【相談事例29】~迷惑動画問題②親の賠償責任は?~
【相談内容】
迷惑動画を投稿してしまうと、とても大変なのですね。息子にもくれぐれもしないようにしっかり言い聞かせておきます。
ひとつお聞きしたいのですが、万が一息子が迷惑動画を投稿してしまい、損害賠償をしなければならない場合、法律上親である私も賠償責任を負わなければならないのでしょうか。
【弁護士からの回答】
前回は、迷惑動画を投稿してしまったことによる、投稿者にどのようなリスクがあるのかについてご説明させていただきました。
今回は、親の法的責任についてご説明させていただきます。
1 誰が賠償責任を負うのか
結論からお伝えすると、迷惑動画を投稿したお子さんが賠償責任を負い、親御さんが賠償責任を負うことは原則として賠償責任を負うことはありません。
民法714条では、責任無能力者が不法行為を行った場合、監督責任者が賠償責任を負うと規定されており、お子さんが責任無能力者の場合には親御さんが責任を負うことになりますが、一般的に14歳以上のお子さんの場合には責任能力は認められると言われているため、アルバイトができるようなお子さんの場合には監督責任者である親が賠償責任を負うことはありません。
上記民法714条以外に民法上子どもが不法行為を行ったら親が賠償しなければならないと規定されているわけではないので、お子さん自身が賠償責任を負うことになります。
もっとも、親御さんはあくまでも法律上責任を負わないだけであって、アルバイトなどで働いていたお子さんが多額の賠償を行うことは困難であるため、事実上家族も支払いを余儀なくされてしまうのが通常だと思います。
2 身元保証契約
上記のように、お子さんが不法行為を行ったとしても原則として親御さんが賠償責任を負うことはありません。
もっとも、お子さんが入社するときに親御さんにおいて身元保証契約書等に署名・押印していた場合には、親御さん(身元保証人)も賠償責任を負う場合があります。
身元保証契約とは会社(使用者)が採用した労働者(従業員)の行為によって会社が被った損害を、本人にかわって保証する契約になります。
お子さんが入社する際には、とくに意識せずにこの身元保証契約書に署名・押印されている親御さんがほとんどであると思いますが、身元保証契約を締結した場合には迷惑動画の投稿に限らず、お子さんの職場での行為により親御さん自身も多大な賠償責任を負ってしまう可能性があることを理解する必要があるでしょう。
この身元保証契約ですが、法律により有効期間が定められており(身元保証に関する法律第1条、2条)、不法行為を行った時期が有効期間外である場合には賠償責任を負うことはありません。
また、使用者側から提示された賠償額については、その金額が適正な金額であるのかについては精査をすう必要がある場合もありますので、お子さんが入社の際に身元保証契約を締結しており、会社から賠償の請求をされた場合には、是非一度ご相談ください。
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【相談事例28】~迷惑動画問題①どのようなリスクが?~
【相談内容】
今度大学に入学する息子が飲食店でアルバイトすることになったのですが、最近、ニュースでコンビニや飲食店の従業員による迷惑動画が取り上げられているため、他人事ではないと感じてしまいます。
自分の息子に限ってそのようなことはないとは思うのですが、もし、息子が職場で迷惑動画を撮影し、その動画が流出することになってしまった場合、息子や私たちにどのようなリスクがあるのでしょうか。
【弁護士からの回答】
ここ数日、コンビニや飲食店の従業員が、店内の商品や食材等を雑に扱う様子などを撮影されたいわゆる迷惑動画がネット上に公開、拡散され、話題になっています。
先日、迷惑動画を撮影した従業員に対し、勤務していた店舗を経営する企業が、法的措置を講ずると発表したこともあり、軽い気持ちでふざけて撮影し、投稿した動画により、多大な迷惑や損害を被ることについては、知れ渡っているのではないでしょうか。
そこで、今回は、迷惑動画を撮影し投稿したことによりどのような法的責任が発生するのかについてご説明させていただきます。
1 刑事責任
店の従業員が、店の商品や食材を雑に扱った動画を撮影し公開することにより、そのお店ではそのように雑に商品を扱い提供させているという虚偽の情報を世間一般に公開している形になるため、迷惑動画を撮影し、公開する行為は、偽計業務妨害罪若しくは信用棄損罪(刑法第233条)が成立する可能性があります。
このように、軽はずみな気持ちで迷惑動画を投稿してしまうだけで、悪質な場合には逮捕されてしまう可能性があることは理解する必要があると考えています。
2 損害賠償責任
上記のように、従業員が違法な行為を行っている以上、不法行為として従業員には迷惑動画を行ったことにより、店舗(企業)が被った損害を賠償する民事上の責任を負うことになります。
賠償額として店の信用低下による売り上げ減少額にとどまらず企業の株価下落による損害まで請求できるのかという、不法行為と損害との因果関係の問題があり、今後の裁判例の蓄積を待つ必要はありますが、数百万円単位での賠償額が認められたとしても不自然ではありません。
3 その他の損害
迷惑動画を投稿した従業員については、解雇等懲戒処分を受けてしまうことは当然ですが、それ以外に怖いのが、ネット上で本人の氏名、住所、大学、家族、交友関係等の個人情報が特定されてしまうところにあると思います(個人情報の特定に関しては別の機会にご説明させていただきます。)。
いったんネット上に公開された個人情報については、削除することは事実上不可能であり、一生残ってしまうことになってしまうため、軽はずみに投稿してしまうことにより、取り返しのつかない事態になってしまうため、迷惑動画の投稿は絶対に辞めた方がよいでしょう。
