カジノは違法じゃないの?~ギャンブルと賭博罪~
近年、海外では一般的になっているIR(統合型リゾート)について、日本政府が着目し始め、2016年にはIR推進法が成立し、日本でもIRを実現するために、東京や大阪のみならず、九州では長崎(佐世保)が誘致に手を挙げているといった内容のニュースを目にするようになりました。
このIRの中には、カジノ施設が入ることが多く、日本で設置されるIRにおいてもカジノ施設が入ることが予定されています。
2021年の7月には、IR整備法のうち、日本国内でのカジノを解禁し、ギャンブル依存症対策などを定めた条項を7月19日に施工することが閣議決定されました。
この新たに施行させる条項には、事業者が国からの免許を受けた場合、カジノのゲームで金銭を賭けたとしても、刑法の賭博罪を適用しないことが明記されています。
このように、刑法の賭博罪を適用しないということがわざわざ明記されているということは、カジノでお金を賭けてゲームする行為、形式的には、刑法で禁止されている賭博罪に該当するということになります。
カジノのみならず、日本では、パチンコや競馬などのギャンブルが行われておりますが、パチンコや競馬をやっている人が賭博罪で逮捕されることはありません。
今回は、一見すると賭博罪に該当するようなギャンブルについて、なぜ賭博罪に該当しないのかについてご説明させていただきます。
まず、刑法のと賭博罪の規定をみると、刑法185条では、「賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」と規定されています。
すなわち、一時の娯楽に供するものを賭けたにとどまる場合(お昼の代金をごちそうするために、あるチームが勝つか負けるかを賭ける場合などです。)を除くと、「賭博」に該当する行為を行った場合には、刑法185条違反となり、50万円以下の罰金等に処せられる可能性があることになります。
そして、「賭博」とは、『偶然の支配』による財物の得喪のことをいいます。
簡単に言うと、「結果がわからない事に金品を賭けて楽しむ事」をいいます。
この定義からすると、パチンコも賭博に該当するようにも思えます。
しかし、パチンコをされない方には、よくわからないと思いますが、パチンコの仕組みは、①お金を払ってお店からパチンコの玉を買う、②買った玉でパチンコ台で遊戯を行う、③出た玉と、財物的価値がない景品と交換するという仕組みになっています。
そして、パチンコ店では、お店を出たすぐ隣に「景品交換所」という上記③でもらった景品を現金で購入してくれる場所があります。 このように、パチンコ店では、財物性のない景品しかもらえないため、「賭博」には該当しないことになり、お店を出たら「たまたま」お店とは関係のない(ということになっています。)交換所の人が景品を現金を交換してくれたという仕組みになっています(これを通称「三店方式」といいます。
だいぶ脱法的な要素が強いですが、国も警察も黙認しているというのが現状でしょう。
一方、競馬の場合には、馬券を購入し、購入した馬券が当選した場合には金銭が直接払い戻されるため、まさに「賭博」に該当します。
しかし、公的な団体(JRA)が運営しているということ、会場が地域発展の貢献につながるという理由で、国が認めた賭博(「公益賭博」といいます。)であるため、賭博罪の適用はありません(IRでのカジノ施設も国が認めたため賭博罪が適用されません。)
このように、パチンコや競馬等は、いくらやっても賭博罪として犯罪行為には該当しないものの、ギャンブル依存になってしまうと、破産など人生を壊してしまう危険性を有しています(上記IR整備法においても、ギャンブル依存対策として、国内客の入場は7日間で3回、28日間で10回と利用制限が設定されています。)
当事務所にもギャンブルで多額の借金を抱えてしまった方がご相談に来られることが少なくありません。
そういった方でも、破産が認められるケースや、個人再生手続により、元の生活に戻ることができる方がほとんどですのでギャンブルでの借金でお悩みの方はなるべく早くご相談ください。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
宝くじ当たったのに換金しない?~消滅時効について~
今年もあと残すところ1カ月をきりました。
年末になるとクリスマスや、私の大好きな大みそかの格闘技イベントなどが予定されていますが、毎年年末になると年末ジャンボ宝くじが発売されます。
