相続解決事例:遺留分侵害額請求、預金の引き出し(不当利得返還請求事件)
ご相談事例
遺言が長男にすべて財産を相続させるという内容でした。自分が一切もらえないことに納得できません。
- 相談者…長女(依頼者)
- 被相続人…母
- 相続人…長男、長女(依頼者)の2名
父の死後、父が公正証書遺言を作成していること及び、遺言の内容として、長男にすべて財産を相続させるとなっていることが判明しました。
また、父は従前認知症になっており、長男が預貯金を管理していたのですが、認知症で病院で寝たきりの状態になっている時期に父名義の預貯金から多額の預金が引き出されていることが判明しました。
父の面倒は長男が見ていたのですが、自分が一切もらえないことは納得できません。
弁護士の対応
まず、ご相談者様には、遺留分という相続人に認められている最低限の相続財産があるところ、上記遺言は全てを長男に相続させるという内容になっており、ご相談者様の遺留分が認められない(侵害されている)状態になっていたので、代理人として直ちに、長男に対し、遺留分侵害額請求の内容証明郵便を送付しました。
また、預貯金の引き出しについては、銀行から取引履歴を取得し、使途が不明な預金を精査し、長男に対し、不当利得返還請求を行いました。
長男にも代理人が就任し、代理人間で協議を行うことになりました。
不動産の評価額や、出金した預金の使途などが争点となりました。
不動産の評価額について
双方が不動産の査定書を提出して金額を争いましたが、こちらの査定額の方が適切であると説得的に出張したところ、相手の弁護士もこちらの査定金額で合意し、結果として遺留分として請求できる金額を増額することができました。
預金の引き出しについて
預金の引出した店舗の場所や医療記録などを精査し、長男による引き出しであると追及すると、使い込みであることを認めたため、交渉により早期に返還が認められました。
遺留分侵害額請求については請求できる期限があることや、不動産の評価額や過去の贈与などにより請求できる金額が大きく異なってくるため、ノウハウを有した専門家に依頼することが必要不可欠です。
預金の引き出しについては、様々な論点があり、こちらも通常の法律事務所ではなく、相続を専門に取り扱う弁護士に依頼することが必要不可欠です。
遺留分や預金の引き出しでお困りの方は、できるだけ早く当事務所へご相談ください。
ご相談事例・解決事例の掲載について
事例回答はあくまでご参考となります。 実際にご自身のご相談で同じ結論になるかどうかは、個別の判断が必要となります。
当事務所の初回無料相談をご利用いただき、個別のご相談および弁護士からのアドバイスをお受けください。
※弁護士又は弁護士法人の場合、所属弁護士会を経て国税局長に通知することで、その国税局の管轄区域内において税理士業務を行っており、当事務所所属弁護士も通知届出を行っております。
相続セミナー動画でわかりやすく解説!
当事務所・弁護士法人菰田総合法律事務所は、博多マルイ5Fに相続のご相談に特化した相続LOUNGEを運営しています。
相続LOUNGEについては、公式サイトをご覧ください。⇒公式 相続LOUNGEサイト
相続LOUNGEでは、Youtubeチャンネルを開設し、弁護士による相続セミナー動画を配信しています。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
はみ出た木の枝は切ってもいい??