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【相談事例27】~インフルエンザでも出勤強要、違法では?~
【相談の内容】
土曜日にちょっと人が多いところに行ったため、日曜日非常に高熱が出たため、今朝病院に行ったらインフルエンザと診断されました。
すぐに会社に連絡し、休む連絡をしたところ、上司から「忙しい時期なんだから出社しろ」と言われました。
インフルエンザなのに出社なんかしたら会社に迷惑をかけてしまうだけだと思うのですが・・・・
【弁護士からの回答】
2019年は全国各地でインフルエンザが猛威を振るっており、福岡でも、1月に、警報レベルでの感染者が報告されるに至りました。
インフルエンザウイルスは、飛沫感染のみならず接触感染も認められるウイルスであり、インフルエンザであるにも関わらず、無理に会社などに出社してしまうと、他の従業員に移してしまうなど多大な迷惑をかけることになってしまうため、通常の企業であればインフルエンザに感染した従業員に関しては、欠勤させ、他の従業員に対する感染を防ぐという企業が一般的であると認識しています。
では、ご相談者様の事例のとおり、従業員がインフルエンザに感染したにもかかわらず、上司や会社において出勤を強制した場合には、どのような問題になるのかご説明させていただきます。
1 安全配慮義務違反
使用者と労働者との間の契約(雇用契約)関係を規律する労働契約法5条では、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と規定されており、かかる規定は、使用者側に労働者の安全を確保するための義務、すなわち、安全配慮義務を負っていることを記載している規定であると言われています。
したがって、使用者側としても、自由に従業員を出勤させることができるというわけではなく、労働者の安全を確保しなければならないという点での制約を受けることになります。
そして、インフルエンザであることが診断書などで客観的に判明している場合に、当該インフルエンザに感染した従業員を出勤させることは、従業員の体調をさらに悪化させることにつながり、当該従業員の身体の安全を害する行為であることに加え、ウイルスに感染した従業員を出勤させたことにより、他の従業員にウイルスが感染し、他の従業員の体調が悪化することで、他の従業員の身体を害する行為にも当たりうるものです。
したがって、インフルエンザに感染した従業員を無理に出社させることは、当該従業員のみならず他の従業員に対しても安全配慮義務違反し、会社や上司において、損害賠償の支払を余儀なくされることになる可能性があります。
2 パワーハラスメント
近年、パワハラの件数が増加してきたことを踏まえ、厚生労働省では、このパワーハラスメントに該当しうる行為として6つの類型を挙げており、その中の1つの類型として、「過度な要求:業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制仕事の妨害」というものがあります。
そして、インフルエンザに感染した従業員を強制的に出席させる行為は、過大な要求として、パワハラ行為に該当する可能性があり、その場合には使用者若しくは上司において、パワーハラスメントに伴う損害賠償(慰謝料)を請求される可能性も否定できません。
3 労働安全衛生法違反
また、労働安全衛生法では、「事業者は、伝染性の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかった労働者については、厚生労働省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければならない」と規定しており(同法68条)、厚生労働省で定める省令では、就業が禁じられる場合として「病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかった者」(労働安全衛生規則61条)を規定しています。
インフルエンザウイルスに感染した従業員については「病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかった者」と認定されることになると思われます。
したがって、就業が禁じられているインフルエンザに感染した従業員を強制的に出社させることは、上記労働安全衛生法に違反し、事業者(使用者)には6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります(労働安全衛生法119条1号)。
4 最後に
このように、インフルエンザウイルスに感染してしまった、従業員を強制的に出勤させてしまった場合には、損害賠償請求のリスクだけでなく、刑事罰を科されるリスクも存在することになります。
インフルエンザにウイルスに感染してしまった場合には、仕事に行かず他の人に感染を拡大させないことが、従業員本人のみならず、企業にとっても一番重要なことではないかと考えています。
今回の相談事例のような従業員の出退勤に関してはトラブルになりやすい場面であるため、早めに弁護士にご相談されることをおすすめします。
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【相談事例26】弁護士の仕事とは③~裁判業務について~
【質問内容】
弁護士さんのお仕事といったら裁判で活躍するというのが印象的ですが、裁判ではどのようなことをされているのですか。
