マッチングアプリでの法的トラブル
だいぶ前になりますが、婚活という言葉を耳にするようになり、その後、街コンや婚活パーティーなど結婚相手を探す手段がいろいろ増えてきました。
そして、近年ではマッチングアプリの市場拡大により、トラブルも増えているようです。
マッチングアプリは、一切素性がわからない人と会うことで、様々なトラブルに巻き込まれる恐れがあります。
例えば、本当は既婚者であるにもかかわらず独身であると偽った人と交際を続け、配偶者からある日慰謝料請求がされるというケースは少なくありません。
配偶者のある人と性行為等を行った場合、その行為は不貞行為と言われ、民法709条、710条に基づき、損害賠償を支払う義務を追うことになります(この場合の損害は、精神的損害(苦痛)すなわち慰謝料ということになります。)。
もっとも、いかなる場合にも慰謝料を払わなければならないわけではありません。
すなわち、民法709条の損害賠償請求権が認めらえる要件として、加害行為を故意または過失により行うことが必要になります。
配偶者のある人と性行為を行ったという場合には「配偶者であることを知りながら(故意)」もしくは「配偶者であると気づくべきであったにもかかわらず」性行為を行うことが必要になります。
例えば、相手に「独身である」と嘘をつかれており、かつ既婚者であると疑うべき状況がない場合には慰謝料を支払う義務はありません。
なお、交際当初は独身であると信じ交際に至ったとしても、既婚者であると知った後に性行為を行った場合には、知った後の行為については不貞行為に該当するため慰謝料を支払う義務を負うことになります。
したがって、既婚者であると知った後については、直ちに交際を解消し二度とかかわらないほうがいいでしょう。
既婚者の決まり文句として「妻とは別れるつもりだ」とか「もう離婚しているのと同じ」などと言って関係の継続を迫る人は少なくありません。
しかし、そのような言葉を信じたとしても基本的に慰謝料を払わなければならないことには変わりありませんので、きっぱり関係を絶った方がいいでしょう。
その際、弁護士としてアドバイスするのであれば、関係を断つ前にきちんと「独身であると言われたので交際したこと(既婚者であるとわかっていれば交際していなかったこと)」「既婚者とわかった以上交際を継続することはできないこと」をメールやLINEなどできちんと伝えておいた方がよいでしょう。
これにより、万が一慰謝料請求がされた場合にも、既婚者であると知らなかったことを客観的に基礎づける証拠を確保できるため、裁判などの不要な争いを避けることができる可能性が高まると思います。
マッチングアプリという婚活に便利なものが生まれてくることにより、新たな法的トラブルも増えてくると思います。
こういったトラブルは、「まさか自分が巻き込まれるとは」と思ってもみないことが突然起きるものです。
もし巻き込まれてしまった場合には、直ちに弁護士に相談することをお勧めします。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
従業員の名札は必要?
以前の投稿で、現在では様々なハラスメントが存在すると書いた際に、店で従業員に対してクレームなどを行う行為が「カスハラ」(カスタマーハラスメント)と呼ばれていることを紹介しました。
以前の投稿はこちらから: なんでもハラスメント?~現代のハラスメントの問題点~
この「カスハラ」に関連して、最近では、クレーマーが従業員の名札など氏名が分かるものを撮影し、SNS等にアップするというトラブルが起きているとのニュースを目にしました。
名札をつけている職種としては、コンビニの従業員などがパッと思いつくのではないかと思います(調べてみると従業員の名札着用の先駆けは百貨店等とのことです。)。
勤務地とセットで名札などがSNSに上げられてしまうと、個人のプライバシーがさらされ、ストーカーや犯罪に巻き込まれてしまうおそれがあり、とても問題であると思います。
では、従業員の人は必ず名前を出さなければならないのでしょうか。
まず、法律で名前を出さなければならないことが決まっている業種があります。
具体的には、バスやタクシーの運転手は「旅客自動車運送事業運輸規則」により、氏名を旅客(乗客)に見やすいように掲示しなければならないと規定されています。
また、「薬事法」という法律では、薬局において従業員のうち薬剤師や登録販売者の方については、氏名を記載した名札を掲示することが義務付けられています。
一方、こうした法律で名前を出すことが義務付けられていない職業の場合には、従業員が名前を出さないで仕事をすることが法律に違反しているということにはなりません。
もっとも、会社の就業規則などにおいて名札の着用が義務付けられている場合には、名札をつけないと就業規則違反として懲戒処分の対象となる可能性があります。
では、店側として従業員の安全を守るために、名札に偽名等を記載し使用させることは許されるのでしょうか。
この点については、法律上従業員は顧客に対し、本名を知らせなければならない義務があるわけではないため、偽名の名札を使うことは何ら問題はありません。
顧客満足度の観点から、名札をつけて仕事をするということはいいことかもしれませんが、上記のようにプライバシー侵害の恐れなどがあるため、会社としても従業員を守るために偽名を使ったり、場合によっては名札をつけずに勤務させることを認めるなど柔軟な対応が必要なのかもしれませんね。
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ホームランボールは誰のもの?
