キャラクターケーキ、勝手に作って大丈夫?
~著作権侵害について~
皆さんはケーキをよく食べますか?
私の家では、長男の誕生日、妻の誕生日がいずれも12月にあるため、各誕生日とクリスマスにケーキを食べる機会が一気に増えます。
昨年は大丈夫でしたが、今年は30代後半になるため、胃もたれしないか今から心配です。
お子さんの誕生日やクリスマスにはお子さんに喜んでもらおうと、お子さんの好きなキャラクターなどがデザインされたケーキを作ってもらうご家庭も少なくないのではないでしょうか。
皆さんは、キャラクターのケーキを作ってもらう時に、「著作権は大丈夫なのか」と思ったことはありませんか?
『ケーキ屋さんが販売しているから大丈夫だろう』と思っている方がほとんどだと思いますが、実は多くのケーキ屋さんでは、著作権者の許可をとらずに作成しているケースが非常に多いです。
そして、キャラクターの絵が記載されているケーキは、簡単にいうとぱっと見て「あのアニメのキャラクターだ」と分かる内容のものを販売した場合には著作権侵害行為に該当します。
この点、ご自宅でご自身がご家族のためだけに作成するような場合には、私的私用のための複製行為として違法な行為に該当するものではありません。
しかし、キャラクターケーキを販売することを謳って、お客さんからのオーダーを受けて料金を受取り作成する場合には私的利用の範疇を越えた違法な行為に該当します。
著作権侵害を行った場合、民事での損害賠償のみならず、犯罪行為として処罰の対象にもなります。
先日、人気漫画の「鬼滅の刃」のキャラクターが描かれたケーキを無許可で販売したとして、自営業の男性が著作権法違反で書類送検されたというニュースがありました。
このように、法律的な観点からいうと、おそらく多くのケーキ屋さんで著作権者の許可を得ずにキャラクターケーキを販売しており、著作権侵害行為を行っているのだと思います。
しかし、著作権者においてすべてケーキ屋さんを調べること等、事実上不可能であることや、大目に見てもらっている、というのが正直なところかと思います。
したがって、キャラクターケーキが売れることに味を占め、インターネットなどで大々的に宣伝したり、多額の収益を得ている状況が著作権者に知られた場合には、どのケーキ屋さんでも著作権法違反で検挙される危険性があるという状態だということは強く認識していた方がいいでしょう(簡単にいうと、高速道路でみんなスピード違反をしている状態でどの車が警察につかまるか分からないという状況とあまり変わりはないと思います。)。
また、注文する側が何も問われないかというと、厳密にはそうではなく、著作権法違反であることを認識しながら作成を依頼した場合には、共同不法行為として著作権者から損害賠償を受ける、ということにはなってしまいます。
大切なご家族の笑顔を見るために、頼んだキャラクターケーキが原因で、トラブルに巻き込まれるということはとても悲しいことなので、もし、キャラクターケーキなどが欲しい場合には、きちんと著作権者から許可を得ているところから購入したいですね。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
道でスケートボードに乗ってもいいの?
