中高年のSNSトラブル
一昔前はインターネットを見るのは、パソコンでというのが常識というよりもパソコン以外に手段はありませんでした。
しかし、現在はこのブログもそうですが、インターネットやSNSを見る手段として、ほとんどの方がスマートフォンを活用されているのではないでしょうか。
実際、日本国民のどのくらいの人がスマートフォンを使用しているのかはわかりませんが、若い人だけでなく、高齢の方もスマートフォンを使用しているということは珍しくありません(今年88歳になる私の祖母もスマートフォンを使用しており、LINEでメッセージをくれます。頻繁に誤字があるのですが、それもとても微笑ましく感じます)。
しかし、スマートフォンが普及する前と比較し、SNSにまつわるトラブルは年々増えてきています。
特に、中高年の方のトラブルは非常に増加してきており、消費生活センターに寄せられる50歳以上のSNS関連のトラブルの相談は、2010年の145件から、2019年には4745件と30倍以上増加しているとのことでした。
SNSのトラブルと聞いて思い浮かぶのは若者という認識であったため、中高年の方のトラブルが増加しているというのはとても驚きました。
こうした中高年の方のSNSのトラブルが増えている理由として、これまでインターネットなどに触れる機会が乏しかった方がスマートフォンを購入することで、正しいインターネットの知識(ネットリテラシー)が不足したままSNSを使用することが原因であると考えられています。
例えば、何気ない日常(いきつけの喫茶店や、近所の公園の様子、自宅からの風景)を投稿することで、住所を公にしてしまうことや、子供や孫などの入学式や受験について学校名がわかるような投稿をしてしまうなど、自分の近しい人の個人情報を無断で公開してしまうということが多いそうです。
実際、中高年の方が「今、●●に旅行に来ています」と投稿したことで、自宅にはいないことが知られてしまい、空き巣に入られてしまったという被害もあるそうです。SNSに慣れている方ですと、旅行から帰宅した後に、旅行の投稿を行うなど、トラブルにならない投稿の仕方を心得ています。
SNSに慣れていないため、正しい情報と誤った情報の取捨選択ができず、根拠のないフェイクニュース等に影響されてしまったり、通常の投稿にまぎれて存在する広告の投稿等を不用意にクリックをし購入してしまい、知らぬ間に多額の請求や身に覚えのない請求が来ることもあるそうです。
さらに、近年問題となっているのが、他人の名誉を毀損する投稿や侮辱する投稿を行ってしまうことで、刑事罰や民事上の損害賠償の請求を受けることになってしまうことです。
いわゆる炎上している人物に対して、自身の正義感からか行き過ぎた投稿をしてしまうようです。
名誉を毀損されたり、侮辱された人から発信者情報開示請求により、発信者を特定すると、加害発言をしていた人の多くは中高年の方だったということもあったそうです。
SNSの活用により、現実のコミュニティーとは異なる場での交流などが可能となり、中高年の方の生きがいになっているという点はとても良いことであると思いますが、十分なネットリテラシーがないままにSNSを活用してしまうと、トラブルに巻き込まれてしまう危険性が少なくありません。
とくに、インターネット上にあげてしまった情報は、いわゆるデジタルタトゥーともいわれ、完全に消去することできなくなってしまいます。
ご自身でSNSとの付き合い方に不安をお持ちの場合には、お子さんや身近な人に相談したうえで上手に活用してもらいたいと思います。
また、万が一SNSでのトラブルに巻き込まれてしまった場合には、早急に弁護士にご相談ください。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
クレーンゲームの景品が違法?
皆さんは、ゲームセンター等でクレーンゲームをされることはありますか?