10月に入ると、日本のプロ野球では、クライマックスシリーズ、そして日本シリーズの季節になります。
昨年は、ホークスが8年ぶりにBクラスになってしまい、クライマックスシリーズにも登場しないという状態になりました。
九州で生活を始めてから、このような状態になったことがなかったため、毎年必ずあると思っていた百貨店のセールなどもなく、とても戸惑った印象があります。
今年は、メジャーリーグでも日本の野球でもホームランの数が話題になりました。
ホームランのシーンでは、打者が打った瞬間にホームランであると確信して歩いて行くシーン(いわゆる「確信歩き」)も有名ですが、よく目にするシーンはホームランボールを取ろうとしている観客の様子が映し出されるのが印象的です。
メジャーリーグにおいて過去にバリーボンズ選手がよく場外ホームランを打つため、球場の外にある海でカヌーやボートに乗ってホームランボールを待ち構えていることもあったようです。
このように有名選手のホームランボールなどは、みんなが欲しいと待ち構えているものですが、法律上、このホームランボールは誰のものになるのでしょうか(詳細な説明は省きますがメジャーリーグでは、バリーボンズ選手のホームランボールをめぐり訴訟にまで発展したそうです。)。
この点は、日本野球機構(NPB)によると、公式球については、主催する各球団に所有権があるとのことでした。
すなわち、ホームゲームの球団が公式球について所有権を有することになります。
そして、各球団において、ホームランボールをどのように扱うのかという規約などがあれば、ホームランボールの所有権はその規約に基づいて決定されることになります。
残念ながら各球団の規約などは確認することができませんが、ホームランボールについての一般的な取り扱いは、ホームランボールと取った人がそのまま持ち帰ってよいという扱い(法律的には球団からの贈与ということになります。)になっているそうです。
ただ、特定の選手の記念となる場合(プロ第1号、新記録等でしょうか)については、球団側よりサインボールや記念ボール等と交換してもらうように依頼があるそうです。
また、受け取ったホームランボールについては、職員などにお願いすると選手のサインを書いてもらうことができるそうです。
各球団の規約やそのホームランボールが選手の記念となる等の状況によって、上記が全て当てはまるわけではないかと思いますが、野球観戦に行かれる際にはよかったら参考にされてください。
たまに、プロ野球を外野席で観戦する際には、自分のところに飛んでこないかと思ったりするのですが、なかなか飛んでくることはなく、いつか奇跡的にそういったシチュエーションになった際には、きちんとキャッチできるように今から息子とキャッチボールをしておこうと思います。
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お祭りに関する法律
夏休みも終わり、学童期のお子さんがいらっしゃるご家庭では、新学期が始まっていると思います。
うちの長男も夏休みの間はコロナもあったため、家にいることが多く幼稚園が始まるのを何日も前から待ち遠しそうにしていました。
コロナウイルス感染拡大により、一昨年より地域のお祭りなども中止になっていましたが、今年から徐々にお祭りも開催されるようで、9月の12日から筥崎宮で放生会が3年ぶりに開催されるとのニュースを見ました。
私自身、福岡出身ではなく、今まで筥崎宮(はこざきぐう)の放生会(ほうじょうや)に行ったことがなかったので、今年は感染対策を万全にして、家族で行ってみようと思います。
ちなみに筥崎宮放生会とは、春の博多どんたく・夏の博多祇園山笠とならび博多三大祭りに数えられており、「万物の生命をいつくしみ、殺生を戒め、秋の実りに感謝する」お祭りです。
その起源は「合戦の間多く殺生すよろしく放生会を修すべし」という御神託によるもので、千年以上続く最も重要な神事です。
そんなお祭りですが、多くの人が関わるものであるため、お祭りに関連する法律もいくつかあります。
まず、お祭りに欠かせない屋台は、飲食物を取り扱うため、食品衛生法に基づき保健所の許可を得る必要があります。