2021年7月から、東京2020オリンピックが開催されました。
コロナウイルスの感染が原因で、1年開催が延期されましたが、日本人の選手の皆さんの活躍を連日見ることができ、私個人としては開催されてとてもよかったと思います。
印象に残る選手や試合はとてもたくさんあるのですが、私個人としては、体操男子の橋本大輝選手の個人総合での試合の様子は、家族でテレビにかじりついて見ており、金メダルが決まった瞬間は、2歳の長男も「やったー!」と喜んでおりとても感動したため、一番印象に残っています。
東京オリンピックから初めて採用された競技の中の1つに、スケートボードがあります。
ストリートとパークという競技があり、ストリートに関しては、男女どちらとも日本人が金メダルを獲得し、「13歳、真夏の大冒険!!」という実況もあいまって、競技後、スケートボードブームもおきました(オリンピック後に息子と故近所の公園に行くと、小さいお子さんがスケートボードでびくびくしながら練習している様子を見ると、ブームが来ていることを実感します。)。
しかしスケートボードは、操作も難しく、転倒の恐れも高く、また、道路等で乗ってしまうと、他の人への衝突などトラブルが生じる可能性もあるため、ブームでスケートボードに乗る人が増えることで、トラブルも増える恐れがあるということがニュースでも報じられています。
スケートボードを公道等で乗ることに関して、何か法律の規制があるかについて調べてみると、まず、スケートボードが法律上どういった位置づけになるかですが、スケートボードには方向指示器や、ブレーキなど軽車両として認められる部品等がついていないため、自転車等の軽車両には該当しません(モーターつきのスケートボード等の場合には、軽車両と認定される場合があるかもしれません。)
では、軽車両に該当しないからといって自由に乗っていいかというとそうではありません。
道路交通法76条4項では、「何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。」と規定し、第3号で「交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。」規定しています。
スケートボードは、ローラー・スケートに類する行為に該当するため、「交通のひんぱんな道路」においてスケートボードを行うことは道路交通法上禁止されており、違反すると、道路交通法120条1項第9号により、5万円以下の罰金に処せられてしまいます。
このように、法律上は、交通の頻繁ではない道路であれば、スケートボードに乗っても何ら問題はないのですが、交通の頻繁な道路でない場合にも、歩行者や自転車との衝突の危険は非常に高く、万が一他の人にぶつかり、重症や後遺症を負わせてしまった場合には多額の賠償責任を負ってしまうこともあるため、なるべく公道では乗らないほうがいいでしょう。
こうした路上での使用等が減るためにも、スケートボードを行うことができる施設などが充実すればいいなと思います。
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未成年者の課金
~投げ銭トラブルについて~
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、大人だけでなく子どもたちも学校にいけない期間が増え自宅で過ごす機会が増えていると思います。
以前から問題になっており、コロナ禍でさらに問題なっているのが、未成年者によるゲームやライブ配信などに没頭してしまい、多額の課金や、投げ銭などを行ってしまうという金銭トラブルが非常に多発しているということです。
こういったネット上での金銭使用については、基本的に親のクレジットカードでの支払がなされるため、課金などをしている未成年者自身で、いくら課金しているのかということを認識することができない場合や、歯止めがきかなくなってしまって多額の課金をしてしまうケースが多いようです。
消費生活センターなどへ寄せられる相談では、子どもがひと月に150万円以上課金してしまったという相談もあったそうです。
課金行為や投げ銭行為は売買契約や贈与契約として法律行為に該当します。
そして、未成年者が親権者の承諾を得ずに法律行為を行った場合、親権者はその法律行為を取り消すことができます(民法5条)。
未成年者は知識も未熟であることからかかる未成年者を保護するために、親の取消権が認められています。
この民法の規定からすると、未成年者が、課金や投げ銭を行った場合、親権者が取消権を行使して、課金した代金の返金が認められそうにも思えます。
しかし、未成年者が課金をすることができる状況の多くが、お子さんが親のクレジットカードを自由に使うことができる状況であると評価されてしまうケースが多いと言えます。
したがって、多くの場合、事前に親権者の承諾があったものと判断され、取消が認められないことになるケースが多いと思います。
また、民法では、未成年者が成人であると偽って法律行為をした場合には、取引の相手方を保護するために、取消権は認められないことになります(民法21条)。
したがって、課金や投げ銭を行う前の画面において年齢確認の画面があり、その画面を経て課金をしている場合には、成人であると偽って取引していることになるため、その場合でも取消権の行使は認められないでしょう。
このように、未成年者の課金などはそのほとんどが取り消すことができないため、親権者である親御さんの方で事前に対策を行う必要があります。
具体的には、利用額の上限額を低く設定する。
クレジットカードが使用される都度親御さんに連絡がいくような手続を行うことや、スマートフォンの利用履歴を確認することができるようにするなどして、多額の課金がなされないようにする必要があると思います。
たかが子どもの遊びと侮っていると、上記のように多額の金銭トラブルにまきこまれてしまう危険性もあるため、くれぐれもご注意ください。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
なんでもハラスメント?