私の子どもの頃は、「UFOキャッチャー」という名前の方が一般的であった気がしますが、どうやら「UFOキャッチャー」はクレーンゲーム機の1商品であり、一般的な名称としては「クレーンゲーム」というのが正しいそうです。
社会人になってからはほとんどやっていなかったのですが、3歳の長男とショッピングモールへ行くと「ゲームセンターに行きたい」と駄々をこね、おもちゃを取ってほしいとせがむので、最近頻繁にクレーンゲームをやるようになりました。
「あと少しで取れそう!」という状況になるとついついのめりこんでしまい、苦労して取った後『買ったほうが安かったのではないか』『ここまでお金をかけて取るものだったのか』と後悔することも少なくありません。
このようにゲームセンターにあるクレーンゲームは、お金を投入し景品を獲得するものですが、実は法律で「遊技の結果に応じて賞品を提供」することが禁じられているのです。
まず、クレーンゲームなどがあるゲームセンターは「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(「風営法」と略された名称の方が一般的であると思います。)で規制されている「風俗営業」に該当します。
風営法ができた当初は規制対象外であったのですが、非行少年のたまり場となっている現状やゲーム機での賭博などが横行するようになったため、法改正により規制対象になりました。
そして風営法では遊戯の結果に応じて、賞品を提供することが禁じられています。
この賞品には、現金や商品券、物品だけでなく、お店の割引券やポイントなども含まれることになります。
そうなるとクレーンゲームの景品も物品なので、クレーンゲーム自体が風営法違反になるのが通常ですが、風営法を適用する警察庁から風営法の解釈運用基準である通達のなかで金額の上限を設定し、その上限を上回らない物品の場合には風営法違反にならないと発表しているのです。
この通達は2001年に出されたものであり、当時の上限は800円でした。
つまりクレーンゲームの景品が800円以下であれば、風営法違反にはならないとされていました。
しかし、ゲームセンターなどのアミューズメント業界から警察に対し、人件費や製造費の増加により20年前に定められた800円という上限では賞品の提供が困難になっているので上限の値上げをして欲しいという陳情を行っていたようです。
そして令和4年3月1日付の通達で、警察庁が景品の金額の上限を1,000円以下に変更されることになりました。
この通達による景品の上限額の増額により、クレーンゲームの商品も充実した内容になるのではないかと少し期待するとともに、また子どもにねだられる物が増えるのではないかと、今から少し怖い気持ちもあります。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
犬と猫へのマイクロチップの装着について
皆さんは、ペットを飼われていますか?
私は、小学校5年生の頃に父が捨て猫を保護しているところから、小さい猫をもらってきて飼い始めたのが一番最初に飼ったペットでした。
雑種の猫ですが、とても長生きをしてくれて亡くなってしまったときは、とても悲しく同じような悲しい気持ちになることが怖くて、それ以来ペットを飼う勇気がない状態です。
私のペットは天寿を全うしみんなに看取られながら旅立っていったのですが、飼っている犬や猫などが突然のアクシデントや災害などで行方が分からなくなってしまい、そのままお別れしてしまうというケースは少なくないのではないかと思います。
そのようなペットと離れ離れになってしまうことを防ぐために、犬や猫に対して動物愛護管理法が改正され、マイクロチップの装着を義務づける改正動物愛護管理法が令和4年6月1日から施行されました。
具体的には、飼い主となる人がペットショップやブリーダーなどのマイクロチップ装着を義務付けられているところから犬や猫を購入した場合には、30日以内に飼い主情報を公益社団法人日本獣医師会へ申請する必要があります。
これにより、犬や猫が迷子になった時や災害、盗難や事故などによって離れ離れになった時に、マイクロチップを読み取り登録されている情報を確認することで飼い主のもとへ戻すことができるようになります。
また、マイクロチップに飼い主の情報を登録することが義務付けられることにより、近年のペットブームで簡単な気持ちでペットを購入し、その後育てられなくなりペットを捨ててしまうといった無責任な行為を防ぐことができるのではないかと思います。
なお、ブリーダーやペットショップからではなく知人や動物保護団体などの、マイクロチップの装着が義務付けられていない人や団体から犬や猫を譲渡されたり購入した場合は、マイクロチップの装着は必須ではなく、装着することを努めるように努力義務が設定されています(装着する場合には獣医師に依頼するようです。)
この制度が広まって、思わぬかたちでペットと離れ離れになってしまう人が少しでも減るといいなと思いました。
なお、少し話は外れますが、離婚事件などで飼っているペットの所在で夫婦間でもめることもゼロではなく、離婚協議書などでペットの帰属についても記載することがあります。
無用なトラブルを防ぐために、これからは離婚協議書で定める際にはマイクロチップの登録情報を変更する手続きに協力することなどを規定しなければならないなと思いました。
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おとり広告とは?