先月の話ですが、息子も幼稚園で、七夕会があったらしく、短冊がついた笹の葉を持って帰ってきました。
短冊には幼稚園の先生が願い事を書いてくれたらしく、「やきゅうがじょうずになりますように」と書いてありました。
去年は、「おいしゃさんになれますように」と書いてあったのですが・・・・来年はなんて書いてあるか楽しみです。
子どもが持って帰ってくる笹の葉はとても小ぶりでかわいらしいのですが、これが、実際に生えている樹木となると、とてもかわいいでは済まないもんだとなってきます。
当事務所にも何度か相談に来られる方もいらっしゃるのですが、隣の家から木の枝等がはみ出てきているのを勝手に切ってもよいのかという問題があります。
この相談の回答ですが、以前までですと、「はみ出ていても他人の所有物なので勝手に切ってはいけません。①まず、撤去してくださいと交渉し、ダメであれば②訴訟を提起して、判決をもらってから③強制執行の申立てをすることで初めて切ることがになります。」というものであり、最終的な解決までに費用や労力がかかってしまうため、諦めるという方も少なくありませんでした。
このように、隣地から樹木等がはみ出ており、迷惑をしているという案件は全国でも多数あり、隣地だけでなく、公道にはみ出ている場合には道路の安全も害されることになってしまい、社会的な問題にもなっていました。
しかし、令和3年4月に民法改正法案において(令和5年4月1日から施行となりました。)、民法233条に新たな条項が追加されました。
それは、土地の所有者は、竹木の所有者に対し枝を切除するよう請求できるということを原則(233条1項)としつつ、一定の場合には、土地の所有者が、竹木の所有者の許可なく、はみ出した枝を切除することができるようになりました(233条3項)。 具体的には、次のいずれかの場合には、土地の所有者が枝を切除することができるようになりました。
②⽵⽊の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき
③急迫の事情があるとき
つい先日、道路(市道)にはみ出した枝について、市が樹木の所有者に対し、何度も連絡したが応じてもらえなかったため、市において、道路にはみ出した樹木を切除したというニュースがありましたが市が行った措置の根拠となる法令がこの改正された民法233条3項となります。
このように、民法の改正により、一定の場合には土地の所有者が裁判を起こすことなく、はみ出した枝を切ることができるようになりました(切るために要した費用については、本来であれば樹木の所有者が負担すべき費用であるため、樹木の所有者に請求できると考えられています。)。
もっとも、はみ出していればすぐに切っていいというものではなく、上記①~③のいずれかの場合に該当する必要があります。
後々にトラブルにならないようにするために、弁護士に書面の作成の依頼や、代理人としての対応の依頼など検討された方がいいと思いますので、隣地の樹木などでお困りの方はぜひご相談ください。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
【青少年健全育成条例】夏休みに多発!子どもだけの外出について
子どもたちは夏休みに入りましたね。
夏休みといえば夏祭りがありますね。
私は、福岡に住んで約7年になるのですが、昨年始めて家族で放生会(ほうじょうや)に行きました。
息子は初めての縁日だったのでとてもはしゃいでいました。
途中で買ったチョコバナナを落とし泣いており、他のお菓子で釣ろうとしてもずっと泣いていたので、もう一度チョコバナナを買ってあげると、少し恥ずかしかったのかはにかみながら今度は落とさず食べていました。
今年も行くことを予定していますが、今度は初めから落とさずに食べて欲しいなと思います。
お祭りとなると、夜に活気がで出すイメージがありますが、夜に子どもだけで出歩いていたり、親がついていても夜に子どもを連れまわしたりすることは法的に問題はないのでしょうか。
また、夜といっても何時までなら大丈夫なのでしょうか。
青少年の夜間の外出等について規定してものとして、各都道府県ごとに定められている青少年健全育成条例というものがあります。
この条例では、各都道府県ごとに定めは違いますが、例えば福岡県青少年健全育成条例では、
と規定がされています。
なお、この深夜の定義ですが、各都道府県ごとに異なっているので、気になる方はご自身のお住いになられている都道府県の条例を確認されてみてください。
つまり、保護者は深夜に外出させないよう努める義務(努力義務)にとどまっています。
また、青少年健全育成条例では、深夜に出歩いている子どもを規制対象にしていないため、子どもたちだけで出歩いたとしても条例違反にはなりません。
では、子どもだけで出歩いていいかというとそうではなく、警察官が危険だと判断した場合には、出歩いている子どもを補導することになります。
明確な定めはないですが、警察官の補導も、青少年健全育成条例を基準として、補導を行っているようであるため、夜に子どもたちだけで出歩くのは避けるべきでしょう。
なお、午後11時より前であっても警察官が危険と判断した場合には補導の対象になることがあるため注意が必要です。
また、保護者が同伴している場合であっても、あまりにも遅い時間に子どもと一緒にいる場合には、補導ではなく職務質問などがなされる可能性もあります。