テレビドラマであるように毎回毎回法廷で相手方と言い争っていると思うととっても大変ですね。
【弁護士からの回答】
テレビドラマなどでは、弁護士が法廷で依頼者側の主張を延々と述べ、その主張の優劣で裁判の結論が変わるかのような演出がなされていることが多くみられます。
確かに、刑事裁判においては、被告人の代理人として裁判官や裁判員に対し、無罪であることや、量刑を軽くするために、法廷で発言することがありますが、民事裁判の場合はそのような機会はほとんどなく、実際に行われている裁判の期日の内容は皆さんが抱いている裁判のイメージと大きく異なると思われます。
そこで、今回は、裁判業務についてご説明させていただきます
(刑事裁判や民事裁判の具体的な内容については、別の機会にご説明させていただきます。)
1 刑事裁判について
刑事裁判では、起訴された被告人の代理人(弁護人)として被告人が無罪の場合には無罪を主張し、罪を犯したことは間違いないとしても、被告に有利な証拠(情状)を提出することにより、量刑を減刑するよう活動を行います。
その活動のなかで、証人に対し質問(尋問といいます)したり、被告人に対し質問を行ったりする尋問手続きという手続きがあるのですが、その尋問手続きは、テレビドラマで見ているように、弁護士が法廷で証人に対し質問を行うことになります。
また、裁判の終盤には、検察官の方から被告人がこれだけ悪いことをしているので厳罰にすべきであるというようなことを主張する論告・求刑という手続きがあり、それに対し、弁護側として、犯人ではない、犯罪は成立しない、犯罪は成立するとしても、このような事情が存在するので、刑を軽くすべきであるというような主張を行う弁論という手続きがあります。
別の機会にご説明させていただきますが、裁判員裁判においては、先ほどの尋問手続きと、この弁論でどのような主張を行うかによって、裁判員が受ける印象も大きく異なってくるとも言われているので、弁護士の腕の見せ所であるともいえると思います。
2 民事裁判について
民事裁判における弁護士の役割は、刑事裁判とは大きく異なり、基本的には弁護士が法廷で発言するような期間はほとんどといっていいほどありません。
具体的には裁判までの期日までに、書面を作成して証拠を作成し事前に裁判所と相手方にて出し、裁判では、その書面と証拠を提出したことを確認したうえで、次回の期日までに提出すべき書面(相手方の反論や、こちら側の主張の補充などです。)などを確認して、1回の期日が終わります。
時間にすると平均して10分程度で終わるのが通常かもしれません。ご依頼いただいた方も裁判に一度出席したいとの意向で、期日に出廷される方もいらっしゃるのですが、1回の期日があまりにも短く終わってしまうので拍子抜けしてしまう方も少なくありません。
そのように、主張を行い続けていった上で、争点に関し、刑事事件と同様に証人や当事者に対し尋問手続を行います。
もっとも、民事裁判においては証人尋問における証言の重要性はあまり高くなく、証人尋問前の書面や証拠が非常に重要となります。
3 最後に
このように、刑事裁判や民事裁判において弁護士が行う活動は様々ですが、基本的に裁判所で活動をできるのは弁護士のみであるため、裁判を起こす、裁判を起こされたという事態になったらなるべく早期に弁護士にご相談ください。
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相談事例集の掲載にあたって
当事務所では、初回相談に関しては、1時間無料にて対応させていただいていることから、日々様々なご相談をいただいております。
これまで、離婚、相続等個々の分野に関して、コラムを作成させていただきましたが、日常で発生する法律問題については、離婚、相続に限らず、あらゆる法律問題が存在しています。
当事務所にご相談に来られる方もこうした様々な法律問題や、そもそも法律の問題ではないトラブルについてもご相談いただくことがございます。
そこで、この相談事例集では、ご相談にお越しいただいた方の相談内容や、社会的に問題になっている事項等を参考に、一般的な相談内容に対し、弁護士としての見解やアドバイス等をご紹介させていただくことにより、弁護士を身近なものに感じていただき、那珂川町のみならず、春日市、大野城市、太宰府市等にお住いの皆様からお気軽にご相談にお越しいただけたらと考えております。
【注意事項】
ご紹介する相談事例はあくまでも一般的な事例であるため、当事務所への個々の相談や、受任している個別の事件とは一切関係ありません。
また、回答に関しても一般的な相談に対するものであるため、実際の事件の際には異なる処理が適切である場合がございます。
したがって、この事例集をご覧になられた方において、相談事例と同様若しくは類似すると感じた場合でも必ず弁護士のご相談を受けることをおすすめいたします。
事業者に求められるマイナンバーの安全管理
平成27年10月からマイナンバー制度がスタートし、平成28年1月からは、社会保障、税、災害対策の行政手続きでマイナンバーの利用が始まりました。
事業者は、マイナンバー法で定められた事務等のうち、税と社会保険の手続きでマイナンバーを利用します。個人の重要な情報であるマイナンバーに関し、事業者はどのように安全管理を行うべきでしょうか。
1.事業者によるマイナンバーの安全管理の基本的な流れ
事業者がマイナンバーを取り扱う上での安全管理に関しては、特定個人情報保護委員会のガイドライン(事業者編)」で規定されています。
これにより、事業者はマイナンバーを安全に管理し、外部への漏えいや紛失を防ぐために、「どのような事務でマイナンバーを取り扱うか?」「どのようなマイナンバーを取り扱うか?」「誰がマイナンバーを取り扱うか?」についての措置を検討することになっています。