この許可については、臨時屋台(営利を目的としていないイベントで出店しているような屋台をいいます)として扱える食品が限定されており、仕込み作業を露天では行ってはいけないことや、かき氷には飲料水を利用し、手やほこりなどで汚れない構造にすることが求められています。
また、子どもから大人まで魅了する花火ですが、花火をお祭りで使用する場合には、いわゆる玩具花火ではない場合、火薬類取締法に基づき各自治体に対して届出をし、打ち上げ花火の場合には、煙火消費許可を得る必要があります。
このように、お祭りに際していろいろな観点から許可や届出をする必要がありますが、こういった許可に関する法律とは別にいわゆる「お祭り法」という法律があります。
正式名称は「地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律」といい、地域の伝統芸能を活用し、観光や商工業の振興をはかる目的で平成4年に制定された法律です。
市町村に伝わる伝統芸能を中心としたイベントの企画・実施に、国が費用の一部を補助することなどが規定されているものです。
皆さんも、コロナウイルス感染が続くなか、お祭りに行かれる方は感染対策を十分にされた上で、楽しまれてください。
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くじ引きで当たりがなかったら?
8月は、お子さんが夏休み真っ只中という方も多いのではないでしょうか。
我が家の長男が今年から幼稚園に通っているのですが、7月末から初めての夏休みに入り、今まで平日の午前中は家にいなかった息子が家にいるため、妻は毎日どこに連れて行こうかと頭を悩ませています。
小さいころ、夏休みといえば地元のお祭りに行き、屋台でかき氷や焼きトウモロコシやたこ焼きなどを買って、友達みんなで食べるのがとても楽しみでした。
そんなお祭りの出店に、1回200円程度でくじ引きをさせるお店が出ていることがあります。
1等の商品は高額なゲーム商品が出されており、子どものころは、ひょっとしたら当たるかもとドキドキしながらお小遣いを減らしていったことが懐かしいです。
しかし、中学生、高校生と成長するにつれ、1等や2等の商品は当たるものではないと、うすうす感じるようになり「本当は当たりくじは入っていないのではないか」と感じた時、少し大人になったような気持ちになりました。
それでは、くじ引きで当たりくじが一切入っていなかった場合どうなるのでしょうか。
ユーチューバー等が高額な現金を支払い、くじを全部買って当たりが入っているか調べるという動画がありました。
自分も思わずどうなるのか見たことがあるのですが、実際にくじ引きで当たりくじが一切入っていない状態で、客にお金を払わせくじ引きをさせていた男性が、詐欺罪で逮捕されたというニュースがありました。
詐欺罪は刑法246条に記載されており、だます行為(「欺罔行為」といいます。)により錯誤(法律用語で簡単にいうと「勘違いしている状態です。」)に陥り、財産の交付行為により財物が移転することで詐欺罪が成立します。
くじ引きの場合には、くじの中に当たりくじがあるということを黙示的に表示していることになるため、仮に当たりくじが1つもない場合には、当たりくじが入っていないにもかかわらず、当たりくじがあるという意思を表示していることであるため、欺罔行為が成立します。
そして、くじを引く人は「このくじのなかに当たりくじが入っている」と信じてくじを引くため「錯誤」に陥った状態で、くじの代金という財物を交付していることになります。
他方で、当たりくじの数が極端に少ない場合でも、当たりの個数などを明示していない場合には、だましているということにはならず、詐欺罪は成立しないことになると思います。
このように、当たりくじが1つも入っていない場合には詐欺罪という犯罪になります。
上記のように当たるものではないとわかってはいますが、息子が「やりたい!」とねだってきた来た場合にはやらせてしまうと思うので、少なくてもいいので、子どもに夢を与えるためにも当たりくじは入れておいてもらえたらなと思います。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
パッケージを見れば果汁の割合がわかる?