~現代のハラスメントの問題点~
先日、ニュースで、コロナ禍でお客さんによるカスタマーハラスメント略して「カスハラ」がさまざまな業種で起きていることが報じられました。
とあるホテルで、「男性客が従業員に『クビだ!』と罵声を浴びせ、土下座を強要するだけではなく、ホテルの最上階の部屋の宿泊を要求した」などという状況を撮影したニュース番組の映像が流されていました。
そして、少し前まではハラスメントというと、セクシャルハラスメント(セクハラ)やパワーハラスメント(パワハラ)ぐらいでしたが、現在は、多種多様なハラスメントがあり、その数が50個近くもあると紹介されていました。
私もハラスメントについて調べてみました。
今日は、ハラスメントについての一例をご紹介するとともに、ハラスメントについて弁護士としての意見をお伝えしたいと思います。
〇時短ハラスメント(ジタハラ)・・・働き方改革の一環で長時間労働が問題視されるようになり、会社でも残業をしないよう上司から指示されることも多いと思います。しかしながら、残業しなければ終わらないような業務量であるにも関らず定時に帰るように強要され、自宅などでの作業を余儀なくされるなど、残業代が出ない残業をする羽目になっている現状があるそうです。
〇フォトハラスメント(フォトハラ)
SNSが普及している現在では、許可なく写真をSNS等にアップロードされることもハラスメントとして定義されるようになりました。
〇ヌードルハラスメント(ヌーハラ)
前2つのハラスメントは、現代で新たに出てきた重要なハラスメントであると思いますが、こんなものもハラスメントとして取り上げるべきものなのかというもので「ヌードルハラスメント」というものがありました。
すなわち、ラーメンやそばなどをすするときの音がハラスメントだというのです。
このように、現代ではさまざまなハラスメントが定義されるようになりました。
様々なハラスメントが定義されることで、今まで声をあげることができなかった弱い立場にいた人が、「ハラスメントである」と声を上げられるようになったことは、とてもいいとは思います。
しかし、その反面、上記のヌーハラのように、ハラスメントとして定義すべきであるかのようなものまで何でもハラスメントになってしまうと、ハラスメントと主張すること自体がハラスメントになってしまうのではないかと思います。
そう思って調べると、何かにつけてハラスメントであると言いがかりをつけることを、ハラスメントハラスメント(ハラハラ)と定義していることが分かりました。
このように様々なハラスメントが定義されている現代ですが、法律上問題になるのが、当該行為が損害賠償の支払を義務付けられるような違法な行為に該当するか否かです。
すなわち、辞書的な意味でのハラスメント「いやがらせ」という意味では、相手方不快な感情を抱けばハラスメントに該当することになりますが、民事上問題となるのは当該ハラスメント行為が違法な場合、すなわち、その行為を行ってはいけないという法的義務が認められる場合に、その義務に違反した場合にのみ初めて損害賠償責任を負うことになり、単に相手が不快な感情を抱けば賠償責任となるものではありません(上記ヌーハラでも、音をだして麺をすすってはいけないという義務が認められるわけではなく、すすっている音がイヤという人が損害賠償を請求できないというのはお分かりになると思います。)。
大事なのは、どういったハラスメントが存在するかということよりも、具体的どういった行為が賠償責任を負うかということを会社や個人それぞれがしっかり認識し、みんなが生活しやすい状況を作り出すということではないかと思います。
そういった意味では、上記のフォトハラなどは、SNSになじみがない方などには認識すら難しいものであると思うので、ハラスメントが注目されている機会に知ることはとても有意義だと思います。
どういった行為が禁止すべきハラスメントに該当するかについては、法的問題であるため、経営者の皆さまは会社での指導を行う前などに是非一度弁護士に相談されることをおすすめします。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
郵便局員が郵便を破棄!!