これらを考慮しつつ事業者は、マインバーや特定個人情報を安全に管理するための方針である基本方針と、安全に取り扱うためのルールである取扱規定を策定します。
そして以下の4つの安全管理措置を講じることになります。
・組織的安全管理措置
・人的安全管理措置
・物理的安全管理措置
・技術的安全管理措置
まとめると、事業者のマイナンバーの安全管理の基本的な流れは、①措置の検討 ②基本方針と取扱規定の策定 ③安全管理措置 を講じることとなります。
今回は安全管理措置を講じる前段階として、措置の検討と基本方針・取扱規定の策定についてお話ししますので、しっかり準備を整えていきましょう。
2.マイナンバーの安全管理~措置の検討
マイナンバーを安全に管理し、外部の漏えいや紛失を防ぐ上で、まずは「どのような事務でマイナンバーを取り扱うか?」について明確にしておかなければなりません。
頭書のとおり、事業者はマイナンバー法で定められた事務等のうち、税と社会保険の手続きでマイナンバーを利用します。
税関係の事務としては源泉徴収票や給与支払報告書の作成事務、社会保険関係の事務としては、健康保険・厚生年金保険の届出や給付を受ける事務、雇用保険の届出や給付を受ける事務です。
次に、「どのようなマイナンバーを誰が取り扱うか?」を明確にします。前段で明確にした事務について、取り扱うマイナンバーや特定個人情報の範囲を明確にしていきます。
具体的には、それぞれの事務において書類に記載されるマイナンバーと、それに関連付けて管理される「氏名」「生年月日」といった個人情報を洗い出すことです。
尚、特定個人情報とはマイナンバーを含む個人情報を指します。
マイナンバーにさまざまな情報を関連付けると、万が一情報が漏えいした場合などに被害が大きくなることも予想されますので、必要最小限の情報に限定した方がよいでしょう。
一般的には従業員と扶養家族のマイナンバーと氏名、生年月日となります。
そして措置の検討の最後は、マイナンバーや特定個人情報を「誰が取り扱うか?」です。
事業者は、事業者内でマイナンバーを取り扱う事務を行う担当者を明確にしておく必要があります。
事業者によっては個人名を特定することが困難な場合も想定されます。そのような場合は、例えば総務部人事担当者などとし、担当者が特定できれば構いません。
3.マイナンバーの安全管理~基本方針の策定
事業者はマイナンバーを安全に管理するための基本となる方針「基本方針」を策定します。
作成は任意ですが、会社組織としての方向性をきちんと示す手段として非常に重要だと思われます。尚、基本方針を策定する場合は、以下の項目を盛り込んでください。
・事業者の名称
・関係法令・ガイドラインなどの遵守
・安全管理措置に関する事項
・質問・苦情処理の窓口など
4.マイナンバーの安全管理~取扱規定の策定
マイナンバーや特定個人情報を安全に取り扱うためのルールとして取扱規定等を作成することは事業者の急務と言えます。事務の流れを整理し、具体的な取り扱いを定めます。
例えば、以下のような段階ごとに「誰が」「どのように」取り扱うかを検討し、取扱規定を定めます。
・取得する段階(社員からマイナンバーの報告を受けるなど)
・利用する段階(届書にマイナンバーを記載するなど)
・保存する段階
・提供する段階(届書を役所に提出するなど)
・廃棄・削除する段階
5.まとめ
従業員が100人以下の中小規模事業者については、新たに取扱規定として作成しなくとも、日頃使用している業務マニュアルや業務フロー図、チェックリストなどにマイナンバーや特定個人情報の取り扱いを加えるなどの形で構わないこととされています。
中小規模事業者では、事務で取り扱うマイナンバーや特定個人情報が少なく、取り扱う担当者なども限定的であると考えられるので、事業者の負担が軽くなるよう特例的な方法も認められています。
担当者が変更になった場合等も、責任ある立場の者が確実な引継ぎを確認していれば問題ありません。業務フロー図やチェックリストなどを活用して徹底管理するなどの対応をすすめていただきたいものです。
区分所有者の権利と義務
前回、区分所有建物について説明する中で、区分所有建物は「専有部分」と「共用部分」に分けられると解説しました。
当然ながら建物は複数の所有者が一緒に使用するものなので、それぞれの部分に応じたルールが定められています。
1.専有部分の利用・処分
一般的に、物の所有者の権利については、「法令の制限内において、自由にその所有者の使用、収益及び処分をする権利を有する(民法206条)」とされています。
ところが区分所有法では、区分所有者の権利として以下のような独自の規定を設けています。
(1) 建物の使用等について
法6条1項「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し、区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」
これに違反した場合、一定の要件のもとで、違反行為の停止などの請求(同57条)や専有部分の使用禁止請求(同58条)、区分所有権の競売請求(同59条)を受けることもあり得ます。区分所有建物でない建物の所有者が近隣住民に迷惑をかけても、特段の事情のない限り不法行為責任を負うにすぎないことと対比すると、区分所有権者の所有権は大幅に制限されているといえます。
法30条1項「建物又はその敷地若しくは付属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる」
もしマンション等に居住したことがあるならば、下記のような制限が賃貸借契約書に書いてあることを見たことがあるのではないでしょうか?