そもそも、あまり遅い時間に出歩くこと自体、お子さんに育成にとってよいことではないため、できるだけ控えた方がいいですね。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
熱中症における労務管理
7月に入り、暑さがますます強くなってきましたね。
息子が幼稚園に通っているのですが、いつも幼稚園が終わると、近くに公園でお友達と遊びたがります。
天気予報で最高気温のニュースを見るたび、妻は、「この気温の中、外で遊ぶのかしら・・・」と戦々恐々としています。
ちなみにこの記事を書いている今日は、お友達がみんな習い事等で公園に行かなかったため、無事、自宅へ直帰できたそうです。
このような暑い日に気をつけなければならないのが、熱中症です。
たかが熱中症と侮っていると、重症になってしまい、特に高齢の方の場合には熱中症が原因でお亡くなりになってしまうこともあるので非常に注意が必要です(ご高齢の方の場合、暑いと感じなくなり、エアコンを使わないで日中も過ごす方がおり、室内で熱中症になられる方も少なくないようです。)。
熱中症については仕事をしているときにも問題となります。
法律上、労働安全衛生法や労働安全衛生規則、労働基準法施行規則等において、多量の高熱物体を取り扱う業務の場合や、暑い場所や多湿の場所での屋内作業の際には、法定労働時間外に2時間を越えての就業を禁じていたり、18歳未満の年少者の就業を禁じており、日常的に暑い環境に置かれている業務について、熱中症などの疾病にならないよう対策がされています。
上記のような業務以外にも、会社の営業や、現場作業の方、外での警備、引越業務等熱中症になる可能性が高い業務は色々あると思います。
こういった業務を行う従業員が業務中に熱中症になってしまった場合、その熱中症に「業務起因性」が認められた場合、労災事故となります。
それだけではなく、企業において、従業員の熱中症対策を一切行っていなかった場合には、いざ、従業員が業務中に熱中症になった場合、労災になるだけでなく、安全配慮義務違反として損害賠償の対象になるリスクがあるので注意が必要です。
そのような事態を避けるためにも、気象情報の確認、熱中症警戒アラートの確認、単独作業を避け、こまめな水分、塩分の補給を促すなどの管理が必要になってくるでしょう。
企業が対策すべき熱中症の予防については、厚生労働省から通達やマニュアルがあるため、気になる方はご確認ください。
年々気温が高くなり、熱中症のリスクも増えてきていると思いますので、働かれる方も、会社もみんなで注意しておいたほうがいいと思います。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
進むWeb手続き
IT社会の発達に伴い、裁判所における手続きも着々とWebの手続きが進められています。
先日、離婚や遺産分割といった家事調停だけでなく、破産など裁判以外の手続きをオンラインで可能にする法律の改正が国会で可決されたとのニュースを目にしました。
すでに、昨年5月に成立した民事訴訟法の改正により、民事訴訟については訴訟の提起から、判決に至るまでWebで行うことができるようになっており、順次Webの手続きが福岡の裁判所でも進められています。
裁判所からはWeb対応可能ですかと聞かれることが多く、当事務所は対応可能な体制であるため、対応可能と回答しているのですが、相手方の代理人などが、高齢の方の場合には、対応不可などと言われ(双方の代理人が対応可能でなければ使うことができないのです。)、現時点で、Webでの書面提出の手続きは一度も行ったことがありません。
周りの弁護士からは、今までの郵送やFAXで書面を提出していたのがなんだったのかというくらい便利との評判ですので、早く使ってみたいなと思っています。
今回の改正は、こうした民事裁判だけでなく、破産などの手続きもWebですることができるようになると決まりました。
破産の場合、従前は申立書や添付資料(収入資料、財産資料(通帳の写し)など大量の枚数を印刷し、裁判所へ郵送していたのですが、それが、今後、印刷せず、Webでできることを考えると、申立てに至る労力だけでなく、資源も節約できるため、具体的な運用が始まるのを今か今かと待っています(ニュースでは令和10年までに順次始まっていくとのことですので、気長に待とうと思います)。
このように、IT化が進むことは非常に利便性が向上し、喜ばしいことなのですが、ITを活用するのはあくまでも人間であるため、人為的なミスが発生する危険性があります。
また、先日、他人の情報がマイナンバーに紐づけされていたというニュースもあったように、国が運用するシステムだから安全だということは決してないため、セキュリティ面の安全性にも注視しておく必要があると考えています。
特に裁判所に提出する文書や資料は、クライアントだけでなく多数の人の極めて重要な個人情報が大量に記載されているため、より慎重な対応が必要です。
当事務所でもこうしたIT技術を利用する際に、ヒューマンエラーが生じないよう、ネットリテラシーを高め、適切にIT技術を利用できるよう更にこころがけたいと考えています。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
社内資料で著作権侵害に?