~損害賠償請求は認められる?~
皆さんは年賀状は書かれましたか?
私は、昨年に第2子の長女が産まれたため、長女と長男の写真の年賀状を作成しました。
年々、年賀状の郵送枚数は減っているそうです。
毎年年末が近づくと宛名を書いたりするのが億劫になってしまいますが、1月1日に年賀状が来ていると嬉しくなるので、これからも続けていこうと思います。
そんな年賀状だけでなく、日々の手紙や郵便を配達してくれるのは郵便局員の方ですが、日本の郵便の制度はとても信頼性が高く、送った郵便が届かないということを経験した人はあまりいないのではないでしょうか。
しかし、先日大阪にて、配達されるはずであった手紙や封書7,000通を雑木林に捨てたとして、郵便局員が郵便法違反で逮捕されたというニュースを目にしました。
逮捕された郵便局員は、「配達するのが面倒だった」などと容疑を認めており、また、昨年の11月ころから郵便物を自宅に持ち帰っていたと話しているようで、自宅には、約4,000通の郵便物があり、その中には大切なコロナワクチンの接種券などもあったそうです。
弁護士という仕事から、裁判所や相手方に書面を郵送したり、戸籍を集めたりなど、毎日多くの郵便物を送付していますが、重大な個人情報が含まれた書面もあるため、もし自分の地域で同じことが起こったらと思うととても恐ろしいです。
そういったことがないように、郵便に関することを規定した郵便法では、郵便を破棄した人等に刑事罰を科しているので、あまりこういったことが頻繁に起きることはないと思いますが、過失で郵便局員が紛失させてしまうこともあるかもしれまん。
そういった場合に、郵便局などに対し損害賠償をすることができるのでしょうか。
この郵便に関する損害賠償についても、郵便法に定められており、書留郵便や、代金引換郵便で代金を回収せずに引き渡した場合や、内容証明などの記録郵便物に限定して賠償請求が認められています。
損害賠償が認められる郵便物が限定されている理由としては、無制限に賠償を認めることになると、郵便料金を引き上げることや、迅速な配達が実現しなくなるためであると言われています。
上記の事件のようにワクチン接種券が届かない場合や、裁判所からの書面が届かないなどとなると、様々な人が困ることになるため、郵便局の方にはきちんと郵便物の配達をお願いしたいですね。
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実行犯ではないのに処罰される?
~共謀共同正犯について~
2021年9月24日、福岡地方裁判所にて、特定危険指定暴力団の工藤会のトップ2名に対し、死刑判決と無期懲役判決が言い渡されました。
判決の言い渡された2名は、いずれも自分が実行犯ではない殺人事件について、「共謀共同正犯」として処罰されています。
本日は、この一般の方にあまりなじみがない、「共謀共同正犯」についてご説明させていただきます。
まず犯罪は大きく分けると、全て単独で行う「単独犯」と複数の人が犯罪に関与している「共犯」に分別されます。
そして、「共犯」には説明しますが、「共同正犯」と「幇助(ほうじょ)」「教唆犯」(2つを併せて「従犯(じゅうはん)といいます。」)に区別されます。
共同正犯は、刑法60条に「二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする」と規定されており、共同して犯罪を実行した場合には2人とも同じ責任を負うことになります。
幇助犯とは、共同正犯以外の行為で正犯の犯罪行為を容易にする行為を行ったこと指し、刑法62条1項で「正犯を幇助した者は、従犯とする」と規定されており、幇助犯も処罰の対象になります。
また、教唆犯とは、他人をそそのかして、犯罪を実行させる罪であり、刑法61条1項で「人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。」と規定されており、教唆犯も処罰の対象となります。
そもそも刑罰という重大な不利益を被る場面では、個人が自己の行為によって犯した結果についてのみ処罰されるべきであるという考え(これを「個人主義」といいます。)が採用されており、共同正犯は、個人主義の例外であり、共犯者が心理的物理的に影響を及ぼし合う関係になることで犯罪結果が生じやすくなるため共犯の場合には双方とも結果を負う形になります。
そして、共同正犯は上記刑法60条のとおり「共同して犯罪を実行した」と規定されており2人以上の人が共同して犯罪を行うことが予定されていますが、判例上、実行行為を行っていなくても、「2人以上の者が特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し、かつ自己の行為を他人に補充するという意味で、緊密な相互利用相互補充関係があれば」共謀共同正犯として、結果についても責任を負うとされています。
これにより、集団詐欺等の犯罪集団などにおいても刑罰を科すことができるようになったのですが、共謀の事実が認定ができなければ共謀共同正犯を認定することができません。
今回の裁判でも、工藤会のトップ2人が共謀した事実に関する直接的な証拠が何ら存在しなかったため、間接的な事実を積み重ねて共謀の事実が認定されています。
本件については、被告人側から福岡高等裁判所へ控訴がされているため、控訴審においてどのような判決がなされるか、今後も注目していきたいと思います。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
雪道をノーマルタイヤで走ると罰金?