これが、正に法30条1項にある、建物の使用に関して区分所有法に規定が無く、「規約で定めることができる」事項の典型例です。
専有部分の所有者は、その専有部分(部屋の使用等)を一軒家と同様に自由に使用して良い訳ではありません。規約で定められる事項の範囲として専有部分の使用等に関する事項も一定の範囲で含まれるものと解釈されています。
また、専有部分の使用について規約に違反した場合には、区分所有法6条1項違反となります。
(2) 処分に関する主な制限
民法の所有権と同様に、区分所有権も自由に売却等の処分をすることかできます。
ただし、共用部分との分離処分は認められていないため、専用部分のみを処分した場合、共用部分も専用部分の処分に従うものとされています(法15条1項)。なお、共用分のみを処分した場合、その処分は無効となります(同条2項)。
2.共用部分の使用・処分
(1)共用部分
共用部分は原則として区分所有者の共有に属しますが(法11条1項)、その持分割合は、規約に特段の定めがない限り、原則として各所有者の有する専有部分の床面積の割合に準じています(法14条)。
専有部分の面積については、建物の全部事項証明書(登記簿)を確認すると良いでしょう。
(2) 共用部分の管理・変更
共用部分の共有関係については、民法上の規定が排除され(法12条)、区分所有法独自のルールによって規律されます。
それぞれの条文について、区分所有法と民法を比較していきます。
区分所有法 | 民法 | |
---|---|---|
① | 13条「各共有者は、共用部分をその用方に従って使用することができる。」 | 249条「各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。」 |
② | 17条「共用部分の変更は、区分所有者及び議決権の・・・集会の決議で決する。」 18条「共用部分の管理に関する事項は、・・・集会の決議で決する。」 |
256条「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。」 |
③ | 30条1項「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。」 | 206条「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。」 |
①民法は「持分に応じた使用」しか認めていないことに対し、区分所有法では「各共有者」が「共用部分」を使用することができるという点が大きく異なっています。
②民法では共有物を「いつでも」分割請求することが認められていますが、区分所有法では、共用部分に関わる部分については「集団決議で」決定することが求められています。
③これは1.の(1)建物の使用等についての説明で触れた条文ですが、専有部分に限らず、共有部分の用法に制限が加えられている例も多く見られます。
(3) 費用の負担
法19条「各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する」
例えば、廊下の窓ガラスが割れて修理が必要となった場合の費用負担を考えてみましょう。
廊下は、一般的に共有部分に属します。よって、規約に定めのない限りは、その建物の区分所有者全員がその修理費用を負担しなければなりません。もし特定の区分所有者がこれを支出した時には、他の区分所有者は自分の負担割合に応じて、支出者に立替金の返還をする必要があります。
3.専用使用権
(1)専用使用権とは
法30条1項「建物又はその敷地若しくは付属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる」
さて、この条文は今回何度目かの登場となりますが、「専用使用権」を理解する上では、「規約で定めることができる」という部分に着目します。
ここでいう「規約」では、前述した1専有部分や2共用部分の使用でも触れたように、区分所有法に規定のない項目について定めることができます。
建物の中には、共用部分に属しながら特定の区分所有者しか使用しない(若しくは他の所有者は使用できない)部分が存在します。そういった部分について、特定の区分所有者、又は特定の第三者に対し、排他的に使用する権利を与えることを「専用使用権」というのです。
具体例を挙げて見ていきましょう。
①ベランダ・バルコニー
多くの場合、ベランダやバルコニーは共用部分に属します。しかしながら一方で、世帯ごとに区切られていることが一般的であり、区分所有者が勝手に他の世帯のベランダに立ち入ることを認めるわけにもいきません。よって、多くの規約では、ベランダやバルコニーについては、これに隣接する専有部分の区分所有者に対し専用使用権を認めているのです。
②駐車場
区分所有建物内やその敷地の中に駐車場を設けている場合、特定の区分所有者に専用使用権を認めている例も多いようです。
なお専用使用権については、その条件設定や条件の変更の可否をめぐって紛争化するケースも少なくありません。
4.管理費用の負担
区分所有者は、それぞれが建物の管理費や修繕積立金を負担していることがほとんどですが、これらの費用の支払い義務・金額については、区分所有者らによる集会、又は規約によって定められています(法18条1項、30条1項)。
労働基準法とは? ~労働契約編~
企業に務める上で遵守されるべき「労働法」や「労働基準法」ですが、そもそも労働基準法とはどんなものなのか、またどのような場合に違反となるのか、今回は事例を踏まえながらご紹介します。
1.労働基準法とは?