8月に入り、暑さも本格的になってきましたね。
暑いと喉が渇きます。
私も3歳の長男と公園で遊ぶとき、持参した水筒のお茶がなくなると自販機で飲み物を買うのですが、どこで覚えたのか、息子が「ジュース飲みたい!」というので「ママには内緒だよ」といって、買って2人でよく飲んでいます(帰ってすぐに妻に「パパにジュース買ってもらった!」と話してしまい、速攻裏切られていますが…)。
子どもに飲ませるにしても、自分で飲むにしても、果汁100%のものを飲みたいと思う方は多いのではないでしょうか。
多くの方が果汁の割合にかかわらずジュースと呼んでいると思いますが、法律上、果汁100%のものしか「ジュース」と名乗ることは許されておらず、100%でないものは「果汁入り飲料」(果汁が10%以上100%未満)、「その他の飲料」(10%未満)という名称になります。
確かに、缶やペットボトルのラベル表記をよく見ると、そのように表示されています。
果汁100%のジュースかどうかは上記の通りラベル表記を見ればわかるのですが、それ以外にもパッケージを見れば一目で果汁100%かどうかがわかります。
それは、パッケージに「果物の写真や輪切りの絵」があるかどうかです。
くわしく説明すると、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)に基づき定められた公正競争規約(果実飲料等の表示に関する公正競争規約及び施行規則)において、 果汁の使用割合が50%以上100%未満の「果汁入り飲料」にあっては、果実の搾汁そのままのものと一般消費者に誤認されるおそれがある表示をしていけないとされています。
具体的には、果実から果汁のしずくが落ちている表示や果実のスライス(輪切り)等の表示は、果汁100%と誤解される表示であるとして不当表示に該当するとされています。
また、果汁の使用割合が5%以上10%未満の「その他の飲料」の場合には、果実の絵を表示することも不当表示とされています。
ただし、簡易な図案(要は、リアルなイラストではない絵)であれば許されるとされています。
たしかに、みずみずしい果物のイラストが書かれてると、きっと果汁100%なんだと思って購入する人も多いと思います。
商品の表示については、その表示をもとに購入するか否かを決める判断材料になり、非常に重要なものであるため、法律により様々な規制がされています。
きちんと正しい情報を得てから商品を購入することが一番なので、皆さんも商品を購入される際には、パッケージや表示をきちんと確認してから購入されることをお勧めします。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
中高年のSNSトラブル
一昔前はインターネットを見るのは、パソコンでというのが常識というよりもパソコン以外に手段はありませんでした。
しかし、現在はこのブログもそうですが、インターネットやSNSを見る手段として、ほとんどの方がスマートフォンを活用されているのではないでしょうか。
実際、日本国民のどのくらいの人がスマートフォンを使用しているのかはわかりませんが、若い人だけでなく、高齢の方もスマートフォンを使用しているということは珍しくありません(今年88歳になる私の祖母もスマートフォンを使用しており、LINEでメッセージをくれます。頻繁に誤字があるのですが、それもとても微笑ましく感じます)。
しかし、スマートフォンが普及する前と比較し、SNSにまつわるトラブルは年々増えてきています。
特に、中高年の方のトラブルは非常に増加してきており、消費生活センターに寄せられる50歳以上のSNS関連のトラブルの相談は、2010年の145件から、2019年には4745件と30倍以上増加しているとのことでした。
SNSのトラブルと聞いて思い浮かぶのは若者という認識であったため、中高年の方のトラブルが増加しているというのはとても驚きました。
こうした中高年の方のSNSのトラブルが増えている理由として、これまでインターネットなどに触れる機会が乏しかった方がスマートフォンを購入することで、正しいインターネットの知識(ネットリテラシー)が不足したままSNSを使用することが原因であると考えられています。
例えば、何気ない日常(いきつけの喫茶店や、近所の公園の様子、自宅からの風景)を投稿することで、住所を公にしてしまうことや、子供や孫などの入学式や受験について学校名がわかるような投稿をしてしまうなど、自分の近しい人の個人情報を無断で公開してしまうということが多いそうです。
実際、中高年の方が「今、●●に旅行に来ています」と投稿したことで、自宅にはいないことが知られてしまい、空き巣に入られてしまったという被害もあるそうです。SNSに慣れている方ですと、旅行から帰宅した後に、旅行の投稿を行うなど、トラブルにならない投稿の仕方を心得ています。