会社にお勤めされている方などは、社内でのプレゼン資料や、会報など、外部に公開することを予定されていない、資料を作成される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そういった、資料を作成する際に、ネットなどでちょうどいい写真などを見つけて、資料に貼り付けたり、社内の資料であるからとして、キャラクター等を使った資料を作られてはいないでしょうか。
今回は、そうした社内資料を作成する際の著作権についての注意点をご説明させていただきます。
まず、創作者(著作権者)の権利(著作権)を保護するために規程されている法律に著作権法があります。
そして、著作権者には、著作物の複製や利用に関する独占的な権利が認められており、第三者が著作物を利用する場合には、原則として、著作権者の許諾が必要となり、許諾を得るために利用料(ライセンス料)を支払う必要があることが多いです。
もっとも、例外的に、他人に著作権があるものであっても、「私的利用」すなわち、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用する」場合には、著作権者の許可を得ることなく著作物を利用(複製)することができます。
では、社内でのみ利用す資料に著作物を利用する場合が、この「私的利用」に該当するのでしょうか。
この点については、裁判例があり、いかに内部でのみ利用する資料であっても、企業が著作物を利用する場合には、「私的利用」には該当せず、著作権者の許諾を得る必要があると判断しています。
このように、企業の場合には内部資料であっても「私的利用」とは認定されません。
内部資料であっても著作権者に無許可で著作物を利用してしまった場合には利用料相当額の損害賠償を支払う必要があります。
もっとも、他人の著作物を利用する場合、著作権者の許可を得る以外には、著作権法第32条1項に規定される「引用」の要件を満たす必要があり、会社の内部資料等で使用する場合にはこの引用目的で利用する場合がほとんどであると思います。
その場合には、引用の必要性があり、出典を明示するなど、厳密な要件が必要になりますので、資料を作成する際には、ぜひ弁護士にご相談いただいた上で、適法に作成されることをおススメします。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
保釈中の被告人にGPSの装着
皆さんも、刑事事件のニュースで、保釈という言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。
保釈とは、刑事事件において起訴された被告人が保釈金を支払うことで、勾留されている状態から釈放される制度で、刑事事件訴訟法に規定されています。
保釈により、逮捕、勾留されていた人も、釈放され日常生活に戻ることができますが、後日行われる刑事裁判(公判といいます。)に出廷しなかったり、逃走してしまった場合には、再び勾留されることになり、また、支払った保釈金も没収されてしまうことになります(他方、きちんと公判に出廷している場合には、保釈金は後日返金されることになります。)。
このように、保釈金を担保として逃亡することを防いでいた保釈制度ですが、皆さんもご記憶に新しいと思いますが、日産の元会長であるカルロス・ゴーンが保釈中に海外に逃亡してしまう事件が起きたように、保釈金のみでは、釈放された被告人の逃亡を防ぐことができない状態になりました。
そのような中、先日、国会で、改正刑事訴訟法の法案が衆参両議院で可決されました。
その改正の1つとして、裁判所が保釈許可時に海外逃亡を防ぐ必要があると判断すれば、被告にGPS端末の装着を命令できるようになりました。