そもそも労働法とは何か、労働基準法とは何かをお話した上で進めていきます。
労働法とは、労働者の権利を保護し生存を保障するための法律のことを指します。中でも、労働基準法、労働組合法、労働関係調整法の3つを、労働法の最も基礎となる法律として、労働3法としています。
労働基準法は憲法27条「労働権」の規定に基づいて1947年に制定されました。
例外もありますが労働者を守るための「最低限」のことを定めた法律にあたります。
ここで何か引っかかったでしょうか。
それは「最低限」という部分ではないでしょうか。
この法律は守ることが当たり前であり、法律の基準を下回ると違法となってしまいます。
労働基準法を下回る労働条件は無効となりますが、その場合無効とされた部分に関して労働基準法の基準が自動的に適用されることとして労働者の保護を図ったのです。
このことを踏まえて、具体的に労働基準法に何が規定されているのか見ていきましょう。
労働基準法では主に以下のことが規定されています。
働く上で事業主にとっても労働者にとっても重要なことばかりです。
今回は労働契約について見ていきましょう。
2.労働契約のルールと記載すべき事項
<契約期間>
労働契約は双方の合意に基づき締結されるものですが、その期間というものに制限があります。無期雇用の場合は問題ないのですが、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほか、3年を超えて締結してはなりません。
ただし、例外というものがあります。専門的な知識・技術・経験が必要とされている業務に就く場合、若しくは満60歳以上の方についての契約は5年まで可能となっています。
また、雇用をする際には、労働条件の明示が義務付けられており、これを明示する書類を労働条件通知書と呼びます。
そして、この通知書の交付により明示すべき事項は決まっています。
このような義務付けられた明示事項を絶対的明示事項と言います。
・有期労働契約者の場合は更新する場合の基準
・就業場所、従事すべき業務
・始業、終業時刻、所定労働時間外労働の有無、休憩、休日、休暇
・賃金の決定、計算方法、支払方法、賃金の締切日及び支払日、(※昇給)
・退職に関する事項です。
※なお、昇給に関しては書面の交付は必要ありません。
これに対して、相対的明示事項というものがあります。
これは定めがある場合には明示しなければいけないものですが、絶対的明示事項とは異なり口頭による説明のみでも問題ありません。
・賞与、最低賃金に関する事項
・食費、作業用品に関する事項
・安全衛生
・職業訓練
・災害補償、業務外の傷病扶助
・表彰及び制裁
・休職
では、労働条件を明示していなかったことを理由として、会社側に不利な判断がなされた事例を見てみましょう。過去に以下のような労働審判がありました。
3.過去の判例から見るポイント
従業員が、自身の勤める会社とは別の職場への出向命令を受けました。
この命令が従業員の同意なしに行われたことについて、違法であるとして争われた事案です。
この労働審判において、争点は、出向命令の有効性でした。
・出向命令の根拠
裁判所は、本件が、「使用者が労働者に出向を命ずることができる場合」に当たるか否かを検討するに、就業規則において、「従業員に対し業務上の社外勤務をさせることがある」と定めていること、従業員に適用される労働協約において、社外勤務の定義、出向期間、出向中の社員の地位、賃金、退職金、各種の出向手当など出向者の処遇に関して出向者の利益に配慮した詳細な規定が設けられていることからすれば、個別的同意なしに、従業員としての地位を維持しながら、その指揮監督の下に労務を提供することを命ずる本件出向命令を発令することができるというべきであると判断しました。
(最高裁平成11年(受)第805号平成15年4月18日第二小法廷判決・最高裁判所裁判集民事209号495頁参照)
・注意すべきポイント
この裁判の重要なポイントは
①就業規則に出向について定めているか
②労働協約に出向に関する具体的な待遇について定めていたか
③出向元と労働契約関係が存続しているか
➃出向の必要性と人選に関する正当性の有無
など上記の点から判断された事例です。
結果、この出向命令に違法性は無いとして、請求は棄却されました。
労働契約にて就業場所の記載欄に、今後の転籍や出向についての記載があれば裁判自体、十分に防げたかもしれません。
すべてのことを網羅的に記載することは難しいかもしれませんが、こういった穴を1つひとつ埋めていくことが必要になってくるでしょう。
4.まとめ
近年、労働に関するニュースは報道される度に注目されています。
特に問題として多く取り上げられてきたのが、労働時間に関する問題及びそれに付随してくる賃金(残業代)の問題です。
様々な労働問題が発生した際は、労使間にて対等な立場で決定していくことが理想ですが、性質上どうしても使用者側が優位になっていることが現状です。
なるべく労働問題が発生しないように、注意すべきポイントで述べたように雇用契約書や諸規則を度々見直し、改善していくことが大切なのです。
いまさら聞けない?社会保険の基礎知識!