冬になるととても寒くなりますね。
私は司法試験に合格するまで東京に住んでおり、司法試験の合格後の司法修習で佐賀県に配属されて初めて九州に住むことになりました。
九州と言えば、ヤシの木がいっぱい生えてる南国のようなイメージでした。
実際に佐賀に12月に配属され、雪が降ってるのを目の当たりにした時は『イメージと全然違う』と愕然としたのが懐かしく思えます。
気温が低くなると注意しなければいけないのが、路面の凍結や雪道です。
路面の凍結等により、重大な事故が生じるだけでなく、渋滞を引き起こす等様々なトラブルが起きる危険性があります。
路面凍結や雪道でのトラブルが発生する多くの原因は、ノーマルタイヤで走行してしまうことです。
実際私も、山道で凍結しているところでノーマルタイヤスタック(タイヤが回転しなくなってしまうことです)している車を見かけ、友人数名と押して脱出したことがあります(その際にも、後ろがすごい渋滞になっており、運転手の方もとても迷惑をかけてしまって申し訳なさそうにしていました)。
雪道や凍結している道路をノーマルタイヤで走行してしまうと、単に他の人に迷惑をかけてしまうだけでなく反則金を支払わなければならないことになります。
道路交通法71条では、「車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。」と規定しており、同条第6号では「道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項」と規定しています。
そして現在、沖縄県を除く全ての都道府県において、積雪・凍結した路面で冬用タイヤを装着するなど「すべり止め」の措置をとるよう都道府県道路交通法施行細則または道路交通規則で義務づけられています。
この規定に違反した場合には、各都道府県のいずれでも、大型車は7,000円、普通車は6,000円、自動二輪車は6,000円、原動機付自転車は5,000円の反則金を支払う義務を負います。
このすべり止めの措置については、決して降雪地帯のみに限定されているものではなく、全ての地域で措置を講じることが求められます。「路面凍結注意」「冬用タイヤやチェーンを装着」などという標識などがある場合や、すでに天気予報で雪の予報が出ている場合等の場合には、冬用タイヤやチェーンを準備して、路面凍結や雪道でもトラブルが起きないように対処したいですね。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
凧あげでトラブルに?