そのうえで、空港や港湾施設の周辺といった「所在禁止区域」への立ち入りや、端末の損壊・取り外しを行った場合、端末が違反を検知して裁判所に通知し、身柄が確保されることになります。
このように被告人がGPSの装着をすることにより、逃亡の恐れはなくなることにはなりますが、他方で、被告人の位置情報が把握されることによりプライバシーなどの人権侵害が起こる可能性があります。
改正刑事訴訟法では、被告人のプライバシーに配慮するために、裁判所や検察官は、違反行為が行われない限りGPSによる位置情報を確認することはできないとされているようです。
アメリカの一部の州では、性犯罪等一定の犯罪を起こした人に対し、居住する場所を制限し、かつ、GPSの装着を義務付けるなど、再犯を防ぐために課しているところもあります。
犯罪をなくすという必要性と、犯罪を犯してしまった人の人権というどちらも重要な利益の衝突場面で、どういった方策が正解なのか非常に難しい問題です(よく司法試験の憲法の問題でも出題されることが多い分野です。)。 時代の変化に伴い、新しい制度や法律が制定されますが、人権を過度に侵害したものではないかという点は、法律家として常に意識していきたいと思います。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
人の死に関与する罪について
先日、有名な歌舞伎役者の方とご両親が救急車で緊急搬送され、ご両親がお亡くなりになってしまうという大変ショッキングなニュースが報道されました。
正確な事実の多くは確定してはおりませんが、一部報道では、ご家族で心中するため薬物を服用したというようなことも報じられています。
まず、前提として、法律上自分自身で亡くなるという自殺をすることを禁ずる法律はありません。
このようなことから、そもそも自分自身でお亡くなりになるという行為は違法な行為なのかという議論が刑法学上存在するのですが、その点については、機会があればご説明させていただきます。
そのうえで、自殺関与に関する犯罪があります。
それは、自殺の決意を抱かせ、人を自殺させた場合に成立する自殺教唆罪と、自殺を決心している人に、自殺を容易にする援助を行うと自殺幇助罪があります。
先ほど話した自殺は違法か否かという点で、違法ではないという考え方を取った場合には、自殺をするか否かを決めれることができるのは本人だけであり、その意思決定などに関与することは違法であるため、処罰されるという理屈付けになります。
また、自殺関与に関する罪とは別に、同意殺人と嘱託殺人という犯罪もあります。
同意殺人罪とは、被害者が真摯な同意をしている場合に殺人を犯した場合に成立し、嘱託殺人は、被害者から積極的に殺人の依頼を受けそれに応じて殺人を犯した場合に成立する犯罪です。
自殺関与に関する罪との違いは、行為者が直接手を下したか否かの違いです(例えば、自殺を決意している人に毒薬を渡す行為は、自殺幇助罪ですが、本人の依頼を受けて毒薬を飲ませる行為は同意殺人や嘱託殺人となります。)。
お亡くなりになってしまうという選択肢以外の選択肢を考えられるように、誰かに相談したりすることで抱え込まないことが大事ではないかと思います。
当事務所にご相談に来られる方も、抱えている問題が原因で非常に悩まれており、そういった方の法律問題を解決することで少しでも気持ちを楽にすることが弁護士としての役目の1つではないかと考えています。
厚生労働省HP:電話相談窓口
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
生成AIって本当に大丈夫????