入社した際に加入する「社会保険」。
社会保険には、様々な種類があるのはご存知でしょうか。社会保険制度について正しい知識を持つことはとても重要なことです。
知っているようで知らない、社会保険について種類や手続きなどをご紹介します。
1.そもそも社会保険とは何だろう
公的な社会保険制度とは、会社などで働く人たちが収入に応じて保険料を出し合い、万が一病気やケガをして医療機関で診療、入院、手術ということになった場合に必要な保険給付を受けることができたり、加齢や障害といた事由が生じた場合に年金給付を受けることができるよう制度化された、国が運営する保険制度のことです。
日々の暮らしの中で、突然の病気やケガ、急な死亡や障害を負ってしまったり、経済的に困ってしまうことがあるかもしれません。
そうした万が一のリスクに備えて、民間の生命保険会社や損害保険会社の医療保険や個人年金等に加入している人たちが数多くいます。ただし、民間の保険は任意加入ですから、すべての人たちが医療保険等によってリスクカバーできているとは限りません。
2.社会保険の趣旨
(1) 社会保険である健康保険・厚生年金は、広く働く人のための保険です。サラリーマンなら皆加入して、生活を保障してもらうことになっています。
(2) 社会保険は、仕事に関連しない私傷病における療養費の給付や、生活保障・老齢による生活保障をするための制度です。なので、業務上の傷病については、適用できないことになっています。
(3) 労働者でない事業主や役員も原則加入となります。つまり、給与所得者は全員加入することになります。
3.社会保険の種類
・会社勤めの人・・・職域保険
・自営業や無職の人・・・地域保険
・公務員など・・・共済保険
上記のすべてを含む総称を社会保険と示すことが多くあるので、内容をしっかり読み取り、どの保険について書かれているのか把握するようにしましょう。
※新聞・雑誌が使う社会保険の定義
・社会保険・労働保険
・国民健康保険・国民年金・後期高齢者保険
・各種共済保険
4.社会保険の給付が適用になる範囲
5.会社(事務)が行う手続き
(1)会社が行う手続きは?
上記、3. 社会保険の種類の中の職域保険は会社そのものが適用対象となります。
①健康保険 ②介護保険(保険料徴収のみ)
③厚生年金保険 ④労働者災害補償保険(労災保険)
⑤雇用保険
(2)社会保険は支店、営業所ごとに加入する
原則として「事業」を単位として成立します。会社そのもの、企業そのものではなく、一つの会社にいくつかの支店や工場がある場合には、原則として支店や工場ごとに保険関係が成立することになります。
※ただし、事業所の規模が小さいあるいは事務処理能力がない、などその独立性が乏しい場合は、直近上位の事業所にまとめたり、一括することもできます。
(3)事務手続き
会社そのものが対象となるため、従業員の入社・退社にともなう手続きや保険給付の請求等の手続き事務は、従業員本人ではなく会社が行わなければなりません。
例えば、従業員に子供が生まれ、会社にその旨が報告されても会社が手続きを怠れば、その子供は被扶養者(被保険者本にから扶養されている人)として健康保険被保険者証が交付されませんし、出産手当金や出産育児一時金という保険給付も受けることができません。
それだけに、社会保険事務の担当者は従業員の法定福利を担う重要な役割を果たす義務があるといえます。
(4)手続きまで手が回らない時は?
やはり社会保険事務を行う部署は総務や人事が主ですが、手続きの手順や方法などすぐには分からない時は、社会保険労務士に顧問についてもらい、社会保険の加入の手続きやその他の労務関係を代行して手続きしてもらえますので、社会保険労務士に相談するのも一つの手かもしれません。
自社で対応する人件費コストと顧問社労士を依頼するコストを比較して、自社に最適な形を考えましょう。
【交通事故】万が一事故に遭った時、あなたがすぐにすべきこと!
交通事故の被害者になった時のことを、考えたことはありますか?
「自分が交通事故に遭うわけがない!」そんな風に思っていませんか?
しかし今日、交通事故は、平成30年だけで見ても年間40万件、1日当たり1,000件以上が発生しており、一生に一度は交通事故に遭っても全然おかしくない状況です。いつ、誰が交通事故の被害者、または加害者になっても不思議ではありません。
交通事故の被害にあってしまったら、突然のことに驚き、きっと戸惑ってしまうでしょう。
不幸にも事故に遭ってしまった時に備えて『あなたが取るべき行動』を勉強しておきましょう!
1.交通事故に遭ってしまったら…あなたがすぐにすべきこと!