SNSに慣れていないため、正しい情報と誤った情報の取捨選択ができず、根拠のないフェイクニュース等に影響されてしまったり、通常の投稿にまぎれて存在する広告の投稿等を不用意にクリックをし購入してしまい、知らぬ間に多額の請求や身に覚えのない請求が来ることもあるそうです。
さらに、近年問題となっているのが、他人の名誉を毀損する投稿や侮辱する投稿を行ってしまうことで、刑事罰や民事上の損害賠償の請求を受けることになってしまうことです。
いわゆる炎上している人物に対して、自身の正義感からか行き過ぎた投稿をしてしまうようです。
名誉を毀損されたり、侮辱された人から発信者情報開示請求により、発信者を特定すると、加害発言をしていた人の多くは中高年の方だったということもあったそうです。
SNSの活用により、現実のコミュニティーとは異なる場での交流などが可能となり、中高年の方の生きがいになっているという点はとても良いことであると思いますが、十分なネットリテラシーがないままにSNSを活用してしまうと、トラブルに巻き込まれてしまう危険性が少なくありません。
とくに、インターネット上にあげてしまった情報は、いわゆるデジタルタトゥーともいわれ、完全に消去することできなくなってしまいます。
ご自身でSNSとの付き合い方に不安をお持ちの場合には、お子さんや身近な人に相談したうえで上手に活用してもらいたいと思います。
また、万が一SNSでのトラブルに巻き込まれてしまった場合には、早急に弁護士にご相談ください。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
クレーンゲームの景品が違法?
皆さんは、ゲームセンター等でクレーンゲームをされることはありますか?
私の子どもの頃は、「UFOキャッチャー」という名前の方が一般的であった気がしますが、どうやら「UFOキャッチャー」はクレーンゲーム機の1商品であり、一般的な名称としては「クレーンゲーム」というのが正しいそうです。
社会人になってからはほとんどやっていなかったのですが、3歳の長男とショッピングモールへ行くと「ゲームセンターに行きたい」と駄々をこね、おもちゃを取ってほしいとせがむので、最近頻繁にクレーンゲームをやるようになりました。
「あと少しで取れそう!」という状況になるとついついのめりこんでしまい、苦労して取った後『買ったほうが安かったのではないか』『ここまでお金をかけて取るものだったのか』と後悔することも少なくありません。
このようにゲームセンターにあるクレーンゲームは、お金を投入し景品を獲得するものですが、実は法律で「遊技の結果に応じて賞品を提供」することが禁じられているのです。
まず、クレーンゲームなどがあるゲームセンターは「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(「風営法」と略された名称の方が一般的であると思います。)で規制されている「風俗営業」に該当します。
風営法ができた当初は規制対象外であったのですが、非行少年のたまり場となっている現状やゲーム機での賭博などが横行するようになったため、法改正により規制対象になりました。
そして風営法では遊戯の結果に応じて、賞品を提供することが禁じられています。
この賞品には、現金や商品券、物品だけでなく、お店の割引券やポイントなども含まれることになります。
そうなるとクレーンゲームの景品も物品なので、クレーンゲーム自体が風営法違反になるのが通常ですが、風営法を適用する警察庁から風営法の解釈運用基準である通達のなかで金額の上限を設定し、その上限を上回らない物品の場合には風営法違反にならないと発表しているのです。
この通達は2001年に出されたものであり、当時の上限は800円でした。
つまりクレーンゲームの景品が800円以下であれば、風営法違反にはならないとされていました。
しかし、ゲームセンターなどのアミューズメント業界から警察に対し、人件費や製造費の増加により20年前に定められた800円という上限では賞品の提供が困難になっているので上限の値上げをして欲しいという陳情を行っていたようです。
そして令和4年3月1日付の通達で、警察庁が景品の金額の上限を1,000円以下に変更されることになりました。
この通達による景品の上限額の増額により、クレーンゲームの商品も充実した内容になるのではないかと少し期待するとともに、また子どもにねだられる物が増えるのではないかと、今から少し怖い気持ちもあります。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
犬と猫へのマイクロチップの装着について
皆さんは、ペットを飼われていますか?