新年あけましておめでとうございます。
2022年になりました。
私が、この菰田総合法律事務所に入所してから6年が経ちました。
6年前の時点で、那珂川オフィスは那珂川市唯一の法律事務所でした。
それから6年経ちましたが、相変わらず那珂川市唯一の法律事務所のままです。 それでも、初めてお会いする方に名刺を渡すと「那珂川に法律事務所があったんだね。」と言われることも少なくありません。
ひとえに私自身の営業力の乏しさが原因なのでしょうが、今年は那珂川オフィスや私自身のことをもっと知ってもらうためにも、このブログも飽きることなく更新していきたいと思います。
今年の抱負もお伝えしたところで、新年一発目は新年らしい話題にしたいと思い、凧あげでのトラブルの事例をご紹介します。
小さい頃、お正月になると父や祖父と凧あげをして遊んだことを思い出します。
祖父が凧あげが上手で、長い糸をどんどん伸ばし凧がみるみる小さくなっていき、少し不安になってしまったことが懐かしいです。
凧あげでのトラブルというと、過去に、名古屋市で凧糸が架線にひっかかったことが原因で、車両所から名古屋駅に移動する予定であった新幹線の車両が動かせなくなり、別の車両を用意する等した結果発車時刻を18分遅れることになり、約400人に影響が出たということがありました(近くには凧も落ちていたようです。)。
凧糸が電線や架線にひっかかった状態で放置してしまうと、垂れた糸から感電するなど非常に危険な状態であるため、特に電車が通る架線にひっかかってしまうと、電車を動かすことができず、とても大きなトラブルになってしまう危険性もあります。
では、先程の事例のように、凧を架線にひっかけてしまった場合に、法的にどのような問題があるのでしょうか。
まず、わざと凧糸を架線にひっかけることをした場合、鉄道会社の業務を故意に妨害したことになるため、威力業務妨害罪(刑法234条)が成立する可能性があります。
また、わざとでなくても架線の近くなどで凧あげをしており、誤ってひっかけてしまった場合であっても過失により鉄道会社に損害を与えたとして、不法行為に基づく損害賠償を支払わなければならない可能性も十分にありえます。
このようにお正月の楽しいイベントの1つである凧あげも大きなトラブルになってしまう可能性があるため、公園や運動場など周囲に遮るものがない広い場所で遊ぶように心がけたいですね。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
カジノは違法じゃないの?~ギャンブルと賭博罪~
近年、海外では一般的になっているIR(統合型リゾート)について、日本政府が着目し始め、2016年にはIR推進法が成立し、日本でもIRを実現するために、東京や大阪のみならず、九州では長崎(佐世保)が誘致に手を挙げているといった内容のニュースを目にするようになりました。
このIRの中には、カジノ施設が入ることが多く、日本で設置されるIRにおいてもカジノ施設が入ることが予定されています。
2021年の7月には、IR整備法のうち、日本国内でのカジノを解禁し、ギャンブル依存症対策などを定めた条項を7月19日に施工することが閣議決定されました。
この新たに施行させる条項には、事業者が国からの免許を受けた場合、カジノのゲームで金銭を賭けたとしても、刑法の賭博罪を適用しないことが明記されています。
このように、刑法の賭博罪を適用しないということがわざわざ明記されているということは、カジノでお金を賭けてゲームする行為、形式的には、刑法で禁止されている賭博罪に該当するということになります。
カジノのみならず、日本では、パチンコや競馬などのギャンブルが行われておりますが、パチンコや競馬をやっている人が賭博罪で逮捕されることはありません。
今回は、一見すると賭博罪に該当するようなギャンブルについて、なぜ賭博罪に該当しないのかについてご説明させていただきます。
まず、刑法のと賭博罪の規定をみると、刑法185条では、「賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」と規定されています。
すなわち、一時の娯楽に供するものを賭けたにとどまる場合(お昼の代金をごちそうするために、あるチームが勝つか負けるかを賭ける場合などです。)を除くと、「賭博」に該当する行為を行った場合には、刑法185条違反となり、50万円以下の罰金等に処せられる可能性があることになります。
そして、「賭博」とは、『偶然の支配』による財物の得喪のことをいいます。
簡単に言うと、「結果がわからない事に金品を賭けて楽しむ事」をいいます。
この定義からすると、パチンコも賭博に該当するようにも思えます。