前後賞を合わせると10億円があたる夢のような宝くじですが、当選しても、換金しないまま放置しておくとどうなってしまうのでしょうか。
この点について、主に宝くじの販売などの規制することを内容とする当せん金付証票法という法律に規定されており、「当せん金付証票の当せん金品の債権は、これを行使することができる時から一年間行使しないときは、時効によつて消滅する。」とされています(同法12条)。
すなわち当選してから何もせずに1年間が経過してしまうと時効により換金することができなくなってしまうことになります。
せっかく当選した宝くじを換金しない人がいるのかと思ってしまいますが、年末ジャンボ宝くじを含め、年に5回あるジャンボ宝くじでは、毎年度100億円をこえる当選金が換金されずに時効になっているとのことでした(1億円以上の高額当選金も時効になっているようで、換金しないのであればぜひ自分に譲ってもらいたいと思ってしまいますね。)。
この当せん金付証票12条でも記載されている時効という制度ですが、権利を行使することができる人が一定期間権利を行使をしない場合には、権利が消滅するという消滅時効の制度が民法上採用されています。
令和2年4月1日に施行された改正民法により、消滅時効については原則として、債権者が権利を行使することができることを知った時(主観的起算点といいます。)から5年または、権利を行使することができる時(客観的起算点といいます。)から10年のいずれか早い方とされました。
このように、債権を有していても一定期間権利を行使をしないと、消滅時効により消滅してしまうリスクがあるため、長期間放置している債権などがあれば、是非早急に弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
特に、不法行為に基づく損害賠償請求権などは異なった時効期間となっているため、ご自身の債権の時効期間がお知りになられたいという方も是非ご相談ください。
また、消滅時効については、仮に時効期間が経過していたとしても、債務者が支払義務のあることを承認した場合には、消滅時効を主張することができなくなってしまうため、債務を消滅させたい人は、消滅時効の意思を表示(援用といいます。)する必要があります。
長期間支払っていない債務などがあり、ある日突然督促が来たという場合には、その債権が消滅時効にかかっている可能性もあるため、ご自身で対応する前に是非一度弁護士にご相談ください。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
バイクはどこに止めればいいかは法律で決まっている??
近年の働き方改革や新型コロナウイルスの感染拡大により、会社に出勤する機会も減りテレワークなどにより自宅でお仕事をされている方も増えてきていると思います。
また、会社に通勤している方であっても、それまで公共交通機関を使って通勤されていた方も通勤時の感染リスクを軽減するために自転車、自動車、バイクでの通勤にシフトされる方も多いと思います。
バイクでの移動をされる方も増え、車を止める駐車場、自転車を止める駐輪場だけでなく、バイク専用の駐車スペースが設定されている施設も増えてきています。
このようにバイク専用の駐車スペースが設定されている施設の場合には、その駐車スペースにバイクを停めていただければ、何ら問題はありません。
私は普段職場への通勤やちょっとした移動には車を使って移動しており、かつそもそもバイクの免許やバイクを持っていないため、このブログを書くまでよく考えてこなかったのですが、バイク専用の駐車スペースが無い場合には、駐車場に停めればいいのか、駐輪場に停めればいいのか非常に悩ましいと思います。
今回のブログを書くために改めて調べてみたのですが、まず駐車場に関して規定している法律があるか調べたところ、その名のとおり「駐車場法」という法律があります。
そして「駐車場法」2条(第1号及び第2号)では、駐車場の定義を「自動車の駐車のための施設であって一般公共の用に供されるものをいう。」と規定しており、駐車場は「自動車」を駐車すべきであると規定しています。
そうすると、一般的な感覚ではバイクは自動車ではないため、全てのバイクは駐車場に駐車できないとも思えます。
しかし、道路交通法では自動車の定義を規定しているのですが(具体的な定義の内容は省略します)原動機付自転車(すなわち排気量50cc以下のもの)以外のバイクは自動車に該当するとされています。
したがって、排気量が50ccを越えるバイクは駐車場に停めることができます。
なお、駐輪場についても「自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律」という法律が規定されており、その法律で自転車(「自転車等」といいます。)を「自転車又は原動機付自転車(道路交通法第二条第一項第十号に規定する原動機付自転車をいう。)」と規定しており、自転車及び原動機付自転車は駐輪場に止めることとされています。
このように、法律上では50cc以下のバイクは駐輪場、50ccを越えるバイクの場合には駐車場に停めると規定していますが、50ccを越えるバイクであっても、駐車場の広い駐車スペースにぽつんとバイクを停めることに抵抗があるという方もいらっしゃると思います。
したがって、ショッピングモール等の商業施設の場合には、駐車場の入口などにバイクを停める方法などが記載されている場合がありますので、そういった商業施設での停める場合や、どこに停めればいいかなと悩んだ場合には、駐車場の管理人やお店の人等にどこに停めればいいかを確認するということも無用なトラブルを避けるために有用かもしれません。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
立候補にもお金が必要?~立候補のための供託金について
2021年10月14日、衆議院が解散し、解散に伴う衆議院議員総選挙が10月19日に公示され、10月31日に投票が行われます。
今回はコロナ禍での選挙となり、どういった点が争点になるのかについて定まっていないような気もしますが、一個人としては、子ども関連の政策に力を入れているところがポイントかな、などと考えています。
この総選挙は小選挙区制と比例代表制が併用されていますが、国会議員になるためには、政党の名簿に登録されて、当選する場合を除くと、小選挙区制において、立候補をする必要があります。
よく巷の会話などで「そんなに今の政治に不満があるのであれば、自分が立候補して政治家になればいいじゃないか」ということを聞かれたこともあるかもしれませんが、そんなに簡単に立候補をすることができるのか、今回は選挙の立候補についてご説明させていただきます。
まず、立候補するための権利のことを、被選挙権といいます。
この被選挙権については、認められる年齢が公職選挙法に定められており、衆議院議員の場合には、満25歳以上の人が被選挙権を有すると規定されています(10条1号)。
この他に、罪を犯して禁錮以上の刑に処せられた場合などには被選挙権が失権するのですが、失権事由がないかぎり、満25歳以上であれば立候補をすることは可能です。
しかし公職選挙法では、立候補の届出をする場合には、供託金を支払わなければならないと規定しており(92条)、衆議院(小選挙区)議員の場合には、300万円を供託金として支払う必要があります。
そして、この供託金ですが、一度届出をし、途中で立候補を取りやめても返金はされず、途中で辞めなくても投票数が少ないと、没収されてしまいます。
衆議院議員選挙では、有効投票総数の10分1(1割)の票を獲得できなければ、供託金が没収されることが公職選挙法93条に規定されています(前回、2017年に行われた総選挙の際には、174人分の約5億2000万円の供託金が没収されているようです。)。
すなわち、立候補したいと考える人は、この供託金300万円を準備する必要があり、300万円が用意できない人は立候補ができないということになります。
この供託金の制度については、憲法で保証された立候補する権利を不当に制限するものであるとして、訴訟を行われている方もいるようです。
これに対し、国としては、供託金を設定することで、立候補者の乱立することでの混乱や売名行為での立候補などを防ぐためと説明しているようです。
確かに自由に立候補ができてしまうと、さまざまな立候補者の選挙カーが町中を走り回るような事態も起きかねず、そういった印象で「この立候補者には投票しない」いう有権者も出てくることもあり得ます。 そのため、立候補に一定の制限を設ける必要性もあるのではないかなと思います。
他国では、例えば、一定の人数の推薦人の署名が必要であるなど、立候補にそのような制限を設定しているところもあるようです。 本国でも、供託金の撤廃や減額など、抜本的な制度の見直しが検討されるべきかと思います。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
刑事事件での細かいトリビア
複数の人が亡くなってしまった殺人事件での裁判では、一般の傍聴人の方だけではなく、報道機関も傍聴に訪れ、社会的にも非常に耳目を集める事件となります。
ニュースでは、裁判の模様が報道され、検察官が被告人に死刑を求める求刑を行ったことや判決で死刑判決が出されるのかがニュースなどで報じられることがよくあります。
その中でも、判決言い渡し期日にて、「裁判官が判決理由を先に述べ主文を後回しにしました!」等と記者が報じることがよくあります。
この判決理由を先に述べ、主文を後回しにする場合(単に「主文後回し」ということが多いです。)、被告人に死刑判決が出される可能性が非常に高くなるため、上記のニュースが速報で流れることが多いです。
今回は少しマニアックなトリビア的な内容になってしまいますが、この「主文後回し」の根拠やなぜそのような対応がなされるのか等についてご説明させていただきます。
刑事裁判の具体的な流れについては、別の機会にご説明させていただきますが、検察官の論告・求刑と弁護側の最終弁論及び被告人の最終意見陳述が終わると、刑事裁判の手続は終結し(「結審」と言います。)別の日に判決を宣告する日(「判決期日」といいます。)が指定され、判決言い渡し期日にて、裁判から判決が伝えられ刑事事件は終結となります。
そして、判決言い渡し期日では、判決、具体的には「被告人が有罪であるのか無罪であるのか、有罪である場合には、どのような刑罰(量刑)が科されるか」が言い渡されることになります。
そして判決は、判決の上記結論を述べている「主文」と判決種便に至った根拠(理由)を述べている「判決理由」の2つで構成されています。刑事訴訟法44条1項では、「裁判には理由を附しなければならない。」と規定されており、判決・決定・命令等の裁判には理由をつけれなければならないことが規定されているため、判決は「主文」と「判決理由」の2つで構成されることになります。
そして、判決の言い渡しの方法については、刑事訴訟法規則35条2項に、「判決の宣告をするには、主文及び理由を朗読し、又は主文の朗読と同時に理由の要旨を告げなければならない。」と規定されていますが、主文と理由のどちらを先に告げなければならないかについてまでは、規定されていないため、判決を言い渡す裁判官の裁量に委ねられています。
もっとも、裁判官が作成する判決書(一般の方は「はんけつしょ」と」読まれることが多いと思いますが、法律家の間では「はんけつがき」と読まれることが多いです。)では、①主文②判決理由の順で記載されているため、通常の刑事事件では、まず主文を告げ、その後に判決理由を告げることがほとんどです。
これに対し、死刑判決の場合には、人の生命を奪う刑罰を行う判決が出されるため、いきなり結論である主文を告げてしまうと被告人において動揺してしまい、判決理由をおちついて聞くことができなくなってしまう可能性があるこため、主文後回しになることが多いです。
また、上記のとおり死刑判決が予想される重大事件の場合には、報道機関も多く傍聴しており、先に主文を述べてしまうと判決理由を述べている間に多くの報道機関が、主文の内容を報じるために慌ただしく法廷から退席するため落ち着いて判決理由を述べることができないため、主文後回しの運用が取られるようになったということも言われています(上記の通り、今では主文後回し=死刑判決の可能性が高いということが知れ渡っているため、そこまでの効果は無いのかもしれません)。
いずれにせよ、判決言い渡し期日は、被告人に刑罰を科す非常に大事な場面であるため、裁判官としても被告人に自らの行った罪についてきちんと理解してもらうため、判決理由をきちんと聞いてもらうために、主文後回し等の措置が取られています。
余談にはなりますが、有罪判決と無罪判決の判決言い渡しでは、主文の読まれ方に違いがあります。
有罪判決の場合には「被告人『を』懲役●年に処する。」と言い渡されますが、無罪判決の場合には「被告人『は』無罪。」と言い渡されます。
「を」と「は」で有罪か無罪がわかることになり、この違いを知ったとき、決まり字が決まっている百人一首のようだなと思いました。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
皇室の一時金辞退できるのか?一時金の法的根拠は??
2017年9月に、現在の天皇陛下(当時の皇太子)の弟である秋篠宮殿下の長女である眞子内親王と小室圭さんの婚約が発表され、同時期にお2人での婚約の会見が行われました。
私もそうですが、世間一般の皆様もその会見を見たとき、そのままご結婚されるのだろうと思われたと思います。
ところが、その後、小室さんのお母様と元婚約者との間の金銭トラブルが報じられたことを契機に、連日ニュースやワイドショーでもこの問題が報じられるようになり、お2人の結婚及び結婚に関する行事の延期が発表されました。
その後、小室さんが2018年夏に、アメリカの弁護士資格取得を目指し、ニューヨーク州にあるフォーダム大学に入学したり、秋篠宮殿下が婚約の条件として、「多くの人が納得し喜んでくれる状況」が必要であると述べ、小室さん側に金銭トラブル等について「それ相応の対応」を求められ、2020年には小室さんから合計28枚にも及ぶ文章が公開されたり、眞子内親王も「結婚は私たちにとって生きていくために必要な選択」と結婚に向けた強いお気持ちを公表され、結果として秋篠宮殿下も結婚をお認めになるなど、様々出来事がおきました。
そして、先日、お2人が年内に結婚される予定であることや眞子内親王において、結婚により皇室を離れる際に支給される一時金の受け取りを辞退する意向であることがニュース等で報じられるようになりました。
私としては、結婚はお2人が結婚を希望しているのであれば、他の人があまりとやかく言うべきではなく、お2人がご結婚されるのであれば、とてもおめでたいこであると思いますが、ニュースやテレビ番組では、眞子内親王が一時金の受け取りを辞退する意向であることが盛んに報じられるなか、そもそも受け取りを辞退することが法的にも可能であるのか、前例がないとのニュースを見かけたため、私もできる限り調べてみることにしました。
まず、皇室の身分等に関して規律している「皇室典範」という法律の第12条一では、「皇族女子は天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる。」と規定しており、結婚に伴い、皇室を離れることになっています。
そして、一時金の支給について記載している法律を調べると、「皇室経済法」という法律があり、その法律の6条1項では、「皇族費は、皇族であった者としての品位保持の資に充てるために、皇族が皇室典範の定めるところによりその身分を離れる際に一時金額により支出するものとする。」と規定されており、「皇族であった者としての品位」を保持するために支給されるものであること分かりました。
しかし、「皇室経済法」には、この一時金の放棄や支給しない場合については規定されておらず(そもそも、一時金を辞退するという事態を想定していなかったのでしょう。)、結局、一時金を辞退することが可能か否かについては、この「皇室経済法」の解釈次第ということになります。
上記6条1項では、「支出するものとする。」と規定されており、受け取る側の意思に関わらず支出されるように規定されているため、この条文を素直に読むと、一時金の受け取りを辞退することは認められない様にも思えます。
また、一時金については、品位を保持するために支出されるものであるため、支出されなくても品位を保持することが十分に可能であるという場合には、支出されないという解釈も可能かもしれませんが、これも今まで必ず支給されてきたことからすると、今回の場合にこの解釈をすることで支給しないということは難しいのではないかと思います。
したがって、一時金の受け取りを許可するためには、この「皇室経済法」の解釈を大きく変更(個人的には、法律改正と同じ程度の大きな変更だと思います。)がなければ認められないのではないかと思います。
いずれにせよ、どのような判断がなされるかについて、今後も注視していきたいと思います。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。