私は、小学校5年生の頃に父が捨て猫を保護しているところから、小さい猫をもらってきて飼い始めたのが一番最初に飼ったペットでした。
雑種の猫ですが、とても長生きをしてくれて亡くなってしまったときは、とても悲しく同じような悲しい気持ちになることが怖くて、それ以来ペットを飼う勇気がない状態です。
私のペットは天寿を全うしみんなに看取られながら旅立っていったのですが、飼っている犬や猫などが突然のアクシデントや災害などで行方が分からなくなってしまい、そのままお別れしてしまうというケースは少なくないのではないかと思います。
そのようなペットと離れ離れになってしまうことを防ぐために、犬や猫に対して動物愛護管理法が改正され、マイクロチップの装着を義務づける改正動物愛護管理法が令和4年6月1日から施行されました。
具体的には、飼い主となる人がペットショップやブリーダーなどのマイクロチップ装着を義務付けられているところから犬や猫を購入した場合には、30日以内に飼い主情報を公益社団法人日本獣医師会へ申請する必要があります。
これにより、犬や猫が迷子になった時や災害、盗難や事故などによって離れ離れになった時に、マイクロチップを読み取り登録されている情報を確認することで飼い主のもとへ戻すことができるようになります。
また、マイクロチップに飼い主の情報を登録することが義務付けられることにより、近年のペットブームで簡単な気持ちでペットを購入し、その後育てられなくなりペットを捨ててしまうといった無責任な行為を防ぐことができるのではないかと思います。
なお、ブリーダーやペットショップからではなく知人や動物保護団体などの、マイクロチップの装着が義務付けられていない人や団体から犬や猫を譲渡されたり購入した場合は、マイクロチップの装着は必須ではなく、装着することを努めるように努力義務が設定されています(装着する場合には獣医師に依頼するようです。)
この制度が広まって、思わぬかたちでペットと離れ離れになってしまう人が少しでも減るといいなと思いました。
なお、少し話は外れますが、離婚事件などで飼っているペットの所在で夫婦間でもめることもゼロではなく、離婚協議書などでペットの帰属についても記載することがあります。
無用なトラブルを防ぐために、これからは離婚協議書で定める際にはマイクロチップの登録情報を変更する手続きに協力することなどを規定しなければならないなと思いました。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
おとり広告とは?
おいしそうな飲食店のCMを見ているとそのお店に行きたくなりますよね。
私も長男が3歳になり、某ハンバーガーのチェーン店のCMが流れると「ハンバーガー食べたい!」とねだってきて困ることがあります。
このように飲食店の広告は、多数の人が目にし、且つその広告をきっかけとして来店してもらうためのものなので、私たちの生活にとても影響があるものになっています。
先日、とある飲食店が、いわゆる「おとり広告」を行ったとして、消費者庁がその飲食店に対し措置命令が出したとのニュースがありました。
「おとり広告」の具体的な内容としては、CM等で期間限定の商品があると謳っておきながら、ほとんどの店舗にてその期間限定の商品を提供することができない状態であったため、CMの表示が一般消費者を誤認させる恐れがある「おとり広告」に該当すると判断されたとのことです。
広告について規制する法律に「景品表示法」(正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」といいます。)という法律があり、同法の5条3号で、一般消費者に誤認されるおそれがある表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある広告を禁じています。
その具体的な内容として、消費者庁より「おとり広告に関する表示」が指定されており、商品・サービスが実際には提供できないにもかかわらず、提供できるかのような表示をすることを禁じています。
なぜ、おとり広告が禁止されるかというと、購入できない商品をおとりにして他の商品を購入させるためであり、よくあるのは不動産会社の広告です。
すでに入居者が決まっているいい物件を広告に載せ、来店や問い合わせを促して、別の物件を契約させるということも少なくないようです。
しかし、飲食店で「おとり広告」として規制されたというケースは非常に珍しく、飲食店の場合にはおとりの商品で客を誘引し、その商品がない場合でも他の商品を注文する可能性が、不動産の場合と比べてとても高いと考えられ、悪質性は高いのではないかと思います。
CM広告は、先ほど述べた通り多くの一般消費者の目に入るものであり、その広告をきっかけに購入や来店をするほど影響力の強いものであるため、消費者に誤解を与えないようきちんと対応してもらいたいと思います。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。