弁護士コラム

2018.02.16

交通事故に遭ってしまったら①

交通事故に遭ってしまったら①

<ご相談者様からのご質問>

 先程,交差点で交通事故に遭いました。私が交差点を直進しようとしたら,対向車線から相手の車がいきなり右折してきたのです。幸いケガはなさそうです。相手の方からは自分が悪いので,車の修理費は全て持つので警察は呼ばないでくれと言われています。きちんと対応してくれるのであればわざわざ警察まで呼ばなくてもいいのではないかと思ってしまうのですが。

<弁護士からの回答>

 ご相談者さまの事例のように,相手方から警察を呼ばないで欲しいと言われることは少なくありません。相手の言葉を信じて,警察を呼ばないと後々で面倒なことに巻き込まれてしまう可能性は非常に高いです。今回から数回にかけて,交通事故が発生直後にしなければならないこと,しておいた方が良いことについてお話させていただきます。

 事故が発生したら,すぐに,ご自身や同乗者等にお怪我をなされている方などがいるかを確認し,けが人がいる場合には早期に救出することが必要です。このとき,ご相談者さまのように,目立った外傷がない場合であっても,あとから症状が出る場合もあるため,大きなケガをしていなように見えても,痛みがある場合などには念のため救急車を呼んでおいた方が良いでしょう。
 ケガの状況の確認が済み次第,必ず警察へ連絡を入れてください。これは事故の内容がケガをしておらず,車の損傷のみである物損事故の場合であっても必ず連絡することが必要です。その理由としては,交通事故にかかる車両等の運転手には,事故が発生した際に警察に報告する義務を有している(道路交通法72条1項)だけではなく,警察に事故の届出をしなければ,後日,相手方の保険会社や,ご自身の保険会社に保険金を請求する際に,そもそも交通事故が発生したことの証明をすることができなくなってしまいます。警察に届出をすることで,物損事故の場合であっても,交通事故が発生したことの証明書(交通事故証明書といいます。)が作成されるので,どのような事故であっても必ず警察に連絡してください。

 ご相談者様の事例のように,相手方から職場でのペナルティや,事故による免許の違反点数がついてしまうことを避けるために警察に連絡するのをやめて欲しいと言われることはまれにですが存在します(特に事故の加害者から言われることがあります。)。しかし,相手からいくら,治療費や修理費を全額払う旨言われていたとしても必ずその申出は断るようにしてください。上記のように,警察に届け出なかったことにより,後々保険金の請求をすることができない若しくは困難になってしまったり,相手の所在が分からなくなり,被害者であるにもかかわらず最終的に,損害を賠償してもらえなくなる可能性が十分に考えられます(事故証明書を取得しておけば,相手方の住所地や自賠責の保険会社などの情報が判明するため,所在不明というような状況は防ぐことができます。)。
したがって,そのような申出があった場合には,自動車を運転している以上,交通事故が起きた際には,法律上警察を呼ぶ義務があることをきちんと理解してもらい,必ず警察に連絡するようにしてください。

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