士からの回答】

前回は、民法上の成人と未成年者の違いについてご説明させていただきましたが、今回は他の法律との関係性についてご説明させていただきます。

1.お酒とタバコについて

飲酒(お酒)については、未成年者飲酒禁止法という法律があり、タバコについては、未成年者喫煙禁止法という法律があります。

では、2022年4月1日より開始する民法上の成人年齢の引き下げに伴い、飲酒や喫煙をすることができる年齢も引き下げられるのでしょうか。

結論としては、民法上の成人年齢が引き下げられたとしても、飲酒及び喫煙のいずれも20歳にならないと行うことはできません。

未成年者飲酒禁止法、未成年者喫煙禁止法においては、民法改正後であっても20歳未満の人の飲酒、喫煙を禁じることになります。

これは、いずれの法律も20歳未満の人の身体の安全等に配慮したものであるため、民法上の成人年齢の引き下げに伴い、引き下げられるべきではないと考えられているからです。

2. 養育費について

夫婦が離婚する際に未成年のお子さんがいらっしゃる場合には、お子さんの生活費を養育費という形で支払うことについて合意するのが一般的です。

その際、「子が成人に達するまで」というように支払期限を設定していた場合に、2022年4月1日以降より、上記のような規定の場合には養育費の終期については18歳までに引き下げられてしまうのでしょうか。

これについては、法務省において見解が示されており、取り決めの時点では成人年齢が20歳であった場合には成人年齢の引き下げがなされたとしても養育費の終期は20歳のままとすべきとされています。

理由としては、養育費については経済的に未成熟であるお子さんのために支給されるものであって、成人年齢が18歳に引き下げられたからといって当然に18歳のお子さんが経済的に未成熟な状態でなくなるわけではないからとされています。

もっとも、お子さんの経済的な成熟度に関してはケースバイケースであるようにも思えるため、今後成人年齢の引き下げ後に関する養育費の問題については、是非一度弁護士にご相談ください。

 

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