しかし、パチンコをされない方には、よくわからないと思いますが、パチンコの仕組みは、①お金を払ってお店からパチンコの玉を買う、②買った玉でパチンコ台で遊戯を行う、③出た玉と、財物的価値がない景品と交換するという仕組みになっています。
そして、パチンコ店では、お店を出たすぐ隣に「景品交換所」という上記③でもらった景品を現金で購入してくれる場所があります。 このように、パチンコ店では、財物性のない景品しかもらえないため、「賭博」には該当しないことになり、お店を出たら「たまたま」お店とは関係のない(ということになっています。)交換所の人が景品を現金を交換してくれたという仕組みになっています(これを通称「三店方式」といいます。
だいぶ脱法的な要素が強いですが、国も警察も黙認しているというのが現状でしょう。
一方、競馬の場合には、馬券を購入し、購入した馬券が当選した場合には金銭が直接払い戻されるため、まさに「賭博」に該当します。
しかし、公的な団体(JRA)が運営しているということ、会場が地域発展の貢献につながるという理由で、国が認めた賭博(「公益賭博」といいます。)であるため、賭博罪の適用はありません(IRでのカジノ施設も国が認めたため賭博罪が適用されません。)
このように、パチンコや競馬等は、いくらやっても賭博罪として犯罪行為には該当しないものの、ギャンブル依存になってしまうと、破産など人生を壊してしまう危険性を有しています(上記IR整備法においても、ギャンブル依存対策として、国内客の入場は7日間で3回、28日間で10回と利用制限が設定されています。)
当事務所にもギャンブルで多額の借金を抱えてしまった方がご相談に来られることが少なくありません。
そういった方でも、破産が認められるケースや、個人再生手続により、元の生活に戻ることができる方がほとんどですのでギャンブルでの借金でお悩みの方はなるべく早くご相談ください。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
宝くじ当たったのに換金しない?~消滅時効について~
今年もあと残すところ1カ月をきりました。
年末になるとクリスマスや、私の大好きな大みそかの格闘技イベントなどが予定されていますが、毎年年末になると年末ジャンボ宝くじが発売されます。
前後賞を合わせると10億円があたる夢のような宝くじですが、当選しても、換金しないまま放置しておくとどうなってしまうのでしょうか。
この点について、主に宝くじの販売などの規制することを内容とする当せん金付証票法という法律に規定されており、「当せん金付証票の当せん金品の債権は、これを行使することができる時から一年間行使しないときは、時効によつて消滅する。」とされています(同法12条)。
すなわち当選してから何もせずに1年間が経過してしまうと時効により換金することができなくなってしまうことになります。
せっかく当選した宝くじを換金しない人がいるのかと思ってしまいますが、年末ジャンボ宝くじを含め、年に5回あるジャンボ宝くじでは、毎年度100億円をこえる当選金が換金されずに時効になっているとのことでした(1億円以上の高額当選金も時効になっているようで、換金しないのであればぜひ自分に譲ってもらいたいと思ってしまいますね。)。
この当せん金付証票12条でも記載されている時効という制度ですが、権利を行使することができる人が一定期間権利を行使をしない場合には、権利が消滅するという消滅時効の制度が民法上採用されています。
令和2年4月1日に施行された改正民法により、消滅時効については原則として、債権者が権利を行使することができることを知った時(主観的起算点といいます。)から5年または、権利を行使することができる時(客観的起算点といいます。)から10年のいずれか早い方とされました。
このように、債権を有していても一定期間権利を行使をしないと、消滅時効により消滅してしまうリスクがあるため、長期間放置している債権などがあれば、是非早急に弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
特に、不法行為に基づく損害賠償請求権などは異なった時効期間となっているため、ご自身の債権の時効期間がお知りになられたいという方も是非ご相談ください。
また、消滅時効については、仮に時効期間が経過していたとしても、債務者が支払義務のあることを承認した場合には、消滅時効を主張することができなくなってしまうため、債務を消滅させたい人は、消滅時効の意思を表示(援用といいます。)する必要があります。
長期間支払っていない債務などがあり、ある日突然督促が来たという場合には、その債権が消滅時効にかかっている可能性もあるため、ご自身で対応する前に是非一度弁護士にご相談ください。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。