皆さんは、ChatGPTはご存じでしょうか。
最近はニュースでも取り上げられることが多く、ご存じの方も多いと思いますが、人工知能(AI)が人間からの質問の回答を生成するコンピュータプログラムのことをいいます。
ChatGPTは文章を生成するAIですが、それ以外にも画像等を生成するAIもあり、こういった様々なコンテンツを生成する人工知能のことを生成AIといいます。
私も暇なときに、遊びがてら使っているのですが、例えば「○○(息子の名前)が野球選手として活躍する小説を書いて」などと文章を入れると、短いものですが息子が野球選手として成長する過程が書かれた文章が出てきて、とても感心しました。
先日、ChatGPTを作成した会社のCEOが岸田総理大臣と面会を行ったというニュースを目にしました。
他方で、イタリアではChatGPTの利用を一時停止するなどEU各国ではChatGPTの使用を制限する動きが進んでいるというニュースを目にしました。
この生成AIという新しい技術について、各国どういったスタンスで対応するのか対応が分かれているようです。
このように世界中で物議を醸している生成AIですが、使用することでどのようなトラブルや弊害が生じるのか検討してみました。
1.誤った情報の拡散
生成AIが生成する情報が正しいものであるとは限りません。
質問の仕方や条件の設定等により回答も異なったものが出される可能性があるため、誤った情報を鵜呑みにしてしまうことでトラブルが生じる可能性が考えられます。
おそらく今後、私のところにも、「ChatGPTではこのように回答が出たのですが!?」と質問してくる相談者も来る可能性があるのではないかと思います。
2.著作権侵害
すでに問題になっているニュースを見たのですが、イラストレーターが作成したイラストなどを画像生成AIが作者(著作権者)の許可なく無断で改変したイラストを作成するという事案があるようです。
このように、生成AIがインターネット上で学習する際に、膨大なデータから学習をするのですが、その際に、誰かに著作権があるものを著作権者に無断で取り込んでいるため、生成AIを使うことにより誰でも簡単に他の人の著作物をもとに改変するということが可能となってしまう恐れがあります。
3.違法行為の助長
ChatGPTでは、通常、違法な行為に関する質問(例えば「爆弾の作り方を教えてください)というような質問には答えられないような仕組みになっています。
しかし、これもニュースでやっていたのですが、特殊な質問の仕方をするなどをすることで、違法な行為でも回答することができるようになるとのことでした(このような行為を「脱獄」というようです。)。
このように生成AIを利用して犯罪行為を行うなど違法行為を行うために利用されてしまうという恐れもあると思います。
このように、生成AIについては、非常に便利で革新的な記述であり、上手に使うことができれば、個人、企業や社会全体を豊かにすることができると思いますが、技術の進歩に法整備やルール作りや使用する人のリテラシーなどが追いついていないため、使用する際には、不要なリスクを負わないよう慎重に使用していく必要があると感じました。
最後に、ChatGPTに「世界中であなたを使い続けることで起こりうる最悪の事態を教えてください。」と質問したところ
「人工知能が暴走し、制御不能になって大量の破壊行為を引き起こす可能性があります。
また、あなたの技術が不正使用され、個人情報や機密情報が洩れるため国家的な安全保障にも影響を与える可能性があります。
さらに、あなたの技術が武器や兵器として使用され、戦争などの問題につながる可能性もあります。」との回答が返ってきました。
なんだか映画のターミネーターのようなことが起きそうでとても怖い回答ですが、こんな最悪な事態がおきないよう、適切な運用ルールや規制が整い、みんなが便利に使うことができるようになることを祈ります。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
飛行機内での逮捕
最近ニュースで、海外で活動していた特殊詐欺グループの人が逮捕されたニュースをよく見ます。
ここでいきなり質問ですが、犯罪を犯した日本人が海外に逃げていた場合、日本の警察に逮捕される瞬間はどの時点になるでしょうか?
ニュースなどをよく聞いているとわかると思いますが、正解は、海外から日本に向けて飛んでいる飛行機が、日本の領空内に入った時点になります。
逮捕の要件などについては、刑事訴訟法に規定されているのですが、この刑事訴訟法は、日本国内でのみしか適用されないため、日本の警察は犯罪者を海外で逮捕することはできません。
そこで、国際指名手配されている犯罪者や、日本と犯罪人引渡し条約を締結している国が、犯人を確保し、身柄を警察に引き渡し、飛行機で日本の領空内に入った時点で、裁判所から発令された逮捕状を用いて、犯人を逮捕することになります。
少し話は変わりますが、逆に、海外の領空を飛んでいる日本の飛行機内で犯罪が起こった場合には、領空は海外ですが、「航空機内で行われた犯罪その他ある種の行為に関する条約」により、その飛行機が所属している国の法律が適用されることになるため、日本の法律(刑法)が適用されることになります。
上記の犯罪者を海外から日本へ運ぶのは、通常の乗客が乗る飛行機になります。
飛行機の機長が「日本の領空内に入りました」というアナウンスを行った場合には、逮捕をすぐに行うために知らせるアナウンスであるため、犯罪者が同じ飛行機に乗っているかもしれないという噂がありますが、私が学生時代に何回か海外に行った際に、必ずこのアナウンスがながれていたため、都市伝説である可能性が高いでしょう。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。