交通事故に遭うと動揺してしまい正しい行動を取れないことが多くあります。しかし、初期対応を誤ると後々問題が複雑化、長期化することがあります。
万が一、あなたが交通事故の被害者になったとき、被害者としてすべきことを順に説明していきます。
①状況の確認
事故の状況(死傷者の有無、損壊した車両、部品)の状況を確認しましょう。また、車両事故の場合、被害の拡大を防ぐため車両を路肩に寄せるなどの対応も必要です。
②負傷者の救護
負傷者がいる場合、すぐに救急車を呼びましょう。救急車の到着までに時間を要するときは、可能な範囲で応急措置をするなど迅速な対応が求められます。一人で通報や応急処置を行うことが困難な場合、目撃者や通行人に協力を依頼することも一つの手段です。
③加害者の確認、警察への連絡
警察への届出及び相手方の連絡先等の確認は、後々、交通事故にかかる諸問題を解決するために必ず必要となります。
今後、交渉すべき相手方を特定するためにも、最低でも『①相手方の氏名 ②住所 ③電話番号 ④相手方の勤務先 ⑤相手方の自賠責保険・任意保険の契約会社及び契約番号』は、確認しておくべき情報となります。
各情報については、次の方法で確認を行うことが望ましいでしょう。
①及び②については、免許証等の公的な身分証明書で、相手方の情報を確認しましょう。
③については虚偽の番号でないことを確かめるためにも、その場で一度電話をかけることが望ましいです。
④については社員証、名刺等で確認を行いましょう。
⑤については『自動車損害賠償責任保険証明書』という書類で、確認をすることができます。
一般的に、車のダッシュボードなどに自賠責保険の証券や任意保険の証券を入れている人が多いと思います。単に口頭で確認するだけでなく、これらの書類を確認し、携帯電話で写真を撮影しておくことをお勧めします。
また、よくあるケースとして、相手方から「お金はきちんと払うので、警察への届出をしないで欲しい。」といった話を持ち掛けられることがあります。しかし、相手方の話を信用して警察への通報を行わなかった場合、保険の請求に必要な「交通事故証明書」が入手できません。
交通事故証明書が取得出来なければ、本来であれば保険会社から支払われる保険金を貰えなくなることもあります。そのような結果を避けるためにも、加害者が警察への連絡を怠る場合は、自分で連絡をしましょう。
④病院で診断を受けましょう
交通事故により、外傷があれば当然に病院へ行くと思います。しかし、外傷が無くとも首・肩等に痛みを感じた場合は、必ず病院へ行きましょう。また、病院へ行った際には、保険会社への保険金請求等のために、お医者さんから診断書を書いてもらいましょう。
交通事故に遭った直後は外傷も無く、痛みも感じていなかったのに、数日後に痛みが出ることもあります。そのような場合、可能な限り事故から10日以内に病院にかかりましょう。
2週間以上経過して病院に行った場合、『本当に交通事故が原因の怪我(痛み)なのか?』といった疑いが生じ、保険会社から保険金の支払いを拒まれる可能性があります。
そのような事態を避けるためにも、交通事故から10日以内に病院へ行くことをお勧めします。(もちろん、事故当日や翌日に通院されることが最も望ましいです。)
また、病院を利用したときには診断書を取得し、交通事故を処理した警察に届けて、物損事故から人身事故への切り替えを行う必要があります。
⑤任意保険会社への連絡
交通事故の被害の大きさに関わらず、自分が加入する任意保険会社に連絡し、事故のことを報告しましょう。
人身事故については、事故発生日の翌日から60日以内に報告しないと、保険金が支払われないケースもあります。ご自身の任意保険について、保険を利用されるか否かは、保険会社担当者と協議されてみてください。
保険を利用することで、保険金は支払われますが、保険の等級が変動して、その後の毎月の保険料が高くなり、結果として保険を使わない方が得だったとなる可能性もあります。この点は、保険会社担当者に試算をお願いすれば検討してくれますので、一度お話しされるとよいでしょう。
2.交通事故にあった時、してはいけないことってあるのかな?
①即決示談
小さな交通事故などであれば事故現場で即決示談をされる方がいらっしゃいますが、示談は原則としてやり直しが出来ません。出会い頭の衝突や接触事故のように、事故原因に微妙な要素がある場合は、お互いの過失の程度や、正確な損害額も分からないはずです。
また、前述した通り、交通事故から数日後に身体に症状が出ることもあります。そのような場合でも、一度示談に応じていると追加での請求が難しくなるため、全ての状況を把握したうえで示談に応じることをお勧めします。
②念書
念書とは、ある事柄について、どのような条件(内容)で約束をしたのかを文章化したものです。
例えば、過失割合が5対5の交通事故であったとしても、当事者の一方が『今回の事故は、全て私の責任です』という趣旨の念書を作成し相手方に渡していると、後々の示談交渉、訴訟のなかで、重要な証拠の一つとなり、大きな損失に繋がることもあります。
もし、交通事故の現場で相手方から念書の作成を要求されても応じないようにしましょう。
3.まとめ
いかがだったでしょうか?
勿論、交通事故に遭わないことが1番ですが、少しでも知識を身につけておくことが、自分の身を守ることにつながると思います。これからも、当ブログで『交通事故に関するブログ』を公開していく予定です!宜しくお願い致します。
*本記事に搭載されている内容はあくまで一般的な流れであり、発生事故によって異なることもございます。ご了承ください。