おいしそうな飲食店のCMを見ているとそのお店に行きたくなりますよね。
私も長男が3歳になり、某ハンバーガーのチェーン店のCMが流れると「ハンバーガー食べたい!」とねだってきて困ることがあります。
このように飲食店の広告は、多数の人が目にし、且つその広告をきっかけとして来店してもらうためのものなので、私たちの生活にとても影響があるものになっています。
先日、とある飲食店が、いわゆる「おとり広告」を行ったとして、消費者庁がその飲食店に対し措置命令が出したとのニュースがありました。
「おとり広告」の具体的な内容としては、CM等で期間限定の商品があると謳っておきながら、ほとんどの店舗にてその期間限定の商品を提供することができない状態であったため、CMの表示が一般消費者を誤認させる恐れがある「おとり広告」に該当すると判断されたとのことです。
広告について規制する法律に「景品表示法」(正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」といいます。)という法律があり、同法の5条3号で、一般消費者に誤認されるおそれがある表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある広告を禁じています。
その具体的な内容として、消費者庁より「おとり広告に関する表示」が指定されており、商品・サービスが実際には提供できないにもかかわらず、提供できるかのような表示をすることを禁じています。
なぜ、おとり広告が禁止されるかというと、購入できない商品をおとりにして他の商品を購入させるためであり、よくあるのは不動産会社の広告です。
すでに入居者が決まっているいい物件を広告に載せ、来店や問い合わせを促して、別の物件を契約させるということも少なくないようです。
しかし、飲食店で「おとり広告」として規制されたというケースは非常に珍しく、飲食店の場合にはおとりの商品で客を誘引し、その商品がない場合でも他の商品を注文する可能性が、不動産の場合と比べてとても高いと考えられ、悪質性は高いのではないかと思います。
CM広告は、先ほど述べた通り多くの一般消費者の目に入るものであり、その広告をきっかけに購入や来店をするほど影響力の強いものであるため、消費者に誤解を与えないようきちんと対応してもらいたいと思います。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
政教分離って何だ??
令和3年2月24日、最高裁判所の大法廷において、政教分離という問題に対して判断がくだされました。
内容としては、那覇市が管理する公園の敷地について、儒教の祖といわれる孔子を祭るための廟(びょうと読み、祖先の霊を祭る建物のことをいいます。)を設置していた一般社団法人に対し、市が当該土地を無償で提供(使用料を免除)したことが憲法が禁じた宗教的活動に該当すると判断しました。
一般の方からすると、政教分離という言葉もあまりなじみがなく、どういった問題であるのかについてもわかりづらいと思いますので、すこし説明させていただきます。
憲法20条は、第1項で「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」、第2項で「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。」第3項で「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」と規定しています。
また、憲法89条では、「公金その他の公の財産は、宗教上の組織もしくは団体の使用、便益もしくは維持のため、……これを支出し、又はその利用に供してはならない」と規定しています。 この憲法20条1項(後段)、同条3項、89条の規定が、国家(地方公共団体)と宗教の結びつきを禁ずるための「政教分離の原則」を定めていると言われています。
国家と宗教が結びつくことにより、異教徒や無宗教の人に対する迫害が生じてきた歴史等に鑑み、個人の信教の自由を守るために定められた原則であると言われています。 今回は、那覇市という地方公共団体が、「孔子廟」という儒教の祖を祭る建物を設置する際の使用料を免除したことが政教分離違反に該当しないのかという点が問題になりました。
政教分離原則に反するか否かについては大きく分けると、①行為の目的が「宗教的意義」を持つか否か、②その行為に結果(効果)が、宗教に対する援助、助長、促進、圧迫、干渉等に該当するかという①と②を基準に判断されるのが一般的です(「目的効果基準」などと言ったりします。)。
今回の最高裁においても、孔子廟の宗教性を肯定した上で免除される使用料が高額(年間約570万円)であることなどを理由に、使用料を免除したことは一般人から見て市が特定の宗教に対し特別の便益を提供し、援助していると評価されてもやむを得ないと判断したようです。
これまで、最高裁において国や地方公共団体の行為が政教分離原則に反すると判断した例は2件しかなく、今回の最高裁の判決で3件目となったこともなり、全国ニュースでも取り上げられるようになりました。
このように、一般の方ではあまり馴染みのない政教分離原則ですが、司法試験を受験する方は必ず学習する分野であり、特に私の場合、司法試験本番で政教分離原則の問題が出て、まさか政教分離の問題がでるとは予想していなかったため、とても焦った記憶があり今回のニュースで懐かしい記憶がよみがえったため記事にさせていただきました。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
商品を勝手に送り付けられたら
どうすればいいの?
コロナウイルスの感染拡大に伴い、自宅で過ごすことが多くなり出前サービスやインターネットでの通販の需要が著しく増大しているというニュースを見かける方もいらっしゃると思います。
私もちょっとした買い物に行くことで感染してしまったら怖いなと思い、インターネットで買い物をすることが多くなりました。
インターネットサイトではAIを駆使して、過去の閲覧履歴などからおすすめ商品等も紹介してくるため、ついつい余計な物まで購入してしまいます。
このように商品を直接買うのではなく、配送でのやり取りが増えるなかで、注文を一切していないのに、いきなり商品が自宅に届き、代金を請求されて支払ってしまうというトラブルが起きています。
このように一方的に商品を送り付けて代金を請求することを「送り付け商法」といいます。
この送り付け商法については、そもそも注文していない状況で一方的に商品を送っているため、売買契約が成立しておらず代金を支払う義務はありません(注文している場合には原則として代金を支払う義務がありますが、場合によってはクーリングオフの対象となり解約することができる可能性がありますので、弁護士や消費生活センターにご相談ください。)。
では、送り付けられた商品については、どうすればいいのでしょうか。
代金を支払っていないため、『返却しなければいけない』と思う方も少なくないと思います。
また、生鮮食品など腐ってしまった場合などには、『代金を支払わなくてはいけない』と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、特定商品取引法という法律により、売買契約に基づかずに一方的に送り付けられた商品については「直ちに」処分可能であると規定されています。
今までの特定商品取引法では、送り付けられた商品を14日間保管する必要があったのですが、一方的に送りつけられたものを自由に処分できないのは保管の押し付けになるのではないかという声があがり、特定商品取引法が改正され、令和3年7月6日から「直ちに」処分することができるようになりました。
このように、法律で一方的に送り付けられた商品も直ちに処分することが可能となったため、その後送り付けてきた事業者から金銭を支払ってほしいと請求されたとしても、堂々と支払不要であると断ることができます。
もっとも、いきなり商品を送り付けられ代金を請求されてしまうと、焦って支払ってしまう方も少なくありません。
このブログを少しでも多くの方に知ってもらえればいいのですが、万が一支払ってしまったとしても返還を請求をすることができるため、弁護士や消費生活センターにご相談ください。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
WEB(ウェブ)で離婚調停成立可能に
令和3年12月から、東京・大坂・名古屋そして福岡において、離婚調停や遺産分割調停など家事調停について、対面ではなくWEBで調停を行う運用が開始されました。
それまでも、遠隔地の裁判所に調停を申し立てた際には(通常、家事調停は相手方が居住する住所地に申し立てを行う必要があるからです。)電話会議システムといって遠隔地にいる人が依頼している弁護士の法律事務所まで行き、そこで電話で調停に参加するという手続きが行われてきました。
しかし、その電話会議システムを利用しても、これまでは離婚調停において話し合いがまとまり、離婚が成立するという場面では当事者双方が裁判所に出廷しする必要がありました。
これは、離婚という身分関係に関わる重大な決定のため、本当に離婚することで問題ないかという意思確認については、裁判官が対面して慎重に判断すべきであるという考えに基づくものでした。
そのため、遠隔地に住んでいる方や配偶者のDVを受けてきた方も、離婚の成立の際には相手方と遭遇してしまうのではないかという不安のなか、わざわざ裁判所へ行く必要がありました。
何年も離婚事件に携わってきたなかで、面会交流や養育費の調停は対面ではなく電話会議システムで成立させることは可能であるにも関わらず、この離婚成立の時だけ裁判所へ行かなければならないということをとても不合理であると考えていました(失礼な個人的見解ではありますが、実際に裁判官が対面で慎重に離婚の意思を確認しているかと言われると、あまりそうとは思えませんでした。)。
しかし令和4年1月26日、政府が離婚調停に必要な意思確認について、従来の対面だけでなくウェブ会議でも可能にする方針を固めたとの発表がありました。
調停手続などを規律した「家事事件手続法」という法律を改正する法案を国会に提出予定とのことです。
最高裁判所で出されている司法統計では、離婚調停の成立件数が年間で約1万6000件~2万2000件にも上る状況で、対面での意思確認を継続していくことも事実上困難になったのかもしれません。
このように、調停成立の際にわざわざ裁判所へ行く必要がなくなったことで、遠隔地の裁判所で調停を申し立てる人やDVの被害者の方も、裁判所に行かなくても安心して離婚が成立することができるため、とても良い改正であると思います。
当事務所も家事事件を多く取り扱っている事務所として、今後も家事事件に関するニュースについては積極的にお知らせしていきたいと思います。
家事事件での法律無料相談は菰田総合法律事務所の那珂川オフィスまでお気軽にお問い合わせください。
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何も言わなくても詐欺罪??
先日、沖縄の那覇空港にある30分無料の空港駐車場で、不正に駐車料金を免れようとしたレンタカー会社の従業員らが詐欺罪で逮捕されたニュースを目にしました。
どうやら、禁止されている空港の駐車場でレンタカーの引き渡しを行い、レンタカー利用者の人には別の車で直前に駐車場に入った駐車券を渡し、従業員らは窓口で「駐車券をなくした。30分以内である。」などと嘘を伝えて駐車料金の支払を免れたという事で逮捕されたとのことです。
こうした駐車場を利用したレンタカー会社の不正な受け渡しは横行しているようで、そうした不正が行われると空港の駐車場がすぐに満車になってしまうそうです。
私も子どもが飛行機を見たいというので、たまに福岡空港の駐車場を使うのですが、よく駐車場が埋まっていることがあり、そういった不正で駐車場が利用されているのであれば迷惑なのでやめて欲しいと思います。
上記ニュースの従業員は、詐欺罪を理由に逮捕されています。
詐欺罪が認められるためには、文字通り人を騙す行為(法律用語で「欺罔(ぎもう)行為」といいます。)が必要になります。
この欺罔行為についてですが、人を欺く行為と聞いて一般の方が思い浮かぶのは、投資詐欺のように「必ず儲かるから」「元本保証をするから」などと言って、騙して投資を促す積極的な行為を想定すると思います。
上記の事件での欺罔行為も、ずっと長時間レンタカーを止めていたにもかかわらず「30分の利用である」と虚偽の事実を積極的に告げているため、この類型に該当します(積極的詐術行為)。
詐欺罪は、このような積極的な詐術行為だけでなく黙示的な詐術行為の場合にも成立します。
例えば、1円もお金をもっていない状態で飲食店に行き、注文をし料理を食べる行為も詐欺罪に該当します(いわゆる「無銭飲食」という行為です。)。
この行為は、上記のように積極的にだましてはいませんが、飲食店で料理を注文するという行為は、料理の代金を払うという意思を表示していることになります。
しかし、1円も持っていない状態であること知りながら注文するということは本当は払う意思が無いのにもかかわらず代金を払う意思を表示しているため、相手を騙しているということになります(このような詐欺を黙示的詐術行為といいます。)。
同じ類型の行為として、生活苦などで複数の消費者金融からお金を借りている多重債務者の方が、自転車操業の状態も行き詰まり返すことができないという状況を知りながらローンが通る消費者金融からお金を借りる行為についても、返済する意思がないにもかかわらずお金を借りる(返すという意思を表示していることになります)という行為も詐欺罪に該当することになります。
債務整理をしていて多重債務というだけで詐欺罪で検挙されるというケースはあまり多くはありませんが、例えば他の消費者金融への借金額や自身の収入額を大幅に嘘をついていた場合などと合わさって詐欺罪で被害届が出される可能性はゼロとは言い切れませんので、借金で悩まれている方は早めに弁護士へ相談することをお勧めします。
そして、上記の黙示的な詐術行為の中には何も言わなくても詐欺罪になる場合もあります。
釣銭詐欺という状況なのですが、レジでお金を払い店員が釣銭を間違えていると知りながら、何も言わずにそのままお釣りを多く受け取る行為も詐欺罪に該当すると言われています。
客としては、店員が釣銭を多く払おうとしているときにはその旨を指摘する義務があるとして、その義務を怠り何も言わずに釣銭を受け取る行為は詐欺に該当するとされているのです。
釣銭を多くもらってラッキーという経験をしたことがある人も少なくないのではないかと思いますが、現に釣銭詐欺で逮捕された事例もあるため注意が必要です。
なお余談ですが、釣銭詐欺が成立するためには釣銭が間違えていることを受け取る前に気づいている必要があり、釣銭を受け取った後で釣銭が間違っていることに気づいたがそのままにしていたというケースでは詐欺罪は成立せず、民事上の返還義務だけが残ります。
このように色々な行為が詐欺罪に該当する行為となるのですが、詐欺罪の立証は騙す意思(故意)があったという内心の状態を立証することが非常にハードルが高いと言われていますので、詐欺被害に遭われたという方は是非お気軽に弁護士にご相談ください。
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キャラクターケーキ、勝手に作って大丈夫?
~著作権侵害について~
皆さんはケーキをよく食べますか?
私の家では、長男の誕生日、妻の誕生日がいずれも12月にあるため、各誕生日とクリスマスにケーキを食べる機会が一気に増えます。
昨年は大丈夫でしたが、今年は30代後半になるため、胃もたれしないか今から心配です。
お子さんの誕生日やクリスマスにはお子さんに喜んでもらおうと、お子さんの好きなキャラクターなどがデザインされたケーキを作ってもらうご家庭も少なくないのではないでしょうか。
皆さんは、キャラクターのケーキを作ってもらう時に、「著作権は大丈夫なのか」と思ったことはありませんか?
『ケーキ屋さんが販売しているから大丈夫だろう』と思っている方がほとんどだと思いますが、実は多くのケーキ屋さんでは、著作権者の許可をとらずに作成しているケースが非常に多いです。
そして、キャラクターの絵が記載されているケーキは、簡単にいうとぱっと見て「あのアニメのキャラクターだ」と分かる内容のものを販売した場合には著作権侵害行為に該当します。
この点、ご自宅でご自身がご家族のためだけに作成するような場合には、私的私用のための複製行為として違法な行為に該当するものではありません。
しかし、キャラクターケーキを販売することを謳って、お客さんからのオーダーを受けて料金を受取り作成する場合には私的利用の範疇を越えた違法な行為に該当します。
著作権侵害を行った場合、民事での損害賠償のみならず、犯罪行為として処罰の対象にもなります。
先日、人気漫画の「鬼滅の刃」のキャラクターが描かれたケーキを無許可で販売したとして、自営業の男性が著作権法違反で書類送検されたというニュースがありました。
このように、法律的な観点からいうと、おそらく多くのケーキ屋さんで著作権者の許可を得ずにキャラクターケーキを販売しており、著作権侵害行為を行っているのだと思います。
しかし、著作権者においてすべてケーキ屋さんを調べること等、事実上不可能であることや、大目に見てもらっている、というのが正直なところかと思います。
したがって、キャラクターケーキが売れることに味を占め、インターネットなどで大々的に宣伝したり、多額の収益を得ている状況が著作権者に知られた場合には、どのケーキ屋さんでも著作権法違反で検挙される危険性があるという状態だということは強く認識していた方がいいでしょう(簡単にいうと、高速道路でみんなスピード違反をしている状態でどの車が警察につかまるか分からないという状況とあまり変わりはないと思います。)。
また、注文する側が何も問われないかというと、厳密にはそうではなく、著作権法違反であることを認識しながら作成を依頼した場合には、共同不法行為として著作権者から損害賠償を受ける、ということにはなってしまいます。
大切なご家族の笑顔を見るために、頼んだキャラクターケーキが原因で、トラブルに巻き込まれるということはとても悲しいことなので、もし、キャラクターケーキなどが欲しい場合には、きちんと著作権者から許可を得ているところから購入したいですね。
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道でスケートボードに乗ってもいいの?
2021年7月から、東京2020オリンピックが開催されました。
コロナウイルスの感染が原因で、1年開催が延期されましたが、日本人の選手の皆さんの活躍を連日見ることができ、私個人としては開催されてとてもよかったと思います。
印象に残る選手や試合はとてもたくさんあるのですが、私個人としては、体操男子の橋本大輝選手の個人総合での試合の様子は、家族でテレビにかじりついて見ており、金メダルが決まった瞬間は、2歳の長男も「やったー!」と喜んでおりとても感動したため、一番印象に残っています。
東京オリンピックから初めて採用された競技の中の1つに、スケートボードがあります。
ストリートとパークという競技があり、ストリートに関しては、男女どちらとも日本人が金メダルを獲得し、「13歳、真夏の大冒険!!」という実況もあいまって、競技後、スケートボードブームもおきました(オリンピック後に息子と故近所の公園に行くと、小さいお子さんがスケートボードでびくびくしながら練習している様子を見ると、ブームが来ていることを実感します。)。
しかしスケートボードは、操作も難しく、転倒の恐れも高く、また、道路等で乗ってしまうと、他の人への衝突などトラブルが生じる可能性もあるため、ブームでスケートボードに乗る人が増えることで、トラブルも増える恐れがあるということがニュースでも報じられています。
スケートボードを公道等で乗ることに関して、何か法律の規制があるかについて調べてみると、まず、スケートボードが法律上どういった位置づけになるかですが、スケートボードには方向指示器や、ブレーキなど軽車両として認められる部品等がついていないため、自転車等の軽車両には該当しません(モーターつきのスケートボード等の場合には、軽車両と認定される場合があるかもしれません。)
では、軽車両に該当しないからといって自由に乗っていいかというとそうではありません。
道路交通法76条4項では、「何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。」と規定し、第3号で「交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。」規定しています。
スケートボードは、ローラー・スケートに類する行為に該当するため、「交通のひんぱんな道路」においてスケートボードを行うことは道路交通法上禁止されており、違反すると、道路交通法120条1項第9号により、5万円以下の罰金に処せられてしまいます。
このように、法律上は、交通の頻繁ではない道路であれば、スケートボードに乗っても何ら問題はないのですが、交通の頻繁な道路でない場合にも、歩行者や自転車との衝突の危険は非常に高く、万が一他の人にぶつかり、重症や後遺症を負わせてしまった場合には多額の賠償責任を負ってしまうこともあるため、なるべく公道では乗らないほうがいいでしょう。
こうした路上での使用等が減るためにも、スケートボードを行うことができる施設などが充実すればいいなと